図面の自動化事例5選!CAD・生成AI・検図の最新事例を現役設計者が解説

2026.06.02

「図面作成を自動化したいが、実際どこまでできるのだろう?」――AIの進化で、図面に関わる作業の自動化が急速に進んでいます。

本記事では現役の機械設計者の視点から、図面の自動化事例5選を解説します。

図面の自動化は主に「作る・チェックする・探す」に分類されます。CAD内のAIアシスト、3Dモデルからの2D自動作図、生成AIによるDXF作図、AI検図、そしてAI類似図面検索まで、最新の事例を交えて紹介。あわせて「現状のAIはどこが限界か?」という設計者の実務的な目線もお伝えします。

図面の自動化の現状を知りたい方はもちろん、作成・管理を効率化したい方にも役立つ内容です。

私たちは「図面バンク」というクラウド図面管理システムを手がけています。図面バンクは、多数の製造業で実績があり、図面・見積りの管理や図面の検索を便利にするツールです。図面管理を便利にしたい方、過去の図面を探す作業を効率化したい企業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

図面を自動化するとは?広がる「作る・チェックする・探す」の自動化

「図面の自動化」と聞くと、多くの方は「図面をAIが自動で作図する」ことをイメージするかもしれません。しかし実際には、図面に関わる自動化は、もっと幅広い工程に広がっています。

大きく整理すると、図面の自動化は次の3つに分けられます。

区分内容本記事で紹介する技術
作る図面そのものを自動で作図するCAD内AIアシスト/3D→2D自動作図/生成AIでのDXF作図
チェックするできあがった図面の不備を自動で確認するAI検図
探す・管理する過去の図面を素早く見つけ、活用するAI類似図面検索

図面を自動化するメリットと注意点

具体的な技術の前に、図面を自動化することのメリットと、押さえておきたい注意点を整理します。

図面自動化のメリット

・製図の時間短縮:手作業で行っていた投影図の配置や寸法記入を自動化でき、図面1枚あたりの作成時間を減らせます。
・ヒューマンエラーの抑制:寸法の記入漏れや転記ミスなど、人手による単純ミスを減らせます。
・図面を探す時間の削減:過去図面をAIで検索できれば、「あの図面どこだっけ」と探し回る時間を圧縮できます。
・技術・ノウハウの蓄積:図面を自動化するためには、図面をデジタルデータとして保管・管理することが必要です。図面をデータとして扱うことで、設計資産として再利用しやすくなります。

注意点・限界

一方で、現時点(2026年)の図面自動化には限界もあります。

最も重要なのは、完全な図面の自動化はまだ難しいという点です。自動作図も検図も、現状では人の作業を一部肩代わりするレベルにとどまります。最終的な図面の品質を担保するのは、やはり人間なのです。

「自動化=人の仕事がなくなる」ではなく、「自動化=人がより付加価値の高い仕事に集中できる」と捉えるのが、現実的な向き合い方でしょう。

図面の自動化事例①:CAD内にチャット型AIが組み込まれ、操作をアシストする

ここからは、図面の自動化事例を紹介します。

図面を「作る」自動化として、まず身近になりつつあるのが、CADソフトに組み込まれたAIアシスト機能です。

代表例が、独Graebert(グレバート)社のCADソフト「ARES」に搭載されたAIアシスト機能「A3」です。この機能では、CADの画面内にチャット欄があり、操作方法が分からないときにチャットで質問すれば、AIが回答してくれます。ヘルプを開かずとも、分からない操作をCAD内のチャットで質問し、その場で解決するイメージです。

さらに新しいバージョンでは、単なる操作案内にとどまりません。選択した要素を別のレイヤーに移動したり、線種や色を変更したりとAI経由でのCAD操作が可能になっています。CAD内のコマンドを覚えなくても、自然な言葉でAIに指示するだけで図面の編集ができるようになりつつあるのです。

CADは多機能な反面、コマンドやショートカットを覚えるまでに時間がかかる、という側面があります。AIアシストは、こうしたCADの操作習得のハードルを下げてくれる存在になりそうです。

図面の自動化事例②:3Dモデルから2D図面への作図を自動化する

3D CADが普及した現在、3Dモデルから2D図面を作る工程の自動化も進んでいます。

例えば、Autodesk社の3D CAD「Fusion」には、3Dモデルから2D図面(正面図・側面図・断面図など)を自動生成する機能があります。投影方向や尺度をあらかじめ設定しておけば、3Dモデルをもとに必要な投影図を自動で配置してくれます。

また、Fusionには寸法の自動記入機能があります。3D CADモデルが持っている寸法情報を2D図面上に自動で記入できます。

ただし、ここで一つ正直にお伝えしておきたいことがあります。自動作図機能は、あくまで図面を途中まで作ってくれるものです。例えば、寸法公差や組立に必要な注記などの情報は人間(設計者)が入力する必要があります。最終的に「製造現場が読みやすく、間違いの起きない図面」に仕上げるのは、やはり設計者の仕事なのです。

とはいえ、ゼロから作図する場合と比べれば、途中まで自動で作図してくれることで、トータルの図面作成時間は確実に短縮できます。「自動化=完全に無人」ではなく、「人の作業の一部を肩代わりしてくれる」ものとして捉えるのが現実的です。

図面の自動化事例③:生成AIでDXF図面を自動で作図する

ChatGPTに代表される生成AIの進化により、「文章で指示するだけで図面を作る」という、これまでにないアプローチも登場しています。

仕組みとしては、DXF(図面データの標準形式の一つ)を生成するプログラムをAIが作成するという方法です。具体的には、PythonのezdxfというライブラリでDXF上に図形を描くプログラムをAIが書き、実行することでDXF図面を作成します。

当コラムでも、実際にエージェント型AI「Claude Code」を使い、自然言語の指示から図面を自動生成する検証を行いました。その結果、フランジ図面の寸法を自然言語でAIに指示し、DXFファイルへ出力できることを確認しました。

3Dから2Dの作図同様、幾何公差や表面粗さといった高度な製図要素への対応は今後の課題です。

図面の自動化事例④:検図のAIによる自動化

図面を「作る」自動化に続いて、図面を「チェックする(検図)」工程の自動化も進められています。

検図とは、完成した図面に寸法の抜けや注記の漏れ、矛盾がないかを確認する作業です。ベテラン設計者といえども、人間ですから見落としがゼロとは限りません。また設計現場の出図前の慌ただしさから、検図に十分な時間を取れない実情もあります。ここをAIが肩代わりし、寸法や注記の抜け漏れを自動で指摘してくれれば、検図の負担は大きく減るでしょう。

例えば、AIが図面の不備を指摘する「Drawing-AI」のようなサービスも登場しています1

当コラムでも、生成AI(ChatGPT)に検図をさせてみました。フランジ・板金部品・シャフトの図面をAIにチェックさせたところ、単純な形状の寸法漏れは指摘できたものの、複雑な形状では寸法の読み取りに失敗し、的外れな指摘も見られました。この原因としては、ChatGPTは汎用AIなので、図面データの学習量がまだ乏しいと考えられます。

図面の自動化事例⑤:AIによる類似図面の検索

図面バンク」のAI類似検索機能

すでに社内にある図面を「探す・活用する」場面でも、AIが活躍しています。

その代表が、AI類似図面検索です。これは、大量の図面の中から、似た形状の図面を高速かつ高精度に探し出す技術です。

過去に似たような部品を設計していたなら、その図面を流用することで、設計時間を大きく短縮できます。営業部門では見積もり時間の短縮に、設計部門では既存図面の検索時間の削減に、製造部門では過去の加工条件やCAD/CAMデータの流用に、それぞれ役立ちます。

「過去に似た図面を作った気がするけれど、どこにあるか分からない」――そんな時間を減らせるのが、AI類似図面検索の大きな価値です。

AI図面検索システムの種類やオススメ製品については、こちらの記事で詳しく解説しています。

(まとめ)図面の自動化は「作る」だけでなく「探す・管理する」効率化も重要

今回は、現役機械設計者が図面の自動化の現状について解説しました。要点を整理すると、次のとおりです。

・CAD内のAIアシスト:チャットで操作を質問でき、自動編集もできる
・3Dモデルから2D図面への自動製図:寸法の自動記入までを自動化、仕上げは人の手で
・生成AIでのDXF自動作図:簡単な図面の作図自動化が見えてきた
・AI検図:現時点では発展途上だが、将来性は大きい
・AI類似図面検索:過去図面を探す時間を大きく削減

図面の自動化には「作る」自動化だけでなく、「探す・管理する」自動化があります。そして見落とされがちなのが、作図を自動化して図面の作成量が増えるほど、今度は「その図面を探す・管理する」工程がボトルネックになるという点です。

私たちが手がけるクラウド図面管理システム「図面バンク」は、図面を探す時間を減らすためのツールです。図面バンクは、2D図面だけでなく、DXFやSTEPなど60種類以上の2D/3D CADファイルのプレビューに対応しています。さらに、文字入力が不要なAI類似形状検索を使えば、「似た形の図面」を形状から直接探し出せます。

図面を探す時間に悩んでいる方、図面管理を効率化したい企業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。導入初月は無料でお試しいただけます。


  1. 出典:ficha「Drawing-AI↩︎