機械設計のキャリアの組み立て方

2024.07.19

機械設計技術者の皆さんには様々なキャリアパスがあります。会社に残ってマネジメントや営業に移る人が多いですが、中には研究開発に進む人や、弁理士の資格を取り、あるいは特許技術者として知財の世界に入る人もいます。

そして、多くはありませんがスペシャリストとして独立して機械設計事務所を開業する人もいます。

ここでは、機械設計技術者として多くの人が進む「会社に残ってマネジメント・営業」のキャリアと、それと対照的な「スペシャリストとして独立して設計事務所」を開くというふたつのキャリアについて考えてみたいと思います。

機械設計のキャリアを効果的に組み立てるためのステップやポイント

基礎教育と学位の取得

まず、機械工学、機械設計、または関連分野で学士号を取得することは、キャリアの基盤を築くための第一歩です。

専門スキルの習得

CADシステムの操作スキルを習得します。また、FEA(有限要素解析)ソフトウェアやCFD(流体解析)システムの使い方を学び、設計の性能評価を行います。この間、新しい技術やトレンドを追いかけ、定期的に研修やセミナーに参加します。

ネットワーキングと業界との関わり

日本機械学会(JSME)などの学会に参加し、最新情報を入手しつつ、ネットワーキングを行います。また、業界のカンファレンスや展示会に参加して、新しい技術や製品に触れ、業界の専門家と交流します。

プロジェクト管理スキルの向上

プロジェクトリーダーやマネージャーの役割を引き受けることで、リーダーシップやプロジェクト管理スキルを磨きます。

機械設計は会社に残ると最終的にはマネジメントや営業に移ることが多い

機械設計職に就いていると、キャリアの進展に伴い、マネジメントや営業への移行が一般的なパターンとして見られることが多いです。

理由

経験の長い人は、深い技術知識とプロジェクト経験を持つため、その知識を活かしてチームやプロジェクトの管理が求められます。

また、組織が成長するにつれて、プロジェクトの規模や複雑さが増し、技術的なリーダーシップが必要となります。

さらに、技術的なバックグラウンドを持つ者が営業に移行することで、顧客との信頼関係を築きやすく、技術的な問題にも迅速に対応できるからです。

具体的なキャリアパスの例

・技術専門職からマネジメント職:初級エンジニア → 上級エンジニア → プロジェクトリーダー → 部門マネージャー → 部門長

この場合、途中でMBAなどの経営学の修士号を取得すると、マネジメントスキルを体系的に学ぶことができます。

・技術専門職から営業職:初級エンジニア → 上級エンジニア → 技術営業(セールスエンジニア) → 営業マネージャー → 営業部長

この場合、営業に必要なマーケティングや販売戦略の知識をオンラインコースや研修で学ぶとスムーズです。

機械設計職からのキャリア移行は、個々の興味や適性によって異なります。自分に合ったキャリアパスを見つけるためには、自己評価と継続的な学習が重要です。マネジメントや営業への移行を考える際には、必要なスキルや経験を積極的に身につけ、自分の価値を高める努力を続けましょう。

スペシャリストでいたい場合には自分で機械設計事務所を開業するのも良い

機械設計のスペシャリストであり続けたい場合、独立して機械設計事務所を開業することは非常に有力な選択肢です。

具体的な独立の成功のためのコツ

・特定の分野に特化する。例えば、自動車部品、医療機器、産業機械など、特定の分野に特化することで専門性を高めます。

・新しい技術の導入。例えば3DプリンティングやAIを活用した設計など、先進技術を取り入れることで競争力を強化します。

独立して機械設計事務所を開業することは、自分のスキルと経験を最大限に活かし、自己実現を図る素晴らしい機会です。綿密な計画と準備を行い、自信を持ってチャレンジしましょう。

独立のメリットとデメリットを教えてください

独立して機械設計事務所を開業することには、いくつかのメリットとデメリットがあります。これらを理解することで、自分にとって適切な選択をするための判断材料とすることができます。

メリット

・自己決定権の拡大

自分のビジネス戦略、プロジェクトの選択、業務の進め方など、すべての意思決定を自分で行える。また、仕事の時間や場所を自分で管理できるため、柔軟に働ける。

・収益の直接享受

成果に対して直接的に報酬を得られるため、収入を大きくする可能性がある。また、自分でコストを管理できるため、効率的な運営が可能。

・自己実現と満足感

自分のアイデアやビジョンを形にすることができる。また、自分のビジネスの成長や成功を直接感じられる。

・多様な経験とスキルの獲得

ビジネス運営に関わる様々なスキル(マーケティング、財務管理、人事管理など)を学べる。

様々なプロジェクトに挑戦でき、自分のスキルセットを広げることができる。

デメリット

・不安定な収入

収入は顧客の獲得やプロジェクトの成功に依存するため、収入が不安定になるリスクがある。初期投資や運転資金が必要で、資金繰りに苦労することがある。

・多くの責任

ビジネスの成功や失敗に対して自分に対して全責任を負う必要がある。また技術以外の業務(マーケティング、経理、営業など)も自分で行う必要があり、負担が大きい。

・孤独感

会社員時代のような同僚や上司からのサポートがなくなる。また、新しい人脈を築く必要があり、孤独を感じることがある。

独立を成功させるためのポイント

・労働時間を管理し、仕事と生活のバランスを取るよう努めること。

・欲張らないこと

・納期を守り、顧客の信頼にこたえること

独立することには多くのチャレンジがありますが、自分のビジョンを実現し、専門スキルを活かしてビジネスを成功させるための大きな機会でもあります。メリットとデメリットをしっかりと考慮し、準備を整えてから決断することが大切です。

会社に残るメリットとデメリット

メリット

・安定した収入

毎月の安定した収入が保証されているため、経済的な安心感があります。また、健康保険、退職金、年金制度、有給休暇などの福利厚生が充実していることが多いです。

・キャリアのサポート

会社が提供する研修や教育プログラムを利用して、スキルを向上させることができます。また、組織内での昇進や異動の機会があり、長期的なキャリアパスを描きやすいです。

・チームワークとサポート

チームで働くことで、同僚や上司からのサポートを受けられます。また、会社内外での人脈を築く機会が多いです。

・リスクの軽減

会社の経営リスクを負う必要がないため、自分の業務に集中できます。さらに、技術以外の業務(経理やマーケティングなど)を専門部署が担当するため、自分の専門分野に集中できます。

デメリット

・制約の多さ

自分のアイデアや意見が必ずしも採用されるとは限らず、上司や経営陣の決定に従わなければならないことが多いです。また勤務時間や場所、プロジェクトの選択などに関して自由度が低いです。

・成長機会の限界

昇進や昇給の機会が限られており、競争が激しい場合があります。また、専門分野に限定されることが多く、幅広いスキルを学ぶ機会が少ない場合があります。

・ストレスとプレッシャー

業績目標やプロジェクトの締め切りなど、ストレスが多い場合があります。さらに同僚や上司との人間関係がストレスの原因になることがあります。

・退屈やモチベーションの低下

同じ業務を繰り返すことによる退屈やモチベーションの低下が生じることがあります。自分のアイデアやビジョンを実現する機会が限られることがあります。

会社に残る場合のポイント

良好な人間関係を築き、職場での協力関係を強化することで、働きやすい環境を作ることが重要です。

会社に残ることには多くのメリットがありますが、個人のキャリアゴールや価値観に基づいて、自分にとって最適な選択をすることが重要です。安定性と成長機会をバランス良く考えながら、将来のキャリアプランを設計しましょう。

機械設計フリーランスがあまり多くない理由

IT分野に比べると機械設計分野でのフリーランスは少ないように感じられます。これにはいくつかの理由が考えられますが、逆に言えば、独立して成功するための機会が存在するとも言えます。以下に、機械設計分野でフリーランスが少ない理由について説明します。

設備コストがかかる

機械設計には専門的なソフトウェア、特にCADシステムやハードウェアが必要であり、これらの導入コストが高いです。またプロトタイプの作成や試験には、特殊な設備が必要なことが多く、個人での用意が難しいです。

クライアントの信頼性

機械設計は製品の品質や安全性に直結するため、企業はフリーランスよりも実績のある設計事務所や企業に依頼する傾向があります。

長期的なプロジェクト

機械設計プロジェクトは長期にわたることが多く、フリーランスが一人で継続して担当するのは困難な場合があります。

ネットワークと知名度の不足

機械設計の仕事は紹介や既存のネットワークに依存する部分が大きく、フリーランスとしての知名度を上げるのが難しいです。

機械設計分野でのフリーランスが少ない現状は、逆に言えば競争が少ないとも言えます。これをチャンスと捉え、適切な準備と戦略を持って取り組むことで、成功する可能性が高まるでしょう。

(まとめ)どのキャリアに進むにせよ、継続的で地道な努力が必要です。

以上、機械設計技術者の一般的なキャリアについて考えてみました。

なお、今回、取り上げなかった研究開発や弁理士のキャリアは特殊で難易度が高く、「センス」がより問われます。このため、機械設計技術者のキャリアとしては、あまり一般的とは言えません。

ただし、自分に自信があり、より困難な道を選ぶ覚悟があるのならやってみるのも悪くありません。

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