図面作成時の寸法表記の基本的なルール

2024.05.20

設計者の意図を図面に適切に反映させるためには、一定のルールがあります。このルールは規格という形でまとめられており、図面を書く方も読むほうもこの規格を理解している必要があります。ここでは、図面のルールとは何か、機械製図の規格に基づいたルール、寸法表記の基本的なルールについて解説し、最後に見やすい図面を書くことの重要性と大切なことを解説します。

図面のルールとは

図面のルールとは、図面を作成し、読み取りやすく、正確に情報を伝えるための一連の規則とガイドラインです。これらのルールは、製造の各段階で図面の解釈や実行を容易にするために設けられています。

図面のルールを守ることで、図面が正確かつ明確に情報を伝え、製造や組立の過程で誤解を防ぐことができます。これにより、設計者の意図を正確に反映した図面を作成することができます。

機械製図の規格に基づいたルール

機械製図には、正確かつ明確な図面を作成するための多くのルールとガイドラインが存在します。そのルールとガイドラインの多くはJIS(日本産業規格)Z8310~Z8318及びB0001に基づいています。

図面の種類

部品の詳細な寸法や形状、材料、表面仕上げなどを示した製作図(製造図)、複数の部品を組み合わせ全体の構造を示す図面である組立図、個々の部品の詳細な図面である部品図などがあります。

また、図面が表す部位によって、平面図、正面図、側面図、断面図などに分けられます。一つの図面の中にこれらが混ざって表現されることもあります。

線の種類と太さ

実線は、主要な形状を示すために使用します。また、破線は、隠れたエッジや内部の見えない部分を示します。さらに中心線は、円や対称形状の中心を示すために使用し、一点鎖線や二点鎖線は特殊な目的(例えば、カットラインや基準線)に使用します。

さらに、太線は製品の輪郭を表すのに使い、細線は、補助線や寸法線に用います。JIS規格上、線の太さは、太線は0.5㎜の太さ、細線は0.3㎜の太さです。

記号と標準

表面粗さ記号は、表面の仕上げ状態を示す記号を使用します(例:Ra 3.2)。また、溶接記号は、溶接箇所とその種類を示すための標準的な記号です。さらに、寸法記号は直径、半径、深さなどを示すための標準記号を使用します(例:Φ、R、⌀)。

寸法表記の基本的なルール

図面作成時の寸法表記には、以下のような一般的なルールとガイドラインがあります。

寸法の記入

寸法線は寸法を示すための線で、対象物の外側に配置し、対象物の輪郭線と平行に引きます。また、補助線は、寸法を示すために対象物から延長される線で、寸法線と直交するように引きます。

寸法値は寸法線の中央に記入し、単位を必要に応じて記載します(例:50 mm)。一般的に、全ての寸法に対して同じ単位を使用します。なお、機械図面の場合、暗黙の了解や、図面の注記部分にその単位を明記することで省略する場合が多いです。

角度は度数で記入し、円弧や円の寸法は直径(Φ)または半径(R)で記入します。また、寸法線の両端には矢印を付け、寸法値を矢印の間に記入します。なお矢印の代わりに黒丸や白丸を付ける場合もありますが、多くは建築図面の場合です。

寸法は、その寸法を必要とする作業を行う位置に最も近い部分に記入します。

公差と精度

寸法値に対する許容範囲を示すために公差を記入します。公差は図面の注記部分または寸法値の横に記入します。この際、一般公差と特定公差を区別し、必要に応じて特定の部分に対して厳密な公差を指定します。幾何公差も同様です。

寸法記入の具体的な方法

外形寸法は、物体の外側の寸法を示し、内部寸法は物体の内部の特徴を示します。両者を混同しないようにします。特に組立図では、幅(W)、高さ(H)、奥行き(D)と表記し、それぞれの方向を明確にします。

材料別の寸法指示の記入の仕方

樹脂部品と金属部品の寸法指示には、それぞれの材料特性や製造方法に応じた特有の注意点があります。樹脂部品では収縮率や均一な肉厚、ドラフト角などの成形特性、金属部品では加工精度や表面仕上げ、公差の厳密な設定が重要です。これらのポイントを押さえて寸法指示を行うことで、品質の高い部品を効率的に製造することができます。

樹脂部品の寸法指示で注意すべきこと

樹脂は成形時に収縮するため、成形後の寸法が設計寸法から変わる場合が多いです。収縮率を考慮して寸法を指示し、成形後の寸法が正確に出るようにします。各樹脂材料の収縮率は異なるため、使用する樹脂の特性をよく理解しておくことが重要です。

また、樹脂部品の肉厚が均一でないと、成形時に歪みや反りが生じやすくなります。肉厚を均一に保つ設計を心がけ、そのための寸法指示を行う必要があります。

リブ(補強用の突起)やボス(ネジ穴などの突出部分)の寸法も重要です。リブやボスが厚すぎると成形不良や歪みの原因となるため、適切な厚みを指示します。また、樹脂成形ではアンダーカットがあると成形が困難になります。アンダーカットを避ける設計を行い、そのための寸法指示を行う必要があります。

さらに、成形時に金型から部品を取り出しやすくするために、垂直面にドラフト角を設けます。これは寸法指示に含めます。また温度や湿度によって寸法が変化するので、これも考慮する必要があります。

金属部品の寸法指示で注意すべきこと

金属部品は一般に高精度の加工が可能ですが、加工方法(切削、鍛造、鋳造など)に応じた適切な寸法指示が必要です。特に、切削加工の場合、非常に細かい寸法公差が可能ですが、コストや加工時間に影響するため、必要最小限の公差に抑えます。つまり、高精度が要求される部分とそうでない部分を明確に分け、コスト効率を考慮します。

金属部品の表面仕上げは機能や外観に影響を与えるため、適切な表面粗さを指示します。表面粗さはRa値などで指示します。また、必要な場合、熱処理(焼入れ、焼戻し、浸炭など)を寸法指示に含めます。

さらに、溶接の工程を考慮した寸法指示を行う場合もあります。この場合、溶接部の位置や溶接後の変形を考慮して、適切な寸法を指示します。

最後に、穴の位置と直径の精度です。穴の位置や直径の精度は、部品の組み合わせや機能に大きく影響するため、特に注意して指示します。穴の公差や仕上げ方法も明確に指示します。ネジ穴に関しても同様です。

見やすい図面を書くために

図面をきれいで見やすくするためには、レイアウト、寸法と注記の配置、フォントとテキストの使い方、視覚的な整理、色とハッチングの使い方、社内標準の遵守、検図などが重要です。これらのポイントを意識して図面を作成することで、図面が明確で理解しやすくなります。

図面サイズとレイアウト

図面の内容に対して適切な用紙サイズを選択します。部品図ではA4、A3、組立図ではA2、A1などの標準サイズが一般的に使用されます。

主要な図形や部品を図面の中心に配置し、バランスを取ります。これにより、図面が視覚的に安定し、見やすくなります。さらに、図面の周囲に十分な余白を確保し、必要な情報や注記を記入できるスペースを設けます。

注記と寸法線の配置

注記やコメントは、関連する部分の近くに配置しますが、図面の主要部分を遮らないように注意します。統一されたフォーマットで記入し、視覚的に整えることが重要です。また寸法線や公差指示などは、可能な限り交わらないようにしましょう。

フォントとテキストの統一

図面全体で統一されたフォントを使用し、読みやすいサイズで記入します。一般的には、シンプルなサンセリフフォント(例:Arial、Helvetica)を使用します。また、重要なテキストやタイトルは目立つように配置し、説明や注記は適切な位置に整理して配置します。

さらに、図面を作成する際に、グリッドやガイドラインを使用して、要素を整然と配置します。また、各要素間の間隔を均等に保ち、視覚的なバランスを取ります。寸法線や注記の間隔も均等に保つことが重要です。

色とハッチングの使い方

規格上、図面の色は黒で統一されていますが、近年では、赤や緑などを部分的に使用する場合もあります。このような場合には、使い過ぎは避け、必要最小限の使用にとどめ、シンプルで明確な配色を心がけます。

また、断面図や異なる材料を示すためにハッチングを使用する場合には、ハッチングパターンは一貫性を持たせ、異なる部分を区別しやすくします。

社内標準の順守と検図

会社や組織内の標準を守り、一貫した図面作成方法を維持します。さらに他人や自分で図面をチェックし、誤りや不明瞭な部分がないか確認します。

(まとめ)図面のルールである機械製図の規格を理解しておきましょう

以上、図面の書き方、特に寸法表記の書き方について解説しました。

図面表記の規格は実に細かいことまで定められていますが、このすべてを忠実に守ることは現実には難しく、また、「規格」ですから、守らないと何らかのペナルティーがあるというものでもありません。また、規格の解説を暗記したとしても、すぐに役に立つというものでもありません。

大切なのは、実際に図面を書いて見て、その都度規格を参照しながら覚えていくということです。まずは図面を書いてみて、他人のチェックを受け、修正をかけていくということに尽きると思います。そうやって少しずつ図面の書き方を覚えていくのです。

道のりは長いですが、一歩一歩確実に進んでいきましょう。「図面バンク」も応援しています!!

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