工場の改善提案書の書き方のポイント

2024.05.15

製造・設計・営業・間接部門を問わず製造業の現場は日々進化しています。そして、現場の進化は会社全体の利益に直結します。この進化を把握するものとして「改善提案」があります。ここでは改善提案とはなにか、さらに改善提案を具体的にまとめた「改善提案書」の概要について述べ、最後に改善提案書の具体的な書き方のポイントについて解説します。

改善提案とは

製造業の改善提案とは、業務運営における問題点や課題を特定し、それを解決するための具体的な計画を提案することです。改善提案の目的は、生産性を向上させ、コスト削減、品質向上、安全性の確保、リードタイムの短縮などを実現することです。

改善提案は製造現場や設計現場だけに限らず、営業や間接部門においても実施が可能ですし、実施すべきことと言えます。そして近年ではIT技術やAI技術、ロボット技術の活用を前提とした改善提案が行われる場合が多いです。

改善提案の具体例

具体的には、以下のような改善が提案されることが多いです.

業務プロセスの効率化

作業手順を標準化して、ばらつきを減らす。工場内の動線を見直し、移動時間を短縮する。あるいは、人手を必要とする作業を自動化して効率を向上させる。といった方法が採られます。

品質の向上

シックス・シグマやTQM などの手法を導入する。作業員のスキルアップを図り、品質意識を高める。あるいは、品質検査の頻度や方法を改善するなどがあります。

コスト削減

原材料の使用量を最適化して無駄を減らす。エネルギー効率の向上: エネルギー消費を減らす。設備の効率的な保守管理を行い、故障による生産停止を防ぐ。などがあります。

安全性・環境対策

労働環境の安全性を向上させるための対策を強化する。 作業リスクを評価し、リスク低減策を講じる。などがあります。なおこれらには環境対策も含まれます。

リードタイムの短縮

生産計画の見直しとスケジューリングの最適化を図る。在庫の適正化を図り、必要な時に必要なだけの在庫を確保する。などがあります。

改善提案書の概要

改善提案書とは、業務や製品、サービスに関する現状の問題点や課題を特定し、それを解決するための具体的な計画を文書化したものです。言ってみれば「改善提案の文書化」と言えます。改善提案書は、企業や組織内での業務改善を推進するために重要な役割を果たします。

また、改善提案書は、部署内で行われていた改善活動を他の部署に知らしめ、その他の部署でも改善活動を行うきっかけとなるものです。つまり、「カイゼンのヨコテン」のきっかけをつくるものでもあります。

一般的に改善活動が盛んにおこなわれている企業は元気がよく、業績も良い傾向にあります。また、過去の改善活動の蓄積が改善提案書の蓄積という形で残っている企業は、それが「技術資産」の一つという見方もできます。

改善提案書の具体例

以下は、製造業における具体的な改善提案書の例です。

=改善提案書=

タイトル:製品Aの製造プロセスにおける不良品率の低減

提案者:佐藤裕美(製造部)

提案日: 2024年5月15日

・はじめに

製品Aの製造プロセスにおいて、不良品率が高く、顧客からのクレームが増加しています。本提案書では、不良品率を低減し、製品品質を向上させるための具体的な改善策を提案します。

・現状の問題点

不良品率が10%と高く、再加工や廃棄によるコストが増加。

顧客からのクレームが毎月平均5件発生。

問題の原因は、作業手順のばらつきと設備の老朽化。

・改善目標

不良品率を5%以下に低減。

顧客クレームを月平均2件以下に削減。

・具体的な改善提案

1)作業手順の標準化

作業手順書の作成と全作業員へのトレーニングを実施。

作業手順の遵守状況を定期的にチェック。

2)設備の更新

老朽化した設備を新型機に更新。

設備メンテナンスの強化。

・期待される効果

不良品率の低減によるコスト削減(年間約100万円)。

顧客満足度の向上とブランドイメージの改善。

・リスクと対応策

リスク: 新しい作業手順に慣れるまでの期間中、不良品率が一時的に上昇する可能性。

対応策: トレーニング期間中のフォローアップを強化し、問題が発生した際には迅速に対応。

・実施計画

2024年6月: 作業手順書の作成とトレーニングの開始。

2024年7月: 設備の更新と試運転。

2024年8月: 新しい手順と設備での本格稼働。

・評価とフォローアップ

毎月の不良品率とクレーム件数をモニタリング。

3ヶ月後に改善効果を評価し、必要に応じて追加の改善策を実施。

・結論

提案された改善策により、製品Aの製造プロセスにおける不良品率の低減が期待されます。この改善により、コスト削減と顧客満足度の向上が実現できると考えます。

改善提案書の書き方のポイント

それでは項目ごとに書き方のポイントを見ていきましょう。改善提案書全体を通して心がけることは、情報を分かりやすく、簡潔・明瞭にまとめることが重要です。専門用語や技術用語を使用する場合は、必要に応じて説明を加えます。

はじめに

現状の問題点や課題を明確に説明します。これには、生産プロセスの効率性、品質管理、コスト削減、リードタイムの短縮などが含まれます。

現状の問題点

改善提案書を作成する際、問題点を具体的に把握することで、改善方法が適切かどうかを判断しやすくなるため、現状の問題点を明確にすることが重要です。問題点を具体的に示し、業務改善が必要な理由を説明しましょう。

改善目標

 改善提案の目標を明確に述べます。たとえば、生産効率を向上させる、品質を向上させる、原材料のロスを削減するなどです。また具体的な数値目標を設定することで、提案の効果がわかりやすくなり、採用される確率が高まります。

そして数値目標は、業務効率向上やコスト削減など、改善後の成果を明確に示すものにしましょう。数値目標はグラフや図を使用すると視覚的に理解しやすくなります。

具体的な改善提案

具体的な改善方法を示すことで、提案の実現可能性や効果が明確になり、採用される可能性が高まります。具体的な手段やシステムの導入、人員配置の変更など、問題解決に寄与するアイデアを提案しましょう。

このとき現場の意見やフィードバックを取り入れることが重要です。これにより、実行可能性が高まり、現場での受け入れもスムーズになります。また、実現可能な提案を行うことが重要です。理論的に優れていても、実行が困難であれば意味がありません。

期待される効果

 提案された改善がもたらす効果を示します。これには、生産コストの削減、品質の向上、生産性の向上、顧客満足度の向上などがあります。

リスクと対応策

改善活動実施中に生じる可能性のあるリスクや課題を議論します。そして、それらに対処するための対策を提案します。

多くの場合、コストはリスク要因となります。コストを把握することで、提案の費用対効果を評価しやすくなります。導入費用や人件費、維持費など、改善にかかるコストを可能な限り考慮し、具体的な金額を提示しましょう。

実施計画

期限を設定することで、提案の優先度や進捗管理がしやすくなります。そのため、実施期限はシステム導入や人員配置変更など、改善の段階ごとに具体的な期間を設け、明確に示しましょう。ここでも現場の意見を反映させることと、実行可能性があることが重要です。

評価とフォローアップ

提案書には、改善策の実施後も継続的に改善を行うための仕組みや計画を含めると良いでしょう。そして改善の進捗を追跡し、成功を評価するための基準と方法を示します。これには、KPI(重要業績評価指標)の設定や定期的なレビュープロセスが含まれます。

結論

提案の要約と、その改善が会社にもたらす期待される利益をまとめます。

(まとめ)改善提案書は現場の知恵の結晶です

以上、改善提案書について考えてきました。日本の製造業は現場の改善を積み重ねることによって進化してきました。そして、改善提案書は現場の知恵である「改善」を管理層・経営層に知らしめ、ヨコテンを図るきっかけとなるものです。

したがって、この改善提案書は製造業の利益の源泉の一つであり、大変重要なものです。そして、この改善提案書の数が多い企業は現場の工夫が多くなされていると考えられ、強い経営の礎になると考えられます。

そして、改善提案は何も製造現場だけにとどまりません。営業や間接部門でも工夫次第で行うことが出来ます。全社を挙げて改善提案を行い「知恵」を共有することにより、生産性を上げ利益を確保することが、これからの製造業に求められるのではないでしょうか。

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