リニア搬送システムメーカーまとめ13選|国内・海外の企業と製品

2026.02.27

今回は、設備メーカーで搬送システムの導入を検討している方に向けて、リニア搬送システムのメーカーを紹介します。リニア搬送システムは、欧米の海外メーカーが発祥の製品ですので、国内メーカーに加えて海外メーカーの製品も紹介していきます。

筆者は産業用機器業界で10年以上の経験があり、技術者としての視点も踏まえて解説します。

この記事を読むと、リニア搬送システムのメーカーを網羅的に理解できます。どんなメーカーの、どのような製品があるかを理解することが、製品導入の最初の1ステップになります。

本記事が、自社でのリニア搬送システム導入を検討するきっかけになれば幸いです。

リニア搬送システムとは

リニア搬送システムとは、リニアモータを動力源とした次世代型の搬送装置です。

従来のベルトコンベヤと異なり、
✅キャリア(台車)が独立して自由に動ける
✅搬送ルートを分岐・合流したり、垂直方向に循環したりできる
ことで、ベルトコンベヤではできないフレキシブルな生産ラインが構築できるのが特徴です。

リニア搬送システムの仕組みやメリット、デメリットについては、こちらの記事で解説しました。あわせて参考にしてください。

リニア搬送システムの国内メーカー

リニア搬送システムの国内メーカーは、以下の通りです。

①ヤマハ発動機

ヤマハ発動機は、静岡県に本社を置く輸送機器メーカーです。二輪車、四輪バギーといった輸送機器が主力事業ですが、スカラロボットや直交ロボットなどのFA事業も手掛けています。

同社のリニア搬送システム「リニアコンベヤモジュール LCMR200」は、停止精度±5μm、最大可搬重量30kgの仕様となっています。上下方向に循環軌道が作れるため、搬送ラインを省スペース化できます。

【生産ラインの効率化・改善】リニアコンベア導入メリット LCMR200(ヤマハ発動機)

②NITTOKU

NITTOKU(ニットク)は、埼玉県に本社を置く自動巻線機メーカーです。モーターのコイルを自動で巻線する機械である巻線機に強みを持っています。

同社のリニア搬送システム「FLEX-1」は、循環軌道のほかにも分岐・合流も可能となっています。また、天面カバーを採用した低発塵構造になっており、クラス1000のクリーンルームへの実績もあります。

リニアコンベア FLEX-1《NITTOKU》

③三菱電機

三菱電機は、日本の大手総合電機メーカーです。家電や鉄道用電気品、FA機器など幅広い製品を手掛けています。

同社のリニア搬送システム「リニアトラックシステムMTR-Sシリーズ」は、2025年4月に受注・出荷を開始しました。

三菱電機のリニアトラックシステムの特徴は、同社のFA製品との親和性です。リニアトラックのプログラミングは同社のサーボアンプ「MR-J5シリーズ」と同様の方法で行います1。同社の開発環境「GX Works」でリニアトラックの設定やモーション制御を行いますので、三菱電機製のPLCを使い慣れている方は違和感なくプログラミングに入っていけるでしょう。

キャリアは可搬質量3kgタイプと、可搬質量10kgタイプがあり、ワークに合わせて選択できます。

三菱電機が「2023国際ロボット展」で公開した、開発中のリニアトラックのデモンストレーション。2024年の発売を予定している。

④THK

THKは日本のリニアガイド大手メーカーです。「LMガイド」という商品名でラインナップを展開するリニアガイドのほか、ボールねじ、ボールスプラインなどの直動案内機構が主な製品です。

同社のリニア搬送システム「Versatile Transport System」は、循環軌道(水平、垂直方向)のほか、分岐モジュールも動画で確認できます。

THKはリニアガイド、リニアモータをすでに自社の製品で持っています。その要素技術を活かして、リニア搬送システムに参入してきました。

[THK] 次世代リニア搬送システム_Versatile Transport System

⑤安川電機

産業用ロボット・ACサーボモータ大手の安川電機は、IIFES2025にて「オーバルリニア」を発表しました。

オーバルリニアは楕円軌道状に形成された軌道をリニアモータが走るリニア搬送システムです。構成は三菱電機のリニアトラックシステムに似ています。

安川電機のオーバルリニアの特徴は、外部サーボ軸と完全同期が可能なことです。
同社のYRMコントローラMPXでサーボ制御を全軸リアルタイム制御し、オーバルリニアと外部サーボ軸の動きを連携させることができます。

下記のデモ動画は、オーバルリニアの可動子上に設けられた溝を、外部軸のリニアモータ+サーボモータが棒でなぞっており、全軸の同期制御の精度の高さをアピールしています。

安川電機が「IIFES 2025」で披露した「オーバルリニア」を使ったシャープペン芯回しデモ

⑥オムロン(開発品)

オムロンは京都府に本社を置く電機メーカーです。体温計などのヘルスケア製品が有名ですが、同社の収益の多くはセンサ・FA機器で構成されています。

オムロンは2024年にIIFESという展示会で、リニア搬送システムの開発品を展示しました。リニア搬送をロボットと同期させることで搬送を高速にする、それによって生産性を上げるという目的のようです。

同社は2015年に米国のロボットメーカーであるAdept Technologyを買収してから、ロボット事業に力を入れています。今回の開発は搬送装置とロボットをまとめて提供する、というトータルソリューションの一環と考えられます。

オムロン 二次電池積層工程をイメージしたリニア搬送システムのデモ IIFES2024

リニア搬送システムの海外メーカー

リニア搬送システムの海外メーカーは、以下の通りです。

⑦ATS Corporation

ATS Corporation(エーティーエス コーポレーション、以下ATS)は、カナダに本社を置く自動化ソリューションを提供する企業です。

同社のリニア搬送システムは「SuperTrak」という製品です。SuperTrakの最初のモデルは、2001年にリリースされました。リニア搬送システムとしては、筆者が調査した限りではこのSuperTrakが最初の製品です。

ATS SuperTrak Over Under Configuration

⑧Beckhoff Automation

Beckhoff Automation(ベッコフ オートメーション、以下Beckhoff)は、ドイツに本社を置くFA企業です。産業用PC(Industrial PC)やI/Oなどの製品を提供しています。現在多くの産業用機器に採用されている産業用ネットワーク「EtherCAT」は、同社が開発したものです。

同社のリニア搬送システム「XTS」は最初の発表が2012年で、比較的早い時期からリニア搬送システム市場に参入しています。XTSは「既に飲料の充填(じゅうてん)システムや包装関連、電気機械の生産ラインなどで引き合いが生まれてきている」2とのことで、着実に実績を積んでいるようです。

The perfectly synchronized XTS: Dynamic, precise, scalable

⑨Rockwell Automation

Rockwell Automation(ロックウェル オートメーション)は、米国に本社を置く産業オートメーション大手企業です。

同社のリニア搬送モジュール「MagneMover LITE」(マグネムーバーライト)は、循環軌道のほかに分岐モジュールを持ち、自由に分岐・合流ができる搬送経路が作れます。

米ロックウェル・オートメーションが「IIFES 2024」で披露した軽量物搬送向けのリニア搬送システム「MagneMover Lite」のデモ

もともと、マグネムーバーライトはMagnemotionという搬送メーカーが2010年に製品リリースしたものです。Magnemotionは2016年にRockwellに買収され、現在はRockwellブランドで販売されています。

マグネムーバーライトは、自動化ソリューション会社(SIer)のAutomation NTHが手掛ける生産ラインに採用、医療機器の組立工程に活用されました。その結果、生産ラインのフットプリントは約38%削減、部品あたりの価格を40%削減できたそうです3

⑩B&R

B&Rは、オーストリアに本社を置くFA機器メーカーです。同社は2017年に世界的な重電メーカーのABBに買収され、現在はABBの子会社になっています。買収後も、B&Rのブランドは残しています。

B&Rのリニア搬送システム「ACOPOStrak」は、循環軌道のほかに分岐・合流モジュールを備え、平面上で自由な搬送軌道が作れます。

飲料業界でのボトル充填や、電池業界での組立工程に採用実績があります4

Adaptive manufacturing with ACOPOStrak: Dynamics, precision & anti-sloshing

⑪Bosch Rexroth

Bosch Rexroth(ボッシュ レックスロス、以下Bosch)は、ドイツのFA機器メーカーで、自動車部品メーカーのRobert Boschグループの子会社です。

同社のリニア搬送システム「ActiveMover」は、最大10kgのワークを搬送できるキャリアを備えています。また、Profinet、EtherNet/IP、EtherCATなど主要な産業用ネットワークに接続できます。

ActiveMover – The Linear Motor Transfer System in Components

⑫Schneider Electric

Schneider Electric(シュナイダー エレクトリック、以下Schneider)は、フランスに本社を置く電力管理・産業オートメーションなどを手掛ける総合電機メーカーです。

同社はリニア搬送システムを「Lexium MC12 マルチキャリア」という製品名でリリースしています。

シンプルなモジュール構造と専用のソフトウェアで初期立ち上げ・設定時間を短くできることが特徴のようです。

自動包装機械メーカーのオリオン機械工業で、Lexium MC12 マルチキャリアが採用されています5。導入した包装機械では、開いた袋に商品を詰めるという動作があります。この動作が従来のベルトコンベヤでは難しく、キャリアが独立して動けるリニア搬送システムを使うことになりました。

他のリニア搬送システムも検討していたそうなのですが、導入の一番の決め手となったのは発熱の少なさです。アルミフレームで熱を逃がしやすい構造になっています。

導入事例 – オリオン機械工業様

⑬Siemens & Festo

Siemens(シーメンス)は、ドイツのFA総合機器メーカーです。
Festo(フエスト)は、ドイツの大手空圧機器メーカーです。

この両社はリニア搬送システム「Multi-Carrier-System MCS」を共同開発しました。
キャリアがチェーンコンベヤの上でも搬送でき、既存の搬送機械とリニア搬送システムの間をシームレスにワークを運べるのが特徴となっています。

同社のMCSは、自動車業界や組立ラインで導入された実績があります6

SiemensとFestoが共同開発『Multi-Carrier-System MCSⓇ』3
  1. 三菱電機「三菱電機リニアトラックシステム MTR-Sシリーズ↩︎
  2. 引用:MONOist「驚くほどの小型化が可能に――ベッコフのリニア搬送システム↩︎
  3. Rockwell Automation「Meeting Demand for Medical Device Production↩︎
  4. 株式会社たけびし「ACOPOStrak | 分岐と合流を自由自在に設計できる、次世代型リニア搬送システム↩︎
  5. Schneider Electric Japan「導入事例 – オリオン機械工業様↩︎
  6. Festo「Transport System MCS↩︎