図面の第三角法とは?第一角法との違いを図解で解説します

2026.05.17

「図面の第三角法」と聞いて、すぐに第一角法と第三角法の違いを説明できるでしょうか?

本記事では現役機械設計者の筆者が、①第三角法の原理、②三面図の配置ルール、③第一角法との違い、④海外取引の実務リスクと対策の4点について、わかりやすく解説します。

3D CAD時代でも2次元の図面を正しく読む力は必須スキルです。日本の機械製図は第三角法が標準で使われています。一方、海外の図面は第一角法が採用されている国が多いです。そのため、第三角法と第一角法を読み間違えると形状を間違えるリスクがあります。

新人設計者や設計部門に異動された方、製造現場や調達・営業の方まで、この記事を読み終える頃には三角法の判別と図面トラブルの予防法が身についているはずです。

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図面の第三角法とは?まずは基本を押さえよう

第三角法のイメージ

機械製図における第三角法とは、立体物を2次元平面で表現するための投影法の1種です。3次元の立体を、正面・平面・側面など複数の方向から平面に投影することで、形状や寸法を正確に伝える手法を指します。

投影法には大きく分けて第一角法と第三角法の2種類があり、日本ではJIS B 0001(機械製図)において第三角法を使うことが定められています。一方、ヨーロッパは第一角法が主流であり、国際規格ISO 128-3:2020では第三角法についても記載されています。

歴史的なルーツをたどると、画法幾何学を体系化したフランスのガスパール・モンジュにさかのぼります。第一角法はその枠組みの中で定式化されました。その後、アメリカで合理的な配置として第三角法が普及し、日本もアメリカの製図文化の影響を受けて第三角法を採用しています。

機械製図のJIS規格「JIS B 0001」は無料で閲覧することができます。下記の記事でやり方を解説しました。

第三角法の原理:透明なシートに投影するイメージで理解しよう

第三角法の原理説明の図
第三角法の原理

第三角法を理解する最もわかりやすい方法は、「対象物を透明なシートに投影する」イメージで捉えることです。

具体的には、対象物と観察者の間に投影面(薄いガラスのような透明なシート)があり、観察者から見た位置の対象物がシートに投影されると考えます。第三角法は、「観察者が方向を変えて物を観察したままの位置に図が並ぶ」配置になっています。

第三角法における投影図の配置ルール

第三角法における三面図の配置イメージ
第三角法における投影図

物体の形状を最も明瞭に表す投影図を正面図とします。第三角法では、観察者から見える方向にそのまま図を配置します。具体的なルールは次のとおりです。

・平面図:正面図の上側
・下面図:正面図の下側
・右側面図:正面図の右側
・左側面図:正面図の左側
・背面図:右側面図の右側、または左側面図の左側

この配置ルールは「対象物を見た方向にそのまま図が並ぶ」ため、直感的に把握しやすい構成になっています。

第三角法と第一角法の違い

第三角法vs第一角法の配置比較イメージ図
第三角法vs第一角法の配置比較

両者の最大の違いは、正面図に対する各投影図(平面図など)の配置です。

項目第三角法第一角法
平面図の位置正面図の正面図の
右側面図の位置正面図の正面図の
左側面図の位置正面図の正面図の
主な採用国日本・アメリカ・カナダ・韓国ドイツ・フランス・中国・インド
主な製図規格JIS B 0001ISO 128-3:2020
投影図の配置見たままの方向で配置裏側から見るイメージ

日本やアメリカでは第三角法が採用されており、一方でヨーロッパや中国では第一角法が採用されています。現行のISO 128-3:2020(旧 ISO 128-30)では、第一角法・第三角法のいずれも認められており、両方の図面が混在(主に国によって違う)している状態です。そのため海外取引では、「この図面の投影法は第三角法か、第一角法か?」を必ず確認しましょう。

投影法を表す専用のシンボル(投影法記号)が規定されています。このシンボルは円すい台の正面図と側面図を組み合わせた形で、第三角法では円すい台の細い端が円側を向く配置になります。第一角法では正面図と側面図の配置が逆になります。

第三角法の記号と第一角法のシンボル
第三角法と第一角法のシンボル

第三角法と第一角法の違いがわかる説明3選

ここでは、第三角法と第一角法の違いがわかる説明を3つ紹介します。

いずれかご自身がイメージできるもので構わないので、第三角法と第一角法の違いを理解するきっかけにしてください。

①投影される透明なシートの位置:第三角法は物と人の間、第一角法は物の向こう側

対象物が投影される透明なシートの位置に注目しましょう。
第三角法はシートが「物と人の間」にあります。

第三角法の投影位置
第三角法の透明シートの位置

第一角法は透明なシートは「対象物の向こう側」にあります。

第一角法の投影位置
第一角法の透明シートの位置

②三角法は第三象限、一角法は第一象限に物体を置く

第三角法は座標の第三象限に物体を置いて、各座標軸上の平面に投影します。

第三象限から投影するイメージ
第三角法:第三象限から投影

第一角法は座標の第一象限に物体を置いて、平面に投影します。

第一象限から投影するイメージ
第一角法:第一象限から投影

筆者はこの説明で第一角法をイメージできるようになりました。

③第三角法は人が動く、第一角法は物が動く

Xのポストで、第三角法と第一角法の違いを解説する投稿がありました。

確かに第一角法では、正面図の部品を回転させ、左側に置いた形は右側面図になります。
筆者としてはこのイメージもわかりやすいと思ったのですが、いかがでしょうか?

海外取引で三角法を間違えるとどうなる?実務リスクと対策

図面の第三角法、第一角法を読み間違えると、形状が違う部品ができ、手戻りが発生します。特に海外メーカーから受け取った図面は、必ず投影法を確認するようにしましょう。

◆手戻りが発生しうる事例◆
ドイツのサプライヤーから届いた第一角法の金型図面を、日本人加工者が第三角法と思い込んで部品を加工しました。日本側の発注者も、「この図面は第一角法で書かれたものです」など特にコメントもなく、図面はそのまま加工メーカーに渡されました。
第一角法では右側面図が正面図の左側に配置されますが、第三角法と思い込んで左側面図と誤認した結果、穴位置を左右逆に加工してしまいました。
金型の作り直しと納期遅延で損失額は数百万円の規模になりました。

このような事故を防ぐ対策は3つ考えられます。

①投影法を必ず確認する:図枠に投影法を表す円錐台のシンボルがあるはずなので、確認する。
②3Dモデルを併用する:可能であればSTEPやパラソリッドなどの3Dデータも受領し、図面の形状と照合する。
③社内チェックリストを整備する:海外図面を扱う際の確認項目を標準化する。

図面の第三角法とデジタル管理:2次元図面もデジタルで管理する時代へ

「図面バンク」の図面プレビュー画面

もともと第三角法は2次元の紙に3次元の物体を表現する手法です。現在はCAD設計に移行しており、2次元情報の図面であってもデジタルデータで作成・管理する企業が大半です。

図面のデジタルデータ管理は「図面管理システム」と呼ばれる専用の管理ソフトを使うことがおすすめです。
下記の記事で、図面管理システムができることやオススメ製品を解説しました。

図面管理システムを用いると、
・図面と一緒に過去の見積もりデータや既存の加工・検査データを格納できる
・版管理ができ、どのバージョンが最新なのかを社内の関係者全員ですぐに共有できる
・図面ファイルが大画面のビューワーで表示され、欲しい図面が探しやすい
といったメリットがあります。

例えば「図面バンク」では、PDFやDXF図面の他、Excel、Word、パワーポイントの中身も横断サーチできます。また、3D CADファイルや動画ファイルのプレビューにも対応しており、図面関連のファイルが探しやすくなっています。

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第三角法に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、図面の第三角法に関するFAQをご紹介します。

Q1. 第三角法と第一角法、どちらが新しいですか?

第一角法のほうが古い投影法です。18世紀末にフランスのガスパール・モンジュが体系化した画法幾何学の中で第一角法が定式化され、その後アメリカで第三角法が考案されて普及しました。歴史的には第一角法→第三角法の順です。

Q2. 図面を見てもどちらの投影法か分からない時はどうすればいい?

まず図面の図枠内(多くは右下のタイトルブロック付近)にある投影法シンボルを探してください。シンボルがない場合は、発注元または作図者に直接確認するのが最も確実です。

Q3. 第三角法は機械設計以外でも使いますか?

はい。建築図面、土木図面、家具設計、プロダクトデザインなど、立体を平面で表現するあらゆる分野で使用されます。ただし業界や企業によって採用される投影法が異なる場合があるため、標準で使われる投影法を最初は確認しましょう。

Q4. 3D CADで設計する時代に第三角法を学ぶ意味はありますか?

結論から言えば、第三角法の理解は依然として必須スキルです。理由は製造現場では今も2次元の図面(2D図面)が主流であり、多くの場合寸法・公差・表面形状などの情報は2D図面で伝達されるからです。

設計を3Dでしたとしても、最終的な情報は2D図面で承認・出図されるのが実情です。製図の投影法、第三角法を理解することは、ひらがなの読み方と同じで製図の基礎知識になります。ぜひこのコラムで原理や第一角法との違いを理解してください。

(まとめ)第三角法を理解して図面トラブルを未然に防ごう

本記事では、図面の三角法について第三角法と第一角法の違い、配置ルール、海外取引のリスクと対策を解説しました。

ポイントを整理すると次のとおりです。

・日本の機械図面はJIS B 0001で第三角法が標準とされている
・第三角法の投影図は「見たまま配置」、第一角法の投影図は上下と左右が入れ替わる
・投影法は図枠に記載されたシンボル(円すい台)で判別可能
・海外取引では必ずシンボルを確認し、できれば3Dデータも併用する

図面管理に関するご相談は、図面バンクのお問い合わせフォームからご連絡ください。中小製造業のDX推進と図面トラブルの予防もふまえてサポートさせていただきます。

参考文献

・出典:日本産業標準調査会「JIS B 0001:2019 製図-機械製図
・出典:ISO「ISO 128-3:2020 Technical product documentation (TPD) – General principles of representation
・出典:AMADA「板金加工の基礎講座 第4回 形状の表し方
・出典:日経xTECH「第三角法のルールを知ろう
・出典:X