図面から見積書作成を支援するソフトとは?
2024.08.07
皆さんは見積書、どうやって作っていますか?
昔は、経験を積んだ技術者と購買担当、営業が相談し、暗黙の了解の中で経験と勘によって作成されていたことが多かったのです。
しかし、近年では、面倒な見積書作成を支援する見積書作成ソフトが登場し、より合理的な見積内容と作成の効率化が図られるようになりました。
そして、このような機能がCADに内蔵されていることも多いです。また、製造業向けの専用ソフトも近年徐々に市販されるようになりました。
ここでは、製造業向け見積書作成ソフトについて解説し、具体的にどのようなものがあるかをいくつか紹介したいと思います。
目次
図面見積ソフトとは?
図面見積ソフトについては、建設業や製造業で利用されることが多いツールです。これらのソフトウェアは、材料の見積りやプロジェクト全体のコスト計算を行うために使用されます。このソフトウェアの登場により、より効率的で合理的な見積業務が可能になりました。
ここでは主に機械図面から見積もりを行うソフトを解説し、以下に、いくつかの代表的なソフトを紹介します。
CADの機能としての図面見積もりソフト
機械図面の段階でコスト見積もりを弾き出せるソフトはいくつか存在し、これらはCADソフトウェアと統合された見積もり機能や、専用の見積もりツールを使って実現されます。以下に、代表的なソフトを紹介します。
SolidWorks
SolidWorksは3D CADソフトウェアで、機械設計に広く使われています。
SolidWorksには「Costing」という機能があり、設計段階で部品やアセンブリの製造コストを自動で見積もることができます。材料、加工方法、製造工程などに基づいたコストの計算が可能です。
Autodesk Inventor
InventorはAutodeskが提供する3D CADソフトで、主に機械設計に使われます。
Inventorには「Cost Estimator」というアドオン機能があり、設計された部品やアセンブリのコストをリアルタイムで見積もることができます。材料費や加工費、組立費などを考慮に入れて計算されます。
Siemens NX
Siemens NXは高度な3D CAD/CAM/CAEソフトウェアで、機械設計から製造まで幅広く利用されています。
NXには「Tool Costing」や「Part Costing」といったモジュールがあり、設計段階でのコスト見積もりをサポートしています。これにより、部品の材料費や製造工程にかかるコストを早期に見積もることができます。
Creo
CreoはPTCが提供する3D CADソフトで、機械設計やエンジニアリング分野で広く使用されています。
Creoには「Pro/TOOLMAKER」というモジュールがあり、工具の製造コストを見積もることができます。また、他のコスト計算ツールと連携して部品コストの算出も可能です。
Autodesk Fusion 360
Fusion 360はクラウドベースの3D CAD、CAM、CAEソフトで、プロダクトデザインからエンジニアリング、製造まで対応しています。
Fusion 360には「Manufacturing Extension」という機能があり、設計から製造までの一貫したコスト見積もりができます。部品の材料や製造プロセスに基づいた見積もりを簡単に実行できます。
これらの機能を利用することで、設計の初期段階から製造コストの見積もりを行い、設計の最適化やコスト管理に役立てることが可能です。ソフトウェアの選択は、企業のニーズやプロジェクトの特性に合わせて行うとよいでしょう。
設計段階で見積もることのメリット
早期でのコスト把握
設計プロセスの初期段階で、製造コストを見積もることができるため、予算内での製品開発が容易になります。これにより、不必要な設計変更を防ぐことができます。
設計の最適化
コスト見積もりツールを使用すると、材料の選択や製造プロセスの決定に基づいたコストをリアルタイムで確認できるため、コスト効率の良い設計を追求することが可能です。
迅速な意思決定
設計とコストのバランスを早期に確認できるため、コストの見直しや設計の修正を迅速に行うことができ、プロジェクトの遅延を防止します。
競争力の向上
市場における価格競争力を確保するために、製品のコスト構造を早期に理解し、必要に応じてコストダウンを実施することができます。
リスク管理
設計段階でのコスト見積もりにより、予想外のコスト超過リスクを減らし、プロジェクト全体のリスクを管理することができます。
これらの機能は、特に製造業において、設計から製造までのプロセスを効率化し、競争力のある製品を市場に提供するために非常に重要です。設計者やエンジニアがコスト意識を持ちながら設計を進めることができるため、製品開発の成功率が高まります。
CADシステムに図面見積もり機能がついていない場合の専用ソフト
製造業向けに特化した日本語対応の専用見積もりソフトには、以下のようなものがあります。これらは、製造プロセス、材料費、加工費などを考慮して、精度の高い見積もりを提供します。
Costimator
製造業向けのコスト見積もりソフトで、部品製造、機械加工、板金加工などに特化しています。
材料費、加工費、組立費、機械の稼働時間など、さまざまなコスト要素を細かく設定でき、正確な見積もりを作成します。CADソフトとの連携も可能で、設計図面から直接データを取り込んで見積もりを行うことができます。日本市場にも対応しており、日本語のサポートも提供されています。
また、CADデータの取り込みにも対応しています。主要なCADソフト(AutoCAD、SolidWorks、Inventorなど)からデータをインポートし、そこから材料費や加工費の見積もりを行うことができます。
SigmaNEST
板金加工業向けの見積もりソフトで、レーザーカットやパンチング、プラズマカットなどの工程に特化しています。
材料のネスティング(配置)を最適化する機能を持ち、材料の無駄を減らし、コストを削減します。材料費や加工時間の見積もりを自動化し、迅速に正確な見積書を作成することができます。日本語対応のバージョンも提供されています。
CADデータの取り込みにも対応しており、CADデータを取り込んで材料のネスティング(配置)を最適化し、正確な材料費と加工コストを算出します。複数のCAD形式に対応しており、板金加工業で広く使用されています。
CAM-TOOLシリーズ
金型設計・製造向けのCAM(コンピュータ支援製造)ソフトウェアです。
高度な3Dモデリングとシミュレーション機能を持ち、設計から製造までのプロセスをサポートします。見積もり機能も備えており、加工時間や材料費を基に正確なコストを算出します。日本市場に特化したソフトウェアであり、日本語対応も充実しています。
CADデータの取り込みにも対応しています。CAM-TOOLは、CADデータを取り込み、金型の設計・製造を行うためのツールです。取り込んだデータを基に加工工程をシミュレーションし、見積もりを作成することができます。
その他、CADデータを直接取り込める図面見積もりソフトは様々あります。ネットを検索すると情報があふれています。自社にあったソフトをじっくり探しましょう。
図面見積もりソフトのメリット
正確性の向上
CADデータや製造工程の情報を直接取り込むことで、手作業による入力ミスが減り、データの一貫性が保たれます。
また、ソフトウェアは、材料費や加工費、労務費などを詳細に計算するため、経験や勘に頼ることなく、正確なコストを算出できます。
さらに、見積もりの過小評価や過大評価によるリスクを減らし、より現実的で競争力のある価格設定が可能になります。
効率化の向上
CADデータの取り込みや工程の自動計算により、従来手動で行っていた作業が大幅に短縮されます。
また、見積もりのプロセスが標準化されることで、複数のプロジェクトや異なるチーム間でも一貫した見積もり作業が可能になります。
さらに、正確な見積もりを迅速に作成できるため、顧客への提案や価格交渉もスムーズに行えます。
現実的なアプローチ
見積もりのすべてを自動化することは難しいかもしれませんが、ソフトウェアを利用して、データ収集や計算、標準的な項目の見積もりなどを自動化することで、全体の作業効率は大幅に改善されます。
また、複雑なケースや特別な顧客要求など、経験と勘が必要な部分では、ソフトウェアのデータを参考にしつつ、最終的な判断は専門家が行うというハイブリッドなアプローチが有効です。
(まとめ)図面見積もりソフトは業務を効率化させます
以上、図面見積もりソフトについて解説しました。
見積業務の完全な自動化は難しいかもしれませんが、見積もりソフトウェアを導入することで、作業の効率化と正確性の向上が期待できます。これにより、時間やコストの節約ができるだけでなく、プロジェクト全体の品質も向上し、競争力のある価格設定が可能になります。
見積もり業務が負担になっている企業は、是非取り入れて、業務効率の向上を図りましょう。
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