AutoCADとInventor違いと使い分け

2024.06.14

カテゴリーを問わず、また分野を問わず、世界で最も普及しているCADシステムの一つに「AutoCAD」があります。また、同じAutodesk社から発売されているCADシステムに「Inventor」があります。ここでは、この二つのCADシステムの違いや使い分けについて解説し、最後にこの二つのCADシステムを使い分けるメリットについて紹介します。

AutoCADとInventorの違い

AutoCADとInventorは、どちらもAutodesk社が提供するCADシステムですが、それぞれの用途や機能にいくつかの違いがあります。以下に主な違いを説明します。

AutoCAD

用途としては、主に2D図面の作成や編集、建築、土木、機械などの幅広い分野で使用されます。基本的な3Dモデリングも可能ですが、2D設計が主な用途です。

機能としては、レイヤー管理、寸法記入、注釈、ハッチングなどの豊富な2D設計ツールや基本的な3Dモデリング機能を備えています。また、カスタマイズ性が高く、スクリプト(AutoLISPやVBAなど)やプラグインを使用して機能を拡張可能です。

使用分野としてはかなり汎用的で機械設計、建築設計、土木設計、都市計画、電気回路設計など多岐にわたります。歴史が長く、これらの分野むけに蓄積された豊富なライブラリやテンプレートを利用できます。

ユーザーインターフェースとしてはコマンドラインインターフェースが特徴的で、高速な操作が可能です。もっともGUIも充実しており、直感的な操作も可能です。

Inventor

用途としては主に3D機械設計に特化しています。コンポーネントのアセンブリや製造工程のシミュレーションなど、機械設計に必要な高度な機能を提供しています。

機能としては、高度な3Dモデリングツールや、パーツおよびアセンブリの設計機能、ストレス解析や動作シミュレーションなどの解析ツールを備えています。

また、強力なCADファイルの管理機能を備えており、ある程度の大規模プロジェクトにも対応しています。したがって製造に必要な図面や部品表(BOM)の作成が容易です。

インターフェースとしては、パラメトリック3Dモデリングに最適化されたインターフェースを備え、ユーザーフレンドリーな操作感を実現しています。

つまりAutoCAD2Dは2D設計がメインで汎用的、Inventorは3Dモデリングがメインで機械設計特化といえるでしょう。

価格

AutoCADの価格は基本的に高めですが、その汎用性と幅広い用途を考えると、コストパフォーマンスは高いです。もっとも、AutoCAD LTという2D設計に特化した廉価版もあります。AutoCAD LTは個人の設計事務所や小規模のプロジェクトの場合での採用例が多いです。

一方Inventorは特に機械設計向けの高度な機能が充実しているため、AutoCADよりも若干高めの価格設定となっています。また、Inventor Professionalというさらに機能が追加されたバージョンも存在します。

SolidWorksとInventorの特徴

InventorはミッドエンドCADですが、このカテゴリーではSolidWorksという強力なライバルがいます。このカテゴリーではSolidWorksとInventorが非常に重要な役割を果たしており、実質的に市場を二分しています。

SolidWorksの特徴

SolidWorksはDassault Systemesが提供する3D CADソフトウェアで、特に製品設計とエンジニアリングに特化しています。主に中小企業や教育機関などで広く利用されています。教育機関での採用が多いことから、新しい世代のエンジニアに広く親しまれています。また、SolidWorksは直感的なインターフェースと豊富な教育リソースで新規ユーザーに人気です。

Inventorの特徴

Inventorは、Autodesk社が開発・販売している3D機械設計とシミュレーションに特化したソフトウェアで、機械部品の設計やアセンブリ、製造工程のシミュレーションに強力なツールを提供します。また、CADからCAMへの統合がスムーズで、製造工程の効率化を支援します。

つまり、SolidWorksは使いやすく若いエンジニアに人気、Inventorは現場の現状を良く踏まえた「渋い」CADシステムと言えるでしょう。

AutoCADが機械設計で使われる理由

AutoCADは機械設計でも広く使用されています。以下に、AutoCADが機械設計で使用される具体的な理由と用途を説明します。

汎用性

AutoCADは2Dおよび3D設計の両方に対応しており、幅広い設計ニーズに応えられます。

多くの業界標準のファイル形式(DWG、DXFなど)に対応しており、他のソフトウェアとの互換性が高いです。

2D図面の作成

機械部品やアセンブリの詳細図、製図、寸法記入、注釈付けに優れています。このため正確な2D図面を迅速に作成でき、製造現場での使用が容易です。

コスト効率

機械設計のプロジェクトによっては、高度な3Dモデリングが不要な場合も多々あります。このような場合AutoCADはSolidWorksやInventorに比べてコスト効率が高い選択肢となります。特に小規模なプロジェクトや企業では、必要な機能を持ちながらも比較的低コストで利用できることが魅力です。

カスタマイズ性

AutoCADはカスタマイズが容易で、スクリプトやプラグインを使用して特定の業務フローに合わせたツールや機能を追加できます。例えば、AutoLISPやVBAを使って自動化スクリプトを作成し、設計プロセスの効率化を図れます。

教育とサポート

AutoCADは歴史が長く、広く使用されているため、豊富な教育リソースやサポートが利用可能です。学習資料、オンラインフォーラム、トレーニングプログラムが充実しており、初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザー層がサポートを受けられます。

AutoCADとInventorのデータ互換性

データの互換性は非常に重要な要素です。Autodeskの製品間では、データの互換性が高く、データの移行や統合がスムーズに行えるため、設計プロセス全体がシームレスになります。

具体的にはAutodeskの製品間の高いデータ互換性を利用して、Inventorで3Dモデリングを行い、AutoCADで2D部品図を作成するというワークフローは非常に効果的です。データの一貫性と移行の容易さにより、設計プロセス全体が効率化され、エラーやミスの削減、コスト削減が期待できます。これにより、高品質な製品設計と製造が実現します。

3DCADと2DCADを組み合わせた使い方

3DモデリングをInventorで行い、部品図をAutoCADで作成することで、それぞれのソフトウェアの強みを最大限に活用できます。以下に、このワークフローの詳細と利点を説明します。

3D設計

Inventorを使用して、組み立て図の3Dモデルを作成します。Inventorは高度なパラメトリックモデリング、シミュレーション、解析ツールを提供し、複雑な設計や動作検証が可能です。パラメトリックモデリングにより、設計変更が容易であり、設計の繰り返しや最適化を効率的に行えます。

シミュレーション

Inventorの解析ツールを使って、ストレス解析や動的シミュレーションを実行し、設計の信頼性と性能を確認します。

AutoCADでの2D図面作成

まずInventorで作成した3Dモデルを元に、AutoCADで詳細な2D図面(部品図)を作成します。Inventorから直接DWG形式でエクスポートすることができるため、モデルデータをAutoCADで開くことが可能です。

そして寸法記入と注釈を行います。 AutoCADの強力な2Dツールを使用して、寸法記入や注釈を追加し、製造に必要な情報を正確に記載します。

この方法のメリット

互換性とデータの一貫性

Autodeskの製品間の互換性により、InventorからAutoCADへのデータ転送がスムーズに行えます。これにより、データの一貫性と精度が保たれます。

効率的なワークフロー

3Dモデルと2D図面の作成を分担することで、設計プロセス全体の効率が向上します。3Dモデリングと2D図面作成のそれぞれに特化したツールを使用することで、各工程を最適化できます。

コストの削減

高度な3D設計にはInventorを使用し、2D図面作成にはコスト効率の高いAutoCADを使用することで、全体的なソフトウェアコストを削減できます。

また、個人の設計事務所では高度なCADシステムを備えていない場合も多くあり、比較的価格が抑えられたAutoCADの使用を前提とした外注が可能になる可能性も高くなります。

(まとめ)CADシステムの特徴を生かしてうまく使い分けていきましょう

以上、AutoCADとInventorの違いと使い分けについて解説しました。

CADシステムにはそれぞれ異なった特徴があり、分野によって向き不向きがあります。AutoCADは汎用的で2D設計であれば大変使いやすいCADですが、高度な3Dモデリングには向いていません、一方、Inventorは3Dモデリングには使いやすいCADですが、2D主体の設計では若干不利になります。

そこで、Inventorで3Dモデリングを行い、AutoCADで部品図を作成するワークフローは、それぞれのソフトウェアの強みを活かし、効率的かつ正確な設計プロセスを実現します。これにより、設計品質の向上や製造効率の向上が期待できます。

導入時にCADの特徴をしっかり捉え、プロジェクトや規模に合わせた適切な組み合わせでCADシステムを使っていきましょう。

CAD図面の管理には是非「図面バンク」をご利用ください。中小企業の図面管理に大変使いやすい図面管理システムです。

初期費用ゼロ円キャンペーン!図面バンクで利益を増やす!

資料請求【初期費用30万円割引キャンペーン!!】

サービスや導入のメリットをくわしくご紹介しています。
導入する前に、まずは無料の資料請求をしてみましょう。

関連記事