図面の寸法記号一覧|φ・R・⌴の表記ルールをJIS基準で解説【早見表つき】

2026.06.05

「図面に書かれた『φ』や『R』って何を表す記号だろう?」
「寸法の前についている記号の意味と読み方を知りたい」

図面を読み書きする現場では、こうした疑問に出会うことが少なくありません。

これらは寸法補助記号と呼ばれ、寸法の数値だけでは伝わらない「その寸法が何を表すか」を補う、図面の共通言語です。

本記事では、現役の機械設計者の視点で、φ(直径)やR(半径)といった図面の寸法記号を解説します。早見表も用意したので、図面を読むとき・描くときにお役立てください。

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寸法補助記号とは?

寸法補助記号の例

図面の寸法の前についている「C」や「φ」、「R」といった記号を、寸法補助記号と呼びます。これは、寸法の数値だけでは伝えきれない「その寸法が何を表しているのか」を補うための記号です。

例えば「20」とだけ書かれていても、それが直径なのか、半径なのか、正方形の一辺なのかは分かりません。そこで「φ20」と書けば直径20mm、「R20」と書けば半径20mmというように、記号を添えることで形状を一意に伝えられます。

寸法補助記号は、日本産業規格(JIS)のJIS Z 8317-1:2008(製図-寸法及び公差の記入方法-第1部:一般原則)1およびJIS B 0001:2019(機械製図)2で定められています。

【一覧表】寸法補助記号の早見表

まずは、よく使う寸法補助記号を一覧で確認しましょう。

記号読み方意味記入例
φファイ直径φ6.6
Rアール半径R5
エスファイ球の直径Sφ30
SRエスアール球の半径SR90
かく正方形の辺□20
tティー板の厚さt3.2
Cシー45°の面取りC5
えんこ円弧の長さ⌒50
ざぐり座ぐり⌴20
さらざぐり皿ざぐり⌵10
ふかさ深さ↧15
( )かっこ参考寸法(25)
理論的に正確な寸法▢30(□の中に30が入る)
×寸法の数4×φ10

それぞれの記号について、次の章から詳しく見ていきます。

直径・半径・球の寸法記号(φ・R・Sφ・SR)

図面でよく見られるのが、丸い形状を表す寸法記号です。

φ(直径)

φは直径を表す記号で、「ファイ」または「まる」と読みます。円筒や丸穴の直径に使い、「φ20」は直径20mmを意味します。なお、CAD上では大文字の「Φ」が使われることもありますが、JISで定められた製図記号としては小文字の「φ」が正しい表記です。読み方や意味は同じです。

R(半径)

Rは半径を表す記号で、「アール」と読みます。角を丸くした部分(隅R)や、円弧の半径に使います。「R5」は半径5mmです。直径φと半径Rは、同じ丸でも意味が真逆なので注意が必要です。同じ円でも、φ20(直径)とR20(半径)では大きさが2倍違います。

Sφ(球の直径)・SR(球の半径)

球(ボール状)の形状を表すときは、頭に「S(Sphere=球)」を付けます。Sφ(エスファイ)は球の直径、SR(エスアール)は球の半径です。例えば、球面の先端を持つピンやレバーの握り部分などに使われます。

正方形・板厚・面取りの寸法記号(□・t・C・⌒)

□(正方形の辺)

□は正方形を表す記号で、「かく」と読みます。一辺が等しい正方形の断面に使い、「□20」は一辺20mmの正方形を意味します。現場では□20は「にじゅっかく」と読まれます。

縦横を別々に「20×20」と書かなくても、□を使えばひと目で正方形と分かります。

t(板の厚さ)

tは板の厚さを表す記号で、「ティー」と読みます。英語のthickness(厚さ)の頭文字です。板金部品などで、図面の見やすい位置に「t3.2」のように記入します。薄い板を真横から見ると厚みが描きにくいため、記号で示すのが一般的です。

C(45°の面取り)

Cは45°の面取りを表す記号で、「シー」と読みます。英語のchamfer(面取り)の頭文字です。「C5」は、角を45°方向に5mm削る面取りを意味します。なお、45°以外の角度の面取りには、Cは使いません。

⌒(円弧の長さ)

⌒は円弧の長さを表す記号で、「えんこ」と読みます。円弧の長さを示すときに、寸法数値の前に付けます。

穴・加工の寸法記号(座ぐり・皿ざぐり・深さ)

穴の加工指示には、次のような寸法記号が使われます。

座ぐり(⌴)

座ぐりは、ボルトの頭を沈めるために、穴の入り口を平らに掘り下げる加工です。記号は「⌴」で表します。

皿ざぐり(⌵)

皿ざぐりは、皿ねじの頭が沈み込むよう、穴の入り口をすり鉢状(テーパ状)に削る加工です。記号は「⌵」で表します。

深さ(↧)

穴やザグリの深さを指定するときは、深さ記号を使います。深さ記号は、下向きの矢印に横棒を付けたような形(↧)で表します。例えば「φ14 ↧8.5」は、直径14mmの穴を深さ8.5mmまであける指示です。なお、図面によっては記号を使わず「深さ15」と書かれる場合もあります。

特殊な寸法記入(参考寸法・理論的に正確な寸法・数の記号)

ここからは、特殊な寸法記入に関する記号です。

参考寸法( かっこ )

寸法を丸かっこ( )で囲んだものを参考寸法と呼びます。「(25)」のように書きます。参考寸法は、加工や検査の対象にはならない寸法です。

参考寸法はあくまで「参考までに示す」もので、他の寸法から計算できる値や、目安として添える値に使います。

理論的に正確な寸法(▢)

寸法を四角い枠で囲んだものは、理論的に正確な寸法(TED:Theoretically Exact Dimension)と呼びます。これは公差(許容差)を持たない、基準となる理論値です。

理論的に正確な寸法は、穴の位置を指定する「位置度」などの幾何公差とセットで使われます。枠で囲まれた寸法そのものには公差を付けず、位置のばらつきは幾何公差で管理するという考え方です。

なお、正方形を表す「□」と、寸法を四角枠で囲む「▢」は形が似ていますが、別物です。□は寸法数値の前に付けて正方形の辺を表し、▢は寸法数値そのものを四角枠で囲んで理論寸法を表します。

寸法の数(×)

同じ寸法の穴や形状が複数あるとき、「×」を使ってまとめて表記できます。「4×φ3.4」は、直径3.4mmの穴が4個という意味です。穴を1つずつ寸法記入すると図面が煩雑になりますが、「数×寸法」でまとめれば、すっきりと読みやすくなります。

(まとめ)図面の寸法記号を正しく扱い、図面を資産にする

本記事では、図面でよく使う寸法記号(寸法補助記号)を、読み方つきで解説しました。
以下に要点を整理します。

・基本の記号:φ(直径)、R(半径)、Sφ・SR(球)、□(正方形)、t(板厚)、C(面取り)、⌒(円弧)
・穴の記号:座ぐり(⌴)、皿ざぐり(⌵)、深さ(↧)
・寸法についての記号:参考寸法(かっこ)、理論的に正確な寸法(▢)、数の記号(×)

寸法補助記号は、JISで定められた図面の共通言語です。記号を正しく読み書きできれば、加工ミスや手戻りを防げるので実務の中で覚えていきましょう。

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参考文献

  1. 出典:日本産業標準調査会(JISC)「JIS Z 8317-1:2008 製図-寸法及び公差の記入方法-第1部:一般原則」 ↩︎
  2. 出典:日本産業標準調査会(JISC)「JIS B 0001:2019 機械製図」 ↩︎