3DCADに必要なグラフィックボードとシステム要件

2024.06.29

3DCADシステムはシステム全体が大変重く、複雑です。そのため、本格的な3DCADによる機械設計を業務として行うには、パワフルで安定したPCが必要になります、

また、グラフィックボードだけでなくCPUやメモリといったPC全体のスペックが高くないと効率よく業務を行うことが難しくなります。

ここでは、3DCADに必要で推奨されるグラフィックボードを紹介するとともに、効率よく安定した3DCAD業務を行うためのPC全体のスペックについて考えてみたいと思います。

3DCADシステムとグラフィックボード

3D CAD(コンピュータ支援設計)を使用する際には、適切なグラフィックボードが非常に重要です。以下に、3D CADに最適なグラフィックボードの選び方とおすすめモデルを紹介します。

グラフィックボードの選び方

ハイエンドCADには、NVIDIA QuadroやAMD Radeon Proシリーズがおすすめです。これらは、CADシステムベンダーの認証を受けており、高度な3Dレンダリングやシミュレーションに対応しています。

ローエンドCADには、ゲーミング向けのNVIDIA GeForceやAMD Radeonシリーズも使えますが、プロフェッショナル用途ほどの性能は期待できません。

ミッドエンドCADにはこれらの中間程度のグレードのグラフィックボードが使えますが、安定して快適な動作を期待するには、やはりできるだけグレードの高いグラフィックボードを使うべきでしょう。

メモリ容量

3Dモデルの複雑さに応じて、グラフィックボードのメモリ容量が重要になります。最低でも4GB、できれば8GB以上を推奨します。

CUDAコアやストリームプロセッサの数

NVIDIAのグラフィックボードではCUDAコア、AMDのグラフィックボードではストリームプロセッサの数が多いほど、レンダリング速度が向上します。

おすすめのグラフィックボード

プロフェッショナルモデルではNVIDIA Quadro RTX 4000(8GB GDDR6メモリ、2304 CUDAコア)やAMD Radeon Pro WX 7100(8GB GDDR5メモリ、1792ストリームプロセッサ)などがあります。いずれも日本で入手可能です。

また、NVIDIA Quadro P2000(5GB GDDR5メモリ、1024 CUDAコア)もおすすめです。コストパフォーマンスに優れています。これも日本で入手可能です。

お手頃価格モデルとしては、NVIDIA GeForce RTX 3060(12GB GDDR6メモリ、3584 CUDAコア)やAMD Radeon RX 6700 XT(12GB GDDR6メモリ、2560ストリームプロセッサ)、NVIDIA GeForce GTX 1660 Super(6GB GDDR6メモリ、1408 CUDAコア)などがあります。これらはコストパフォーマンスが高く、高度な3Dモデリングが必要のない場合に適しています。これらも日本で入手可能です。

3DCADを使うためのシステム構成

3D CADを効率よく利用するためには、グラフィックボードだけでなく、CPUやメインメモリ(RAM)も高性能なものを選ぶことが重要です。以下に、3D CAD用のシステム全体のバランスを考えた推奨構成を紹介します。

CPU

3D CADのパフォーマンスはCPUの性能にも大きく依存します。たとえば、Intel Core i7 または i9シリーズ(具体例としてIntel Core i7-12700KやCore i9-12900K)、あるいはAMD Ryzen 7 または 9シリーズ(具体例としてAMD Ryzen 7 5800XやRyzen 9 5900X)などの高性能なCPUが望ましいでしょう。

メインメモリ(RAM)

3D CAD作業では、大容量のメインメモリが必要です。最低でも16GB、可能であれば32GB以上を推奨します。

ストレージ

高速なストレージは、データの読み書き速度を向上させ、全体のパフォーマンスを向上させます。SSDは必須で、HDDもできるだけ大容量で高速なものを選ぶべきです。

冷却システム

高性能なハードウェアを使用するため、十分な冷却性能が必要です。高品質なCPUクーラー、グラフィックカードの冷却、およびケースファンを使用してください。

電源ユニット(PSU)

高出力の電源ユニットが必要です。850W以上の80+ ゴールドまたはプラチナ認証のPSUを推奨します。

全体構成例

CPU:Intel Core i9-12900K または AMD Ryzen 9 5900X

メインメモリ:32GB DDR4(16GB x 2)

グラフィックボード:NVIDIA Quadro RTX 4000

ストレージ:1TB NVMe SSD + 2TB HDD

電源:750W 80+ ゴールド

マザーボード:対応する高性能マザーボード(ASUS ROGシリーズ、MSI MEGシリーズなど)

お手頃価格の構成

CPU:Intel Core i7-12700K または AMD Ryzen 7 5800X

メインメモリ:16GB DDR4(8GB x 2)

グラフィックボード:NVIDIA GeForce RTX 3060

ストレージ:500GB NVMe SSD + 1TB HDD

電源:650W 80+ ゴールド

マザーボード:対応するミドルレンジマザーボード(ASUS TUFシリーズ、MSI MPGシリーズなど)

ディスプレイの選び方

3DCADでの作業は長時間にわたるため、「疲れ」を極力低減する必要があります、したがってディスプレイは大変重要です。

サイズ・解像度・色再現性

サイズと解像度は、作業スペースを広く取るために、27インチ以上のディスプレイがおすすめです。また、少なくとも1920×1080(フルHD)、できれば2560×1440(QHD)や3840×2160(4K)を選びましょう。

色再現性については、広視野角と優れた色再現性を持つIPSパネルが最適です。さらにsRGB 100%カバーやAdobe RGB対応のディスプレイは、正確な色再現が求められる場合におすすめです。

接続ポートにも注意を払いましょう。HDMI、DisplayPort、USB-Cなどの複数の入力ポートを持つディスプレイを選ぶと、接続が柔軟になります。また、グラフィックボードに十分な数の出力ポートがあることを確認しましょう。複数のHDMI、DisplayPort、USB-Cがあると便利です。

なお、NVIDIA Quadro RTX 4000やGeForce RTX 3060などの最新のグラフィックボードは、マルチディスプレイをサポートしています。

おすすめのディスプレイ

・Dell UltraSharp U2720Q

27インチ、4K解像度、IPSパネル

USB-Cポート付きでノートPCとも接続可能

・LG 27UL850-W:

27インチ、4K解像度、IPSパネル

高い色再現性と広視野角

・BenQ PD3200U:

32インチ、4K解像度、IPSパネル

プロフェッショナル向けの色再現性

マルチディスプレイ

マルチディスプレイ環境は、3D CAD作業の効率をさらに向上させるために非常に有用です。複数のディスプレイを使用することで、作業スペースを広げ、各種ツールや資料を同時に表示することができます。以下に、マルチディスプレイ環境を構築するためのアドバイスをまとめます。

マルチディスプレイの配置

デュアルディスプレイの場合、メインディスプレイとサブディスプレイを並べて配置します。メインディスプレイで3Dモデリング、サブディスプレイで参考資料やツールパネルを表示します。

トリプルディスプレイの場合は、中央のメインディスプレイと左右のサブディスプレイを配置します。中央でモデリング、左右で資料、ツール、レンダリングプレビューなどを表示します。

L字型配置では作業スペースをL字型に配置し、快適な作業環境を作成します。中央にメインディスプレイ、横にサブディスプレイを配置するとよいでしょう。

シミュレーションを行う場合

有限要素法(Finite Element Analysis、FEA)などのシミュレーションを行う際には、PCの構成にいくつかの特別な配慮が必要です。これらのシミュレーションは非常に計算集約的であり、CPU、メモリ、ストレージ、グラフィックボードのすべてが重要な役割を果たします。以下に、FEAシミュレーションに最適なPC構成のポイントをまとめます。

CPU

Intel Core i9シリーズ:例:Intel Core i9-12900K(16コア、24スレッド)

AMD Ryzen 9シリーズ:例:AMD Ryzen 9 5950X(16コア、32スレッド)

メインメモリ(RAM)

FEAシミュレーションは大量のメモリを使用します。最低でも32GB、可能であれば64GB以上を推奨します。

ストレージ

高速なストレージは、シミュレーションデータの読み書き速度を向上させます。SSDはシステムドライブとして1TB以上の容量を推奨します。また、HDDもできるだけ高速で大容量のものが必要です。

グラフィックボード

FEAシミュレーションでは、グラフィックボードの性能も重要です。特に3Dビジュアライゼーションを行う場合は、高性能なグラフィックボードが必要です。

NVIDIA Quadro RTX 4000:高い信頼性と性能

AMD Radeon Pro WX 7100:優れたコストパフォーマンス

冷却システムと電源ユニット

高性能なハードウェアを使用するため、十分な冷却性能が必要です。高品質なCPUクーラー、グラフィックカードの冷却、およびケースファンを使用してください。

また、高出力の電源ユニットが必要です。850W以上の80+ ゴールドまたはプラチナ認証の電源ユニットを推奨します。

推奨構成例

CPU:Intel Core i9-12900K(16コア、24スレッド)

メインメモリ:64GB DDR4(16GB x 4)

グラフィックボード:NVIDIA GeForce RTX 3060

ストレージ:1TB NVMe SSD + 2TB HDD

電源:850W 80+ ゴールド

冷却システム:高性能な空冷CPUクーラー

マザーボード:ASUS ROG Strix Z690-E Gaming WiFi

(まとめ)3DCADはコストがかかります

以上、3DCADを動作させるためのPCのスペックについて考えてきました。

3DCADシステムを効率よく安定して動作させるためには、ある程度の高いスペックのPCが必要になります。このことは冒頭でも述べたように3DCADシステムは複雑で高度なシステムなので、仕方がない部分もあります。

このため、小さな会社や個人で3DCADを導入するにはなかなか難しい部分もあり、今まで述べたような「望ましい姿」で導入せず、何かの部分を妥協してシステムを導入しているのが現状ではないかと思います。

安定して、動作が軽く、スペックの低いPCでも動作するCADシステムの開発が望まれています。これからの開発成果に期待しましょう。

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