図面の縮尺の種類とJIS規格

2024.05.22

今は、設計はCADを使うことが当たり前になっています。CADでは図面を伸縮自在なため、昔のように図面サイズと縮尺を考えることが少なくなってしまいました。ここでは、図面の縮尺とはなにか、図面のサイズのJIS規格、図面のサイズと縮尺について紹介し、縮尺選択のポイントや、検図を行う上で縮尺に関して重要なことについて解説しました。

図面の縮尺とは

縮尺は、実際の対象物の大きさと図面上の大きさの比率を示します。図面の縮尺は設計で一般的に使用され、適切な縮尺を用いることで詳細な情報を伝えることができます。一般的な縮尺の例としては以下のようなものがあります。

1:1 実物と同じ大きさ

1:2 実物の半分の大きさ

1:10 実物の10分の1の大きさ

1:100 実物の100分の1の大きさ

2:1 実物の2倍の大きさ

なお、精密部品や、半導体集積回路(LSI)などの設計図面では実物の10倍や100倍、1000倍といった、拡大率が非常に大きなものも用いられる場合もあります。

縮尺は図面の右下などに記載されることが多く、例えば「縮尺 1:100」と表記されます。

図面の大きさのJIS規格

日本産業規格(JIS)は、日本の産業標準を規定するもので、図面の作成に関する標準も含まれます。図面の大きさに関するJIS規格は「JIS Z 8301: 製図用紙のサイズ」があり、以下の大きさが定義されています。

A0 – 841mm x 1189mm

A1 – 594mm x 841mm

A2 – 420mm x 594mm

A3 – 297mm x 420mm

A4 – 210mm x 297mm

このうち、組立図などにはA0やA1、A2、部品図にはA3やA4が用いられますが、近年ではCADが普及したことから、組立図であってもA3が使用される場合も多くなっています。

√2が含まれる縮尺と図面サイズ

√2(約1.414)という数値は、A系列の用紙サイズ(A0、A1、A2、A3、A4など)の基礎にもなっています。各サイズは隣接するサイズの√2倍(またはその逆数)に関係しています。

例えば、A0の面積を2分の1にしたものがA1、A1を2分の1にしたものがA2という関係になっています。つまり、面積比で2分の1ということは、寸法比では√2分の1ということになります。要するに各用紙サイズ間の比率が√2です。

√2の縮尺例

このような縮尺は、図面の拡大や縮小において、用紙サイズの変更を容易にするために使用されることがあります。たとえば、A4サイズの図面をA3サイズに拡大するとき、縮尺1:√2を使用すると、図面の内容が用紙のサイズに正確に合うようになります。

JIS規格と√2の縮尺

JIS規格においても、√2の比率に縮尺が認められています。具体的には、JIS Z 8301で定められているA系列の用紙サイズがこの比率に基づいています。また、JIS B 0021などの機械製図に関する規格でも、適切な場合にこれらの縮尺が使用されることがあります。

√2を基にした縮尺は、特に用紙サイズの変更に伴う図面の拡大・縮小を前提とする場合に便利です。JIS規格にもこれらの縮尺が反映されており、標準的な製図作業において利用されています。

縮尺の表記方法

それでは縮尺の表記方法について解説します。表記の方法は比率表記と分数表記があり、機械図面では分数表記が多いです。

比率表記の場合

形式は「1:n」または「n:1」です。

比率の左側は図面上の距離を、右側は実際の距離を表します。例えば、「1:100」は図面上の1cmが実際には100cm(1m)に相当することを意味します。

分数表記の場合

形式は「1/n」です。

分数表記では、分子が図面上の距離を、分母が実際の距離を表します。例えば、「1/100」は図面上の1cmが実際には100cm(1m)に相当します。

縮尺の表示位置

縮尺は通常、図面の右下のタイトルブロック内や注釈部分などの目立つ位置に表示されます。

縮尺選びの基本的なポイント

それでは、図面の縮尺の選定のポイントを簡単に説明します。

図面の用途と内容

組立図や全体図などの装置全体を示す場合、1:100や1:200などの小さな縮尺を使用します。また、部品図や詳細図などの細部を正確に表現する必要がある場合、1:1や1:2、1:5などの大きな縮尺を使用します。冒頭で述べたように、精密な部品の図面の場合、1:10や1:100などの非常に大きな縮尺を使用する場合もあります。

紙面のサイズ

図面が収まる紙のサイズに合わせた縮尺を選びます。例えば、A3サイズの用紙に大きな装置全体を描く場合は、1:500や1:1000などの縮尺を選ぶことがあります。

読みやすさ

図面が詳細すぎて読みづらくならないように、また情報が詰め込みすぎて見えづらくならないように適切な縮尺を選びます。

標準的な縮尺の例

組立図では1:20や1:10、部品図では1:5や1:2、1:1などです。組立図を小さな図面サイズに書く場合には、1:50や1:100、精密部品を書く場合には10:1などもあります。

縮尺の選定手順

まず、対象物の大きさを把握します。つまり図面に描く対象物の実際の大きさを確認します。

そして、用紙のサイズを決定しますが、近年では、とにかくCADで組み立て図を書き、図面のサイズを後から決めるという場合もあります。

そして、対象物の大きさと用紙のサイズから、適切な縮尺を試算します。例えば、対象物の長さが100mでA1用紙(594mm x 841mm)を使用する場合、1:200が適切かもしれません。

もっとも、近年のCADシステムでは、装置や部品の設計寸法と図面サイズが決定されれば自動的に最適な縮尺を選択する機能が備わっています。

寸法と縮尺が一致しない場合の対応

図面の寸法と縮尺が一致しない場合、特別な表記方法を用いて正確な寸法を伝えることが重要です。以下に、寸法と縮尺が一致しない場合の寸法の表し方について説明します。

寸法を明示的に記載する

図面上に寸法を直接記載して、実際の寸法を明示します。この方法では、縮尺に関係なく、記載された寸法が実際の寸法として理解されます。

拡大・縮小部分の明示

図面の一部を拡大または縮小している場合、その部分に「詳細図」などの注釈を付けて、拡大・縮小率を記載します。例えば、「詳細図A 1:10」と記載し、詳細図Aの中で寸法を具体的に示します。

比例尺でない場合の対応方法

実際の寸法を明示的に記載します。例えば、実際の寸法が「1000mm」の場合、「1000」と記載します。実寸法を明示することで、縮尺に依存しない正確な情報を提供できます。

この時、寸法の近くに「実寸法」や「現寸」と記載することで、その寸法が実際の寸法であることを明示しても良いでしょう。あるいは寸法を表す文字の下にアンダーラインを引いて「図面の縮尺通りではありません」と明示することも良く行われます。

さらに、図面の注釈部分や図面枠内に「この図面の寸法は実寸法です」といった説明文を追加することもできます。

後から寸法を記入する場合(標準部品の図面など)

標準部品の図面に後から寸法を記入する場合や、詳細設計後に寸法を追加する場合も同様に、必ず実際の寸法を記入しておきましょう。

検図における縮尺の重要性

縮尺は図面の正確さや理解を左右する重要な要素であり、検図の際には特に注意が必要です。縮尺が正確で適切に記載されていることで、図面の読み手が情報を正しく理解できます。特に複雑な図面では、適切な縮尺が図面の理解を助けます。縮尺が誤っていると、重大なミスが発生する可能性があります。正確な縮尺はこうした誤解を防ぎます。

実寸法の確認

図面の縮尺に基づいて実寸法が正確に記載されているか確認します。誤った縮尺を使用すると、実際の寸法が誤って伝わる可能性があります。

縮尺の適用

各部分の縮尺が正しく適用されていることを確認します。特に、異なる縮尺が混在する場合は、混乱がないように注意します。また、暗黙の了解や慣習で縮尺が決まっている場合もあります。責任者はこれを把握しておきましょう。

図面の一貫性と整合性

複数の図面が同じプロジェクトに属する場合、縮尺の統一性を確認します。同じ部品が異なる縮尺で描かれている場合、それらが一致するかをチェックします。一般的には、組立図と部品図は異なる縮尺で書かれますが、部品図同士では同じ縮尺で書かれることが多いです。

(まとめ)CAD全盛時代になっても縮尺と図面サイズを考えましょう

以上、図面の縮尺と図面サイズについて考えてきました。昔は、まず図面サイズと縮尺を最初に決定し、それから図面を書くというプロセスを踏んでいました。したがって、適切な図面サイズと縮尺を決めるのは簡単なようで結構難しい判断でもありました。

今では、CADのおかげで、先に装置や部品を書いておき、後から図面サイズと縮尺を決定することが出来るようになり、不格好な図面は少なくなりました。便利な時代になりました。これもデジタル化のメリットでしょうね(笑)。

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