図面の投影法と第三角法

2024.05.30

図面の投影法とは、3次元の物体を2次元の平面に描き出す方法です。これにより、物体の形状や寸法を正確に伝えることができます。投影法は、建築製図、機械製図など多くの分野で重要な技術です。ここでは、主な投影法の種類を簡単に説明し、その中でも特に重要な、第一角法と第三角法について、それぞれのメリット・デメリットを解説しました。

主な投影法の種類

各投影法にはそれぞれの特徴と用途があり、目的に応じて適切な方法を選択することが求められます。正確な図面を作成するためには、これらの投影法の基本原理を理解し、適切に応用することが重要です。

正投影法(直角投影法)

平行投影法の一種で、投影線が対象物に対して垂直(直角)に交わる方法です。一次元投影がよく使われます。特徴としては、正確な寸法を平面上に正確に維持し、物体の各面を平行に投影することができます。用途としては、機械部品の製図、建築設計などで、正確な寸法と形状が必要な図面に対して用いられます。

一次元投影は、対象物を正面、上面、側面から見た図をそれぞれ描く方法です。これにより、物体の形状と寸法を正確に表現できます。第一角法と第三角法の二種類があります。

正面図対象物を前から見た正面図、対象物を上から見た上面図、対象物を横から見た側面図、物体を切断して内部の構造を表現する断面図などがあります。

斜投影法

投影線が対象物に対して垂直ではなく、斜めに交わる方法です。物体の奥行きを表現するのに適しています。特徴としては、奥行きを強調し、簡易的な3D表現が可能です。深さを半分に縮小して描き、視覚的に奥行きを強調するキャビネット投影法や、深さをそのままの寸法で描くキャバリエ投影法などがあります。

等角投影法(アイソメトリック投影法)

対象物を三つの軸(通常はX, Y, Z軸)が120度の角度で交わるように描く方法です。三つの面が均等に表現され、立体感を出すのに適しています。特徴としては、 三つの面が均等に表現され、立体感が出ます。用途としては立体的な製品の設計図、組立図などです。また、3DCADでのモデリングはこの表示で行われる場合が多いです。

透視投影法(パースペクティブ投影法)

人間の視覚に近い方法で、遠くの物ほど小さく見えるように描きます。遠近図あるいはパース図ともいいます。消失点を使い、物体の遠近感を表現します。特徴としては、 視覚的に自然な遠近感を表現することができます。機械図面での使用はあまりなく、建築物の外観図、インテリアデザインなど視覚的なプレゼンテーションが要求される場合に多く用いられます。

投影法の第三角法とは

第三角法(第三角法投影)は、製図の投影法の一つで、物体の各面を正確に描写するために使われます。もともとは主に北米で使用されていましたが、グローバル化によって世界的な標準となっています。

この投影法は、視点が物体の外部から見たものと考え、図面を構成します。このため物体の各ビューを直感的に配置することで、図面の理解を容易にします。視点が物体の外部からの視覚的な配置を基にしているため、第三角法の図面は非常に明瞭で分かりやすいものとなります。

第三角法の図の配置

第三角法では、物体を正面から見た正面図が中心に配置され、正面図の上に配置され物体を上から見た上面図が配置されます。

そして、左側面図は正面図の左に配置され、物体を左から見た図を示します。また、右側面図は正面図の右に配置され、物体を右から見た図を示します。

つまり、上から見たものは上、左から見たものは左、右から見たものは右に配置され、各図面がどの方向から見たものであるかが直感的に理解しやすいという特徴があります。

投影法の第一角法とは

第一角法(第一角法投影)は、主にヨーロッパ発祥の製図の投影法の一つです。第一角法では、図面に描かれる各図(正面図、上面図、側面図)の配置方法が特徴的です。この投影法は、人が物体の内部から物体を見たものと考え、図面を構成します。

第三角法との違い

第一角法では、正面図を中心として、上面図は正面図の下に配置されます。また左側面図は正面図の右に配置され、右側面図は正面図の左に配置されます。

第三角法では右側面図は右に書かれますが、第一角法では左に書かれます。つまり、上下左右の側面図の配置が逆になっているのです。これが、直感的な図面の把握を妨げているのです。このため、第一角法は現在ではあまり使われていません。これは、部品の中に仮想的に人が入って、そこから見たそれぞれの図面を配置しているからで、第三角法とは視点が異なっているためです。

つまり、第三角法では人の立ち位置が図の数だけ複数ありますが、第一角法では一つしかないということになります。

第一角法の欠点

第一角法には、ほかにも欠点かあります。以下に、第一角法の主な欠点について説明します。

まず、直感的な把握が難しいことです。第一角法では、正面図の上に上面図が配置されるのではなく、正面図の下に配置されます。また、側面図も通常の視覚的な配置とは異なります。これにより、初めて図面を見る人や第一角法に慣れていない人にとっては直感的に理解しづらい場合があります。

また、国際的な混乱の可能性があります。世界の標準としては第三角法が一般的です。この違いが、国際的なプロジェクトや輸出入に関連する図面で混乱を招く可能性があります。異なる標準に慣れていない技術者や製造業者にとっては、誤解やミスが発生するリスクがあります。

そして、学習の難しさがあります。第一角法の配置方法を理解し、適切に使用するためには、特定の教育と訓練が必要です。特に、第三角法に慣れている人にとっては、第一角法を学ぶのが難しい場合があります。

さらに、図面の見づらさが挙げられます。図面を解析する際に、物体の各ビューの配置が通常の視覚的な直感とは異なるため、図面を見ながら実際の物体をイメージするのが難しいことがあります。特に複雑な部品や構造の場合、図面を理解するのに時間がかかることがあります。

CADシステムの設定も第三角法がデフォルトのことが多いです。これは、ソフトウェアの設定を変更する必要があることを意味し、特に異なるプロジェクトやクライアントごとに設定を変更する手間が増えます。

このように様々なデメリットがあり、第一角法は現在ではあまり使用されていません。ただし、古い図面を再利用する場合や、一部の図面作成では第一角法で書かれる場合があり、必要性が失われたわけではありません。

第三角法のメリット

これに対して、第三角法は現在の世界的な標準であり、以下のような多くのメリットがあります。

直感的な把握が可能

第三角法では、図面上の各ビューの配置が視覚的に直感的で分かりやすいです。正面図を中心に、上面図が上に、側面図が左右に配置されるため、物体の各方向からの見え方が自然に理解できます。

国際的な標準との互換性

多くの国際規格(ISO、ANSI)で採用されているため、国際的なプロジェクトにおいても広く受け入れられています。特に北米市場向けの製品やプロジェクトでは、第三角法が標準とされています。

教育とトレーニングの容易さ

図面の各ビューの配置が直感的であるため、初学者や新人技術者にとって学びやすいです。図面の配置が視覚的に理解しやすいため、無理なく学ぶことができます。

統一された図面の表現

第三角法は、多くの産業分野で標準的に使用されており、設計図や製図の一貫性を保ちやすいです。同じ基準で図面を作成することで、異なる設計者や製造業者間でのコミュニケーションが円滑になります。

視覚的な明瞭さ

図面上のビュー配置が自然なため、物体の形状や構造を理解するのが容易です。これにより、設計意図の誤解や製造ミスを減らすことができます。

CADシステムのサポート

多くのCADシステムは第三角法をデフォルトの設定としてサポートしており、図面作成が効率的に行えます。CADシステムの普及により、第三角法の使用がさらに一般的になっています。

JISでも一応、第一角法と第三角法の両方が規定されていますが、第三角法の使用が推奨されています。そして、図面には必ず第一角法か第三角法のどちらで書いたかを記載するようになっています。図面を書く方も読むほうも注意しておきましょう。

(まとめ)図面は第三角法で書くのが世界的な標準です。

以上、図面の投影法と、第三角法について解説しました。JISでも一応第一角法の規定がありますが、新しい図面を第一角法で書く意味はあまりありません。ただし、第一角法での図面の見方が完全に必要なくなったかというとそうではなく、古い図面を読むときなどに必要となります。また、国によっては、第一角法が主流の場合もあり、注意する必要があります。

機会があれば、頭の体操のつもりで、第一角法の図面を読んでみるのも面白いかもしれませんね(笑)。

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