CADデータの管理システムを考える
2024.07.18
CADデータの管理システムって何でしょうか?
CADデータは大規模で複雑なデータですが、それに合わせた管理システムがすでに用意されています。このようなCADデータの管理システムは多くの場合、CADシステムに内蔵されていますから、効率的なCADデータの管理を行うためには、これらの機能を最大限利用し、足りないところ・必要なところを補っていくという姿勢が重要になります。
ここでは、CADデータの管理システムの機能について解説し、特に中小企業のCADデータの管理システムに必要な要素を述べ、最後に市販のシステムやツールを効果的に組み合わせてコストを下げつつ、効率的にCADデータの管理システムを構築していくことを考えてみたいと思います。
目次
- CADデータの管理システムの機能
- バージョン管理
- アクセス制御
- データの一元管理
- コラボレーション機能
- 統合と互換性
- バックアップとリカバリー
- レポートと分析
- 代表的なCADデータ管理システム
- 特に小規模~中規模向けのCADデータ管理システムに必要な要素
- 検索とフィルタリング
- 共有とコラボレーション
- バックアップとリカバリー
- ユーザーフレンドリーなインターフェースとコスト
- CADデータの管理:容易にできるものから大規模なものまで
- ローカルファイル管理
- CADシステム内蔵のデータ管理機能
- 専用のPDMシステム
- PLMシステム
- カスタムソリューション
- 普通のCADデータの管理システムの組み合わせ
- 基本的なファイル管理にクラウドストレージサービスを利用
- CADシステム内蔵のデータ管理機能を利用
- 市販のプロジェクト管理ツールを利用
- 市販のクラウドバックアップシステムを利用
- 市販のコミュニケーションツールを利用
- CADデータ管理システムの組み合わせ例
- 小規模プロジェクト
- 中規模プロジェクト
- 大規模プロジェクト
- (まとめ)CADデータの管理はプロジェクト規模に応じて考えましょう
CADデータの管理システムの機能
CADデータの管理システムは、設計データや図面、関連ドキュメントを効率的に管理・共有するためのシステムおよびツールの総称です。これらのシステムは、データの整合性、バージョン管理、アクセス制御、コラボレーション機能などを提供し、設計プロセスの効率化と品質向上を支援します。以下に、CADデータ管理システムの主な要素と機能について説明します。
バージョン管理
各ファイルの変更履歴を記録し、過去のバージョンに戻ることができます。誤ったバージョンの使用やデータの重複を防止します。
アクセス制御
ユーザーごとにアクセス権限を設定し、データの機密性を確保します。データの閲覧、編集、削除権限を細かく制御できます。
データの一元管理
図面や関連ドキュメントを一元的に管理し、必要な情報を迅速に検索・取得できます。メタデータ管理により、ファイルの属性情報(作成日、作成者、プロジェクト名など)を管理します。
コラボレーション機能
複数のユーザーが同時にデータにアクセスし、リアルタイムで共同作業ができます。コメント機能やアノテーション機能を備え、フィードバックや修正指示が容易に行えます。
統合と互換性
CADシステムとのシームレスな統合により、データのインポート・エクスポートが容易です。他のプロジェクト管理ツールやコミュニケーションツールとの連携も可能です。
バックアップとリカバリー
定期的な自動バックアップにより、データの損失に備えます。誤って削除したファイルや過去のバージョンを復元する機能を提供します。
レポートと分析
データの使用状況や変更履歴に関するレポートを生成し、プロジェクトの進捗やボトルネックを把握します。データ分析ツールを用いて、管理データを解析し、設計プロセスの改善点を見つけます。
代表的なCADデータ管理システム
Autodesk VaultはAutodesk製品(例:AutoCAD、Inventor)と統合されたデータ管理システムです。
また、SOLIDWORKS PDM(Product Data Management)SOLIDWORKS製品と統合されたデータ管理システムです。設計データの一元管理、バージョン管理、アクセス制御が可能です。
大規模プロジェクト向けですがSiemens TeamcenterはPLM(Product Lifecycle Management)ソリューションです。設計データの管理に加え、製品ライフサイクル全体を管理します。
PTC WindchillはCADデータ管理に特化したPLMソリューションです。バージョン管理、アクセス制御、プロジェクト管理機能を備えています。また小規模~中規模向けの低コストソリューションです。
CADデータ管理システムは、設計プロジェクトの効率化と品質向上を支援するために不可欠なツールです。小規模から中規模のプロジェクトには、コスト効率が高く、動作が軽いクラウドベースのソリューションや無料プランが適しています。プロジェクトの規模やニーズに応じて、適切なシステムを選び、効果的に活用することが重要です。
特に小規模~中規模向けのCADデータ管理システムに必要な要素
小規模から中規模のプロジェクト向けの図面管理システムには、以下の要素がさらに必要です。これらの要素を備えることで、効率的かつ効果的にCADデータの管理が可能になります。
検索とフィルタリング
図面に関連するメタデータ(作成日、作成者、プロジェクト名など)を管理し、効率的な検索を可能にします。近年ではAIにより画像から検索可能なものもあります。また、キーワードやフィルターを使って必要な図面を迅速に検索できる機能も重要です。
共有とコラボレーション
図面をクラウドに保存し、リアルタイムでの共同編集やアクセスを可能にします。また、図面に対するフィードバックやコメントを残し、コミュニケーションを円滑にするコメント機能もあると良いでしょう。
バックアップとリカバリー
定期的に自動でデータをバックアップし、データ損失に備えることが大切です。誤って削除したファイルや過去のバージョンを復元できるリカバリー機能も大切です。特に小さな企業ではデータ損失の影響は計り知れないので、この機能は特に重要です。
ユーザーフレンドリーなインターフェースとコスト
操作が簡単で、ユーザーがすぐに利用できる直感的なユーザーインターフェースがあると良いでしょう。また、ユーザーのニーズに合わせてインターフェースをカスタマイズできる機能。動作が軽く、価格が安いことも重要です。
CADデータの管理:容易にできるものから大規模なものまで
CADデータ管理は、プロジェクトの規模や必要な機能に応じて、さまざまな方法とツールがあります。ここでは、容易に始められるものから大規模なシステムまで、順番に紹介します。
ローカルファイル管理
方法: 個々のファイルをローカルフォルダに保存し、バージョンを手動で管理。
利点: 初期コストがかからず、すぐに始められる。
注意点: バックアップや共有が難しく、バージョン管理が煩雑になりやすい。
適用範囲: 小規模なプロジェクトや個人利用。
CADシステム内蔵のデータ管理機能
CADシステムに付随するデータ管理ツールを使用。
利点: CADシステムと統合されているため、使いやすい。
注意点: 導入コストがかかることがある。
適用範囲: 中規模から大規模のプロジェクト。
専用のPDMシステム
方法: 専用のPDM(Product Data Management)システムを導入してデータを管理。
利点: バージョン管理やアクセス制御、データの一元管理が可能。
注意点: 導入コストや運用コストがかかる。
適用範囲: 中規模から大規模の企業やプロジェクト。
PLMシステム
方法: 製品ライフサイクル全体を管理するPLM(Product Lifecycle Management)システムを導入。
利点: 製品の設計、製造、販売、保守までを一元管理。
注意点: 導入と運用に高いコストがかかり、導入に時間がかかることも。
適用範囲: 大規模な企業や複雑な製品を扱うプロジェクト。
カスタムソリューション
方法: 特定のニーズに合わせたカスタムシステムやシステムを開発。
利点: 完全にカスタマイズされたソリューションで、特定の要求に最適。
注意点: 開発コストが非常に高く、維持管理が複雑。
適用範囲: 非常に大規模なプロジェクトや特定のニーズがある場合。
これらの方法やツールを選択する際には、プロジェクトの規模や予算、必要な機能を考慮し、最適なソリューションを選ぶことが重要です。
普通のCADデータの管理システムの組み合わせ
普通のCADデータの管理には、プロジェクトの規模や予算、必要な機能に応じて、以下のようなツールや方法の組み合わせが効果的です。
基本的なファイル管理にクラウドストレージサービスを利用
メリット: 手軽にデータの共有とバックアップができる。
デメリット: 大規模データの管理や高度なバージョン管理には不向き。
CADシステム内蔵のデータ管理機能を利用
メリット: CADシステムと統合されており、使いやすく、基本的なデータ管理機能を提供。
デメリット: システムごとに異なるため、複数のCADソフトを使っている場合には不便。
市販のプロジェクト管理ツールを利用
メリット: タスク管理やプロジェクトの進捗管理が容易にできる。
デメリット: CADデータの直接管理には不向きだが、プロジェクト全体の管理に有効。
市販のクラウドバックアップシステムを利用
メリット: データの損失に備えるための定期的なバックアップ。
デメリット: コストがかかる場合がある。
市販のコミュニケーションツールを利用
メリット: チームメンバー間のコミュニケーションを円滑にし、データ共有も簡単。
デメリット: 適切なファイル管理システムと併用する必要がある。
CADデータ管理システムの組み合わせ例
小規模プロジェクト
クラウドストレージサービス
プロジェクト管理ツール
コミュニケーションツール
中規模プロジェクト
CADシステム内蔵のデータ管理機能
クラウドストレージサービス
プロジェクト管理ツール
バックアップシステム
大規模プロジェクト
専用のPDMシステム
クラウドストレージサービス
プロジェクト管理ツール
バックアップシステム
コミュニケーションツール
(まとめ)CADデータの管理はプロジェクト規模に応じて考えましょう
以上CADデータの管理システムについて見てきました。
CADデータ管理システムは、プロジェクトの規模やニーズに応じて、適切に考えましょう。小規模なプロジェクトでは、クラウドストレージと基本的な管理ツールで十分ですが、中規模から大規模なプロジェクトでは、専用のPDMシステムやプロジェクト管理ツールを導入することで、より効率的かつ効果的なデータ管理が可能になります。
いずれにしても、小さな会社がコストをかけずにCADデータの管理システムを構築するには、市販のツールやシステムを組み合わせ、うまく活用していくことが大切です。
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