Macで使用できる図面アプリと使用上の注意点

2024.08.30

皆さんはPCはWindowsだけだと思っていませんか?マイナーな存在ですが無視できないプラットフォームにMacがあります。

Macは大変優れたグラフィック性能とユーザインターフェースを持ち、高いセキュリティー能力を持ったプラットフォームで、いまだに根強い人気があります。

一方CADはWindows向けが大多数ですが、Macであっても工夫次第でこれらのシステムを動作させることが可能です。

ここでは、Macで使用できるCADシステムをいくつか紹介し、Macで機械設計CADを動作させるメリット・デメリットについて解説し、最後に動作させるうえでの工夫を述べたいと思います。

Macで使用できる図面アプリ

Macで使用できる図面アプリをいくつか紹介します。

AutoCAD

AutoCADは、建築、エンジニアリング、製図の分野で広く使用されているプロフェッショナルなCADソフトウェアです。多機能で精密な図面を作成することができます。

LibreCAD

LibreCADは、2D CAD図面を作成するためのオープンソースアプリです。無料で使用でき、基本的なCAD機能を備えています。建築やDIYプロジェクトに適しています。

それぞれのアプリに特徴があるので、自分のニーズに合ったものを選ぶと良いでしょう。

機械設計に向いたMac用CADシステム

機械設計に特化したMac用のアプリもいくつかあります。以下は、機械設計に適したソフトウェアのリストです。

SolidWorks (via Virtualization)

SolidWorksは、機械設計で広く使用されている3D CADソフトウェアですが、Macにはネイティブ版がありません。ただし、仮想化ソフトウェア(Parallels DesktopやVMware Fusion)を使ってWindows環境を構築すれば、Macでも利用可能です。

Fusion 360

AutodeskのFusion 360は、クラウドベースの3D CAD、CAM、CAEツールで、Macでもネイティブに動作します。機械設計、シミュレーション、アセンブリなど、プロフェッショナルな機能を幅広く備えています。

Onshape

Onshapeは、クラウドベースのCADソフトウェアで、ブラウザを通じて使用できるため、Macでも問題なく動作します。3Dモデリング、アセンブリ、ドキュメント管理が可能で、チームでのコラボレーションにも適しています。

FreeCAD

FreeCADは、オープンソースの3D CADソフトウェアで、機械設計に必要な多くの機能を備えています。パラメトリックモデリングに対応しており、カスタマイズ性が高いのが特徴です。

Macで機械設計CADを使うメリット

Macで機械設計CADを使うメリットはいくつかありますが、以下の点が特に挙げられます。

高い品質と信頼性

MacはAppleによって設計・製造されており、ハードウェアとソフトウェアが緊密に統合されています。このため、動作の安定性が高く、機械設計のようなプロフェッショナルな用途でも信頼して使用できます。

優れたユーザーインターフェース

macOSは使いやすいユーザーインターフェースを提供し、直感的な操作が可能です。特にグラフィック関連の作業で、スムーズかつ効率的に操作できる点は、デザインワークやCAD操作の際に役立ちます。

高解像度ディスプレイ

MacのRetinaディスプレイは、非常に高い解像度と色再現性を誇ります。これにより、細部の確認が必要な機械設計において、設計図や3Dモデルをクリアに表示でき、精密な作業が可能になります。

エコシステムの充実

MacはiPhoneやiPadなど、他のAppleデバイスとの連携がスムーズです。例えば、設計データをiCloudを使って同期し、いつでもどこでもアクセスできるほか、iPadをサブディスプレイとして利用するなど、効率的に作業を進められます。

クロスプラットフォーム対応

Fusion 360やOnshapeなどのクラウドベースのCADソフトは、Macでもネイティブに動作し、他のOSとデータの互換性も確保されています。これにより、Windowsユーザーとの共同作業もスムーズに行えます。

セキュリティの高さ

macOSは、堅牢なセキュリティ機能を備えており、機械設計の機密データを安全に保護することができます。特に、企業向けのプロジェクトで機密性が重要な場合に安心です。

安定したソフトウェア更新

macOSは定期的にアップデートされ、最新のセキュリティパッチや機能が提供されます。これにより、CADソフトウェアが最新の環境で動作し続けることが保証されます。

多機能なネイティブツール

macOSには、スクリーンショット、画面収録、メモ、プレビューなど、多機能で直感的なツールが内蔵されています。これらを組み合わせることで、設計プロセスを効率化できます。

これらのメリットにより、Macは機械設計においても強力なプラットフォームとなり得ます。ただし、業界標準のWindows専用ソフトウェアを利用する場合は、仮想化やデュアルブートを考慮する必要があります。

Macで機械設計CADを使うデメリット

Macで機械設計CADを使う際のデメリットもいくつかあります。以下に主な点を挙げます。

ソフトウェアの対応範囲が限定的

機械設計においては、SolidWorksやCATIAなど、Windows専用のCADソフトが多くあります。これらをMacで使用するには、仮想化ソフトやBoot CampでWindowsをインストールする必要があり、手間やコストが増えることがあります。

ハードウェアの制約

一部のMacモデルでは、グラフィックカードの選択肢が限られているため、3Dレンダリングや複雑なシミュレーションの際に、パフォーマンスが不足する可能性があります。特に、重いグラフィック処理が必要な大規模な機械設計には不向きな場合があります。

拡張性の低さ

Macは基本的にハードウェアのカスタマイズやアップグレードが難しい設計です。特に、ストレージやメモリの拡張が制限されるため、長期的に高性能な作業を維持するのが難しい場合があります。

価格が高い

Macは一般的にWindowsマシンよりも高価です。特に、機械設計向けに高性能なMacを購入する場合、初期コストがかなり高くなることがあります。

ソフトウェアの互換性

業界標準の機械設計ツールはWindowsベースのものが多いため、データ互換性やファイル共有において問題が発生することがあります。また、特定のプラグインやアドオンがMacで利用できない場合もあります。

少数派であること

機械設計の分野では、Windowsユーザーが圧倒的に多いため、Macでの使用に関する情報やサポートが限られていることがあります。特定の問題に直面した際、解決策を見つけるのが難しいこともあります。

周辺機器の対応

特定のCAD用周辺機器やドライバがMacに対応していない場合があります。例えば、3Dマウスや特定の計測機器など、機械設計で使用する一部の専用ハードウェアがMacで使えない可能性があります。

仮想化ソフトの追加負担

Windows専用のCADソフトを仮想化ソフトウェア(Parallels Desktop、VMware Fusionなど)で動作させる場合、パフォーマンスが低下することがあります。また、仮想化ソフト自体の購入やWindowsライセンスの追加費用が発生します。

特定ソフトの動作保証がない

一部の機械設計ソフトウェアは、Mac環境での動作保証がされていないため、予期せぬ不具合やサポート外の問題が発生するリスクがあります。

これらのデメリットを考慮すると、Macは特定の用途やニーズに応じて機械設計での利用が適している場合もありますが、特にハイエンドな機械設計や業界標準ソフトウェアの使用を考える場合、Windows環境を選ぶ方が無難なことが多いです。

それでもMacを使う理由

Macを使う理由は、機械設計においても、特定のニーズや環境においては非常に魅力的です。以下に、デメリットがあってもなおMacを使う理由をまとめます。

美しいディスプレイ

高解像度かつ色彩の豊かなRetinaディスプレイは、設計図や3Dモデルの細部を鮮明に表示します。特に色の正確さや視覚的な美しさが求められる場面では、Macのディスプレイが強力なツールとなります。

セキュリティの高さ

macOSはウイルスやマルウェアに対する耐性が高く、システム全体のセキュリティが強化されています。機械設計の機密データを安全に保つことができ、安心して作業を進めることができます。

クリエイティブワークとの相性

Macはクリエイティブな作業に強いプラットフォームであり、機械設計だけでなく、デザインやビジュアルの制作を一貫して行いたい場合には非常に適しています。デザインとエンジニアリングを一体化して考えるプロジェクトには特に向いています。

Macを機械設計で使うための工夫

Macを機械設計で効果的に使うためには、いくつかの工夫や戦略が必要です。以下にそのポイントをまとめます。

仮想化ソフトウェアの活用

Windows専用の機械設計ソフトを使いたい場合、仮想化ソフトウェアを利用してMac上でWindows環境を構築します。これにより、MacでWindows専用アプリを利用可能になります。ただし、パフォーマンスの確保のために、十分なメモリとストレージを確保することが重要です。

Boot CampでのWindowsデュアルブート

仮想化ソフトよりも高いパフォーマンスが必要な場合、Boot Campを使ってMacにWindowsをデュアルブートすることが有効です。これにより、Macのハードウェアをフルに活用して、Windows環境で機械設計ソフトをネイティブに動作させることができます。

クラウドベースのCADソフトの利用

クラウドベースのCADソフトウェアは、Macでもネイティブに動作し、Windowsや他のプラットフォームとの互換性もあります。これらを使用することで、ハードウェアの制約を気にせずに高機能な設計ツールを利用できます。

iPadとの連携

MacとiPadを連携させ、iPadをサブディスプレイやApple Pencilを使ったデザインツールとして活用します。例えば、Sidecar機能を使えば、iPad上で詳細な図面の描画やコメントを追加でき、設計作業がより効率的になります。

(まとめ)Macも使い方次第でCADを使った機械設計に十分使えます

以上、Macを使った機械設計CADについて考えてきました。

Macはセキュリティ性が高く、例えば裁判所などのようにデータの機密性が特に要求される場面で使われることが多いプラットフォームです。また、機械設計であれば、デザイン重視の場合に良く使われます。さらに、グラフック性能やユーザーインターフェースが優れており、長時間使用しても疲れにくいと言われています。

機械設計でもこれらに該当する場合には、使用を考えてみてもいいかもしれません。ただし、それなりの工夫は必要になります。

いずれにしても、CADシステムやプラットフォームはあくまで道具にすぎません。大切なのは「自分の頭」で考えることです。いままでも、これからもそれが重要です。

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