【2024年版】製造業向け図面管理システム20選!おすすめを現役設計者が厳選します
2024.02.26
製造業は今、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が来て、効率化と革新の大きな流れの中に乗るという選択肢を迫られています。DX化、IT化を進めて業務を効率化し、人手を増やさず大きな成果をあげる企業も増えています。
DX化の第一歩として挙げられるのが、図面の電子化です。紙の図面を電子データに変換することで、情報が共有しやすくなり、図面管理にかける工数を長期的に減らすことができます。
しかし、電子化した図面を効果的に管理するためには、適切な図面管理システムの導入が欠かせません。
この記事では、2024年現在の製造業向け図面管理システム20選を紹介します。各製品の特徴や、料金についても詳しく解説し、製造業のDX化を推進する上での強力なサポートとなることを目指します。
「設計から製造までのプロセスをスムーズにし、競争力を高めたい」
「製造業向けの図面管理システムはどんなものがあるか知りたい」
「クラウド図面管理システムに興味がある」
こんな人は、ぜひこの記事を読んでみてください。
さらに、今回の記事は、現役の設計者である筆者が、「独自の特徴を持つ図面管理システム」を厳選し、3選ピックアップしました。
「図面管理システムは、似たようなものばかりでどれがいいのか分からない……」という方も、ぜひ参考にしていただければと思います。
目次
- 図面管理システムとは
- 図面管理システムでできること
- 図面データの保存機能
- 関連文書の保存機能
- 検索機能
- 共有機能
- 図面改訂管理(リビジョン管理)機能
- 承認ワークフロー機能
- 図面管理システムのタイプ
- オンプレミス型の図面管理システム
- オンプレミス型が向いているユーザー:すでに自社サーバーを持っている企業
- クラウド型の図面管理システム
- クラウド型が向いているユーザー:中小企業、もしくは図面を社外で見る機会が多い企業
- CADベンダー型
- CADベンダー型が向いているユーザー:特定のベンダーのCADを使用している企業
- 独自の特徴を持つ図面管理システム3選
- ①CADDi DRAWER:独自の図面類似検索機能が充実
- ②TerioCloud:タブレット上で手書き情報や写真を図面に紐づけできる
- ③図面バンク:月額26,000円で気軽に導入できる
- オンプレミス型の図面管理システム7選
- AI類似図面検索
- D-QUICK7
- Hi-PerBT Advanced 図面管理
- NAZCA5 EDM
- PDMics
- 図管王 Standard
- 楽々Document Plus
- クラウド型の図面管理システム3選
- invoiceAgent 文書管理
- D-QUICK Cloud
- ズメーン
- CADベンダー型の図面管理システム7選
- Autodesk Vault
- COLMINA CADデータ管理
- ENOVIA
- Teamcenter
- SolidWorks PDM
- Windchill
- 図脳TeCA
- 自社の目的・予算に合った図面管理システムを選ぼう
- まとめ
図面管理システムとは
図面管理システムは、電子化した図面を一括管理するツールです。製造業では、製品の形状や組立情報などの設計思想を記す図面は利益の源泉と言えるものです。図面管理システムは、電子化された図面の検索性を高め、改版管理やアクセス制御を容易にし、関連するプロジェクトメンバー間での情報共有をスムーズに行うことを目的としています。
従来、多くの企業では図面を紙の形式で管理してきました。しかし、紙での管理には限界があります。大量の紙図面を物理的に保管するには、膨大なスペースが必要であり、必要な図面を素早く見つけ出すことも困難です。また、紙の図面は破損や紛失のリスクがあり、最新の情報に更新する過程での誤りや手間も無視できません。
図面管理システムの導入により、これらの課題は大きく解決されます。電子化された図面は社内サーバーやクラウドに保存されるため、物理的なスペースを取ることなく、必要な時にどこからでもアクセスすることが可能になります。
また、バージョン管理機能により、図面の最新状態を一元的に把握でき、複数のバージョンが混在するリスクを減らせます。さらに、検索機能やアクセス権限の設定が可能なため、図面の管理と共有がより効率的かつセキュアに行えるようになります。
図面管理システムでできること
図面管理システムは、主に以下のような機能を持っています。
図面データの保存機能
PDFファイルで電子化された図面、またはCADデータの図面を社内サーバーやクラウドに保存する機能。
関連文書の保存機能
図面に紐づいた見積書や、製品を構成する部品表(BOM)、図面通りの物を作るための工作機械のCAMデータなど、図面に関連した文書・データを一緒に保存する機能。
検索機能
保存された図面をファイル名などで検索する機能。製品によっては、似たような図面の候補を自動的にリストアップする類似図面検索機能もある。
共有機能
社内の設計部門以外で図面データを共有できる機能。製品によっては、社外に持ち出したタブレット経由で図面を閲覧できるものもある。
図面改訂管理(リビジョン管理)機能
図面の改訂(リビジョン)がいつ、誰によってなされたものなのか、最新版の図面はどの改訂なのかを管理する機能です。
承認ワークフロー機能
図面は、上位者の承認をもって正式に発行されたとみなされます。この承認を物理的なハンコではなく、PCから電子的に承認できる機能です。
図面管理システムのタイプ
図面管理システムは、主に次の3つのタイプに分類できます。
オンプレミス型の図面管理システム
オンプレミス型は、企業が自社のサーバーに直接システムをインストールし、運用するタイプです。
オンプレミス型の図面管理システムは、データの管理とセキュリティを完全に自社でコントロールできることがメリットです。一方で、自社サーバーがない場合はシステム導入の初期費用は大きくなりがちなこと、自社サーバーの運用・メンテナンスには専門知識が必要なことがデメリットと言えるでしょう。
オンプレミス型が向いているユーザー:すでに自社サーバーを持っている企業
すでに自社サーバーを持っている企業はオンプレミス型の導入がしやすいでしょう。自社のサーバーに追加で図面管理システムをインストールすれば、初期費用は比較的抑えることができます。
また、オンプレミス型は自社の業務システムと連携させたい企業にも向いています。たとえば、図面管理システム上のBOMを生産管理システムと連携させる、ということがオンプレミス型だと可能になります。
クラウド型の図面管理システム
クラウド型は、インターネットを通じてサービスを提供するタイプで、図面データをクラウドサーバー上に保存します。もともとオンプレミス型だった製品が、クラウド型のタイプもラインアップとして取りそろえるケースも出てきています。
クラウド型の図面管理システムは、初期投資を抑えられること、どこからでもアクセスできる柔軟性があることがメリットです。
クラウド型が向いているユーザー:中小企業、もしくは図面を社外で見る機会が多い企業
中小企業、もしくは図面を社外で見る機会が多い企業はクラウド型が向いているでしょう。
中小企業は、自社サーバーを持たない場合が多く、初期費用が低めのクラウド図面管理システムが比較的導入しやすいでしょう。また、図面を社外で見る機会が多い企業にとっては、社内ネットワークを経由する必要がないクラウド型が向いていると言えます。
CADベンダー型
CADベンダー型は、CADソフトウェアを提供しているベンダーが提供する図面管理システムです。CADベンダー型のデータの格納場所はオンプレミス型(自社でサーバーを構築し、その中に格納する)が主流でしたが、近年ではクラウド型(社外のクラウドサーバーにデータを格納する)の製品もあります。
CADベンダー型の図面管理システムのメリットは、そのベンダー製CADとの親和性が高いことです。たとえば、CADから直接図面管理システムにアクセスし、CADデータを保存することができます。
CADベンダー型が向いているユーザー:特定のベンダーのCADを使用している企業
CADベンダー型の図面管理システムが向いているユーザーは、そのベンダーのCADを使用している企業です。
CADと図面管理システムのベンダーを同じにしておくと、機能面でも連携がしやすくサポートもまとめて行えるというメリットがあります。
独自の特徴を持つ図面管理システム3選
ここからは、現役の設計者である筆者が製造業向けの図面管理システムを紹介します。
まずは、独自の特徴を持つ図面管理システム3選をピックアップします。
①CADDi DRAWER:独自の図面類似検索機能が充実
CADDi DRAWERは、キャディ株式会社が提供するクラウド型の図面管理システムです。
CADDi DRAWERの独自の特徴は、図面の検索機能が充実していることです。独自の画像解析アルゴリズムによって、似たような形状の図面を検索する、図枠に記載された情報(部品名、材質、サプライヤ―等)を自動で抽出しデータ化する、ということができます。
過去の図面を探すことが多い、機種展開のために類似図面を参考にして見積りする機会が多い、という方にはCADDi DRAWERがおすすめです。
CADDi DRAWERの料金は、公開されていません。図面数とアカウント数に応じた価格を問い合わせる必要があります。
参考URL:https://caddi-inc.com/drawer/
②TerioCloud:タブレット上で手書き情報や写真を図面に紐づけできる
TerioCloudは、沖電気工業株式会社が提供するクラウド型の図面管理システムです。
TerioCloudの独自の特徴は、タブレット上で図面に付帯情報を記録できることです。図面上に手書きの印やチェックマークを入れたり、タブレットで撮影した写真を図面に紐づけたりすることができます。製品の完成見本を製造現場で図面に付与する、といった使い方が可能です。
参考URL:https://www.oki.com/jp/TerioCloud/
③図面バンク:月額26,000円で気軽に導入できる
図面バンクは、株式会社New Innovationsが提供するクラウド型の図面管理システムです。
図面バンクの独自の特徴は、月額料金のお手頃さにあります。ユーザー数や図面の保管数に関係なく、定額(2024年2月時点では、月額26,000円)でご利用いただけます。
また、New Innovationsは自社で工場を持っていて、「root C」というAIカフェロボットを生産しています。自社工場の図面管理にも図面バンクを用いており、製造現場のニーズに合った図面管理システムを開発できることも強みです。
図面バンクは、図面管理システムとしての機能はシンプルです。高級な機能はいらないが、価格を安く抑えたいというユーザーにおすすめです。登録初月は無料ですべての機能を使える無料体験も可能です。気になる方はこちらから問い合わせできます。
参考URL:https://zumen-bank.com/
ここから、その他の製造業向け図面管理システムを紹介していきます。
オンプレミス型の図面管理システム7選
ここでは、オンプレミス型の図面管理システムを紹介します。
AI類似図面検索
AI類似図面検索は、株式会社テクノアが提供するオンプレミス型の図面管理システムです。
AI類似図面検索の特徴は、AIが過去図面から類似した形状の図面を検索する機能にあります。類似図面がリストアップされ、類似度をわかりやすく色と数字で表示します。
AI類似図面検索の料金は、初期費用がソフト300,000円、セットアップ200,000円、AI構築500,000円~です。利用料は、月額30,000円~となっています。
参考URL:https://www.techs-s.com/product/ai-ruiji
D-QUICK7
D-QUICK7は、株式会社アイサイトが提供するオンプレミス型の図面管理システムです。
D-QUICK7の特徴は、タブレットに入力した情報を図面管理システムと連携できることです。i-Reporterというツールを用いてタブレットから図面に手書き情報を入力し、D-QUCIK7のフォルダーに格納することができます。
D-QUICK7の料金は公開されていませんが、イプロス都市まちづくりのこちらのサイトによると、100~500万円の価格帯とのことです。詳細はベンダーに問い合わせる必要があります。
参考URL:https://d-quick.i-site.co.jp/d-quick7/
Hi-PerBT Advanced 図面管理
Hi-PerBT Advanced 図面管理は、株式会社日立ソリューションズ西日本が提供するオンプレミス型の図面管理システムです。
Hi-PerBT Advanced 図面管理の特徴は、オンプレミス型のメリットを活かした拡張性の高さです。BricsCADなどの2次元CADや外部システムとの連携機能が充実しており、自社のニーズに応じて柔軟なカスタマイズが可能です。
Hi-PerBT Advanced 図面管理の料金は、公開されていません。詳細はベンダーに問い合わせる必要があります。
参考URL:https://www.hitachi-solutions-west.co.jp/products/industry/ad/index.html
NAZCA5 EDM
NAZCA5 EDMは、新明和ソフトテクノロジ株式会社が提供する図面管理システムです。オンプレミス型の製品ですが、クラウド環境の構築にも対応しています。
NAZCA5 EDMの特徴は、製造業向けに必要最小限の基本機能を提供していることです。「簡単登録」「検索」「版管理」「ワークフロー」「構成管理」「プッシュ通知」「ToDo管理」の7つの基本機能を持ち、ユーザーごとに必要な機能はアドオン提供します。
NAZCA5 EDMの料金は、標準機能のみのセルフ導入プランが195万円~、要件定義を経た最適なシステムを提供するフルカスタムプランが800万円~となっています。
参考URL:https://nazca5edm.stec.co.jp/
PDMics
PDMicsは、株式会社アイ・シー・エスが提供するオンプレミス型の図面管理システムです。
PDMicsの特徴は、必要最低限の機能を備えながらも、CADソフトと連携できることです。PDMicsの製品紹介ページによると、「図面作成後、そのままCADソフトの画面から図面をアップロードしたり、図枠にPDMicsに登録した属性情報を読み込むことができます。」とのことです。
2024年2月現在、PDMicsと連携可能なCADは以下です。
2DCAD:AutoCAD、AutoCAD Mechanical、BricsCAD
3DCAD:iCAD SX(※単体部品データの管理のみ)
PDMicsの料金は、最小構成(サーバ+5ライセンス)で100万円からとなっています。
参考URL:https://www.ise-ics.co.jp/lp/pdmics/
図管王 Standard
図管王 Standardは、株式会社デザイン・クリエイションが提供するオンプレミス型の図面管理システムです。
図管王 Standardは、さまざまなデータを保管、高速プレビュー表示ができるのが特徴です。AutoCAD、JW-CADなどの2次元CAD、CATIA、Solidworksなどの3次元CADに加え、Word、Excel、PowerPointなどのオフィス系文書や、PDF、JPEGなどのファイル形式に対応しています。
また、ファイルやフォルダに対してユーザー権限を7レベルに細かく設定することができます。たとえば、「ビュー権限」が付与されたユーザーは、図面の表示のみが可能で、印刷はできません。
図管王 Standardの料金は、Standard基本サーバーが800,000円、Standard基本クライアントセット(数量:5)が480,000円です(2024年2月現在)。料金は、ライセンス数やオプション製品の追加によって変動します。
参考URL:https://www.dcrea.co.jp/product/zukanohs/
楽々Document Plus
楽々Document Plusは、住友電工情報システム株式会社が提供するオンプレミス型の文書管理システムです。一般的な社内文書を管理するための製品ですが、図面管理も可能となっています。
楽々Document Plusの特徴は、専用ソフト不要でDXFファイルなどの図面を表示できる高速ビューワ機能にあります。また、マルチデバイスに対応し、製造現場や外出先でもタブレットで図面を参照できます。
楽々Document Plusの料金は、150万円~となっています。ユーザー数によって料金は異なりますので、詳細はベンダーに問い合わせる必要があります。
参考URL:https://www.sei-info.co.jp/document-plus/
クラウド型の図面管理システム3選
ここでは、クラウド型の図面管理システムを紹介します。
invoiceAgent 文書管理
invoiceAgent 文書管理は、ウイングアーク1st株式会社が提供するクラウド型の文書管理システムです。クラウド型の提供が主ですが、オンプレミス版のラインアップもあります。一般的な社内文書を管理するための製品ですが、図面管理システムとして使っている事例もあります。
invoiceAgent 文書管理の特徴は、Web APIを用いてさまざまな業務システムや外部クラウドサービスと連携ができることです。たとえば、ワークフローシステムのintra-martと連携し、intra-martで申請した情報をinvoiceAgentに保管・閲覧できます。
invoiceAgent 文書管理の料金は、最小プランで月額3万円/10ユーザー~となっています。ユーザー数やオプションによって料金は異なりますので、詳細はベンダーに問い合わせる必要があります。
参考URL:https://www.wingarc.com/product/ia/documents/index.html
D-QUICK Cloud
D-QUICK Cloudは、株式会社アイサイトが提供するクラウド型の図面管理システムです。
D-QUICK Cloudの特徴は、容量無制限のオンラインストレージ「Box」と連携できることです。図面をBox内に格納し、D-QUICK Cloudで図面や技術文書の管理を行うことで、サーバーの容量を気にせずに図面管理ができます。
D-QUICK Cloudの料金は公開されていません。詳細はベンダーに問い合わせる必要があります。
参考URL:https://d-quick.i-site.co.jp/d-quick-cloud/
ズメーン
ズメーンは、株式会社FactBaseが提供するクラウド型の図面管理システムです。
ズメーンの特徴は、図面にさまざまな情報(見積書、工程指示書、検査成績書など)を紐づけて保存できることです。製造現場でのものづくりは、図面以外にも必要な書類があります。たとえば、部品の加工後の寸法測定結果を記す検査表や、現物の仕上がり見本となる写真などです。このような書類をズメーンでは一元管理できます。
ズメーンの料金は、公開されていません。ベンダーへの問い合わせが必要です。
ズメーンの料金の推測ですが、おそらく月4万円程度と推測できます。
その根拠は、こちらの記事に「設備のリースの支払額をギリギリ下回る価格に決めました」と記載があることです。設備のリースの支払いは月5万円くらいとのことなので、ズメーンの料金は月4万円程度と推測できます。
出展:たった半年で「町工場向けSaaS」を立ち上げ、内諾100件で法人化するまでの話
参考URL:https://lp.zume-n.com/
CADベンダー型の図面管理システム7選
ここでは、CADベンダー型の図面管理システムを紹介します。
Autodesk Vault
Autodesk VaultはAutoCADのベンダー Autodesk社の図面管理システムです。
Autodesk Vaultの特徴は、AutodeskのCADシステムと連携していることです。AutoCAD、Inventorなどから直接Vaultを起動したり、部品表をエクスポートしたりできます。
Autodesk Vaultの料金は、サブスクリプションライセンスで1ユーザーあたり年間123,200円です。
参考URL:https://www.autodesk.co.jp/products/vault/
COLMINA CADデータ管理
COLMINA CADデータ管理は、iCADのベンダーである富士通株式会社が提供する図面管理システムです。
COLMINA CADデータ管理の特徴は、iCADとの連携がスムーズでにできることです。iCADから直接COLMINA CADデータ管理にアクセスし、CADデータを保存することができます。
COLMINA CADデータ管理の料金は、2015年時点で150万円(5ライセンス)となっています。最新の価格情報を確認するにはユーザー登録が必要となっています。
参考URL①:https://plm-biz.feast.fujitsu.com/solution/cadmanage_cdm.html
参考URL②:https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1502/25/news015.html
ENOVIA
ENOVIAは、ダッソー・システムズが提供するCADベンダー型の図面管理システムです。
ENOVIAの特徴は、拡張性が高いことです。CADデータ管理以外にも、BOM管理、プロジェクト管理、サプライヤー管理など、製品全体のプロセスが管理できるような機能を拡張することができます。
ENOVIAの料金は、公開されていません。詳細はベンダーに問い合わせる必要があります。日本では、大塚商会がダッソー・システムの代理店になっています。
参考URL:https://www.cadjapan.com/products/items/3dexperience_enovia/
Teamcenter
Teamcenterは、シーメンスが提供するCADベンダー型の図面管理システムです。
Teamcenterの特徴は、マルチCADデータ管理に対応していることです。シーメンスはNXというCADを提供していますが、それ以外の主要CADのデータを管理し、形状プレビューが可能です。対応CADはAutoCAD、CATIA、Creo、Inventor、NX、SolidEdge、SolidWorksのほか、Mentor GraphicsなどPCB設計CADがあります。
また、Teamcenterにはオンプレミス型とクラウド型の両方のラインアップがあり、初期投資を抑えたいユーザーはクラウド型の選択肢があります。
Teamcenterの料金は、公開されていません。ベンダーへの問い合わせが必要です。
参考URL①:https://plm.sw.siemens.com/ja-JP/teamcenter/
参考URL②:https://www.exa-corp.co.jp/solutions/teamcenter/cad.html
SolidWorks PDM
SolidWorks PDMは、ダッソー・システムズが提供するCADベンダー型の図面管理システムです。
SolidWorks PDMの特徴は、Solidworksとの連携機能にあります。SolidWorksは日本で使用率の高い3D-CADで、製造業でも採用している企業は多いです。SolidWorksのアドイン機能で、CADから直接SolidWorks PDM内のファイルにアクセスできます。
SolidWorks PDMの料金について解説します。
図面管理システムの基本的な機能を持つSolidWorks PDM Standardは、SolidWorks Professional以上を使っている場合、無償で利用可能です。SolidWorks Professonal以上のユーザーはまず検討したい図面管理システムと言えます。
大企業向けの高機能がそろうSolidWorks Professionalのライセンス価格は、以下のようになっています。
SolidWorks PDM Professional CAD Editor:409,000円
SolidWorks PDM Professional Contributor:298,000円
SolidWorks PDM Professional Viewer:709,000円(5ライセンス)
ライセンス数によって価格は変動するため、詳細はベンダーに問い合わせる必要があります。
参考URL①:https://www.solidworks.com/ja/product/solidworks-pdm
参考URL②:https://www.canon-its.co.jp/products/solidworks_pdm/
Windchill
WindchillはCreoのベンダー PTC社の図面管理システムです。
Windchillの特徴は、PTC社の3D-CADであるCreoとの連携機能にあります。Creo上からWindchillにデータを格納することができ、CreoのCADデータをブラウザ上で確認できます。近年はTeamcenter同様、マルチCADに対応し、Creo以外のCADデータも管理できるようになっています。
Windchillの価格は、オプションによって異なりますので、ベンダーに問い合わせが必要です。参考までに、CADデータ管理をメインにした場合の構成は、Windchill Base:102,000円、Windchill Creo Data Management & Visualization:69,300円となっています(2019年9月現在)。
参考URL①:https://bizroad-svc.com/windchill/
参考URL②:https://www.cadjapan.com/products/items/windchill/price.html
図脳TeCA
図脳TeCA(ティーカ)は、株式会社フォトロンが提供するCADベンダー型の図面管理システムです。同社は図脳RAPID PROという2D CADのCADベンダーです。
図脳TeCAの特徴は、Webブラウザを使ってアクセスができることです。図面ファイルはアップロード時に自動的にPDF化され、WebブラウザのGoogle ChromeやSafariから図面の閲覧が可能です。たとえば、製造現場でiPad上で図面を閲覧する、という使い方が想定できます。
図脳TeCAの料金は、公開されていません。ベンダーへの問い合わせが必要です。
参考URL:https://www.photron.co.jp/service/cad/products/teca/
自社の目的・予算に合った図面管理システムを選ぼう
ここまで、製造業向けの図面管理システムをご紹介しました。
図面管理のやり方は、企業によって様々です。自社で使いたい機能を明確にし、自社の予算・運用に合った製品を導入することが重要です。
「高機能である=自社にとって良い図面管理システム」とは限りません。現場の社員が抵抗感なく使ってもらえることがシステム導入のポイントです。そのためには、自社の製造・設計現場の課題を正しくつかみ、その課題を正面から解決する必要があります。
高機能な図面管理システムはたしかにさまざまな機能が付き、なんでもできるように見えます。しかし、高機能なシステムは操作を覚えるためのハードルが高くなるというデメリットがあります。とりあえず有名そうなシステムを導入してみたものの、社員もシステムに慣れずに結局使われなかった、という事例もあるはずです。
まとめ
今回は、現役の設計者である筆者が「製造業向け図面管理システム20選」を紹介しました。
図面管理システムにはさまざまな製品が存在しますが、どの製品にも同じような基本機能が備わっています。そのため、一見どの製品が自社にとって向いているのか分からないかもしれません。
まずは、自社の運用したい方法や、拡張機能の有無、予算を判断基準とし、図面管理システムのベンダーに問い合わせてみましょう。そうすれば、候補がある程度絞れてくると思います。
「図面管理システムはたくさんありすぎて、どれが良いのかがわからない」
という方は、まずは独自の特徴を持つ図面管理システム3選から検討してみてはいかがでしょうか。
「基本的な機能でいいから、図面管理システムを体験してみたい」
という方は、無料体験が可能な図面バンクをぜひ一度使ってみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ここまで読んでくださったあなたは、「製造業での図面管理に課題を抱えている」と少しでもお思いではないかと思います。図面は製造業にとって重要な資産です。この機会に、図面を活用する機会を増やし、自社の生産性を向上できる図面管理システムの導入をご検討いただけると幸いです。
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