現役機械設計者が解説!図面の電子化メリット・デメリット
2024.01.29
目次
図面を探しているときに、こんなお悩みをお持ちではないでしょうか?
「書類棚が増えて、オフィスが手狭になっている」
「書類が多すぎて、いざというときに見たい図面が見つからない」
図面を探しているときに、こんなお悩みをお持ちではないでしょうか?
図面を電子化すれば、このような悩みは解決できるかもしれません。
今回は、図面バンクのコラム担当で、現役の機械設計者でもある筆者が、「図面を電子化することのメリット・デメリット」を解説します。
私は産業用機器メーカーで10年以上、機械設計者として働いています。
ある時、会社が「すべての図面を電子化する」と言い、図面棚で保管していた図面はすべて電子化されて、新しく作った図面も電子データで保存することになりました。
その時の経験と感じたことをもとに、この記事を書きました。
「設計現場の図面の電子化に興味がある」
「紙図面を減らして電子化したいが、どう良くなるのかイメージしづらい」
こんな方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
メリット・デメリットはどちらもあるのですが、筆者としては総じて図面を電子化して良かったと思っています。
当たり前にやっている業務も、実はなにげに無駄な時間がかかっていることがあるかもしれません。当の本人は、それが当たり前だと感じており、意外と気づかないものです。
図面を電子化することで、従業員の図面を整理する・探す時間を減らし、会社の生産性を高められると思います。
この記事が紙図面で何とかなっていると感じている経営者様、設計者様への気付きになれば嬉しいです。
設計現場で図面は電子化できる
設計現場において、図面を電子化、ペーパーレス化することは可能です。図面管理システムに図面データを保存し、そのデータを正とすればいいのです。
ここでは、「図面を電子化した状態とは?」「セキュリティは大丈夫?」という内容について解説していきます。
図面を電子化した状態とは?
オフィスには紙や図面を納める棚が存在せず、図面データは全て図面管理システムに入っている状態です。原図の図面棚も存在せず、原図は図面管理システムに承認印が入った状態で保存します。
従業員は必要な図面を図面管理システムから検索し、加工メーカーに電子メールで図面を送付したり、必要に応じて印刷します。
従業員の机は図面をファイルしたバインダーは置かれることはなく、紙の図面があったとしても必要な図面だけが一時的に置かれている状態です。
セキュリティは大丈夫?
大事な情報を電子データで保存するときに、セキュリティは気になると思います。結論、図面の電子化のセキュリティは、「図面管理システム」を導入すればほぼ解決できると考えています。
図面管理システムでは、データセンターに電子データを保存します。データセンターとは、データを格納するサーバーを安全に管理することに特化した施設です。地震など災害に強い場所にあり、サイバー攻撃にもセキュリティ対策をしています。そのため、データ消失・漏えいのリスクを最小限に抑えています。
現代では、むしろ紙で情報を保存するほうがリスクが高い、と言えるでしょう。
JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)の2018年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書では、媒体・経路別の情報漏えい件数では紙媒体が132件(全体の約3割)で1位となっています。
図面を紙で管理していても、クライアントのデータのやり取りは電子メールを使うことも多いです。セキュリティの観点からは、「紙」「データ」と両方データを保存するよりも、「データ」のみで管理したほうがリスクは抑えられると思います。
図面電子化のメリット
図面電子化のメリットは次の通りです。
1. 図面をファイルする手間が省ける
図面を電子化することで、紙の図面を一枚一枚バインダーに挟む手間がなくなります。これにより、新規図面のファイルや改版時の管理工数を削減することができます。
もちろん電子化された図面を保存するにも時間は必要です。しかし、保存手順はPCで図面管理システムの特定の場所に図面データを保存するだけですので、紙媒体よりも時間はかからないと思います。
2. 棚まで探しに行く手間が省ける
図面の電子化で、物理的な図面の探索にかかる時間が削減できます。
紙で保管された図面を探すときは、以下のような手順を踏みます。
1. 自席から図面棚まで移動する
2. 図面棚の中から、該当する案件のバインダーを探す
3. バインダーの中から欲しい図面を手探りで探す
この紙の図面を探すという作業は、1回あたりは数分~数十分と少ないかもしれませんが、1か月、1年と積み重ねるとかなりの時間になると思います。
図面管理システムを使うと、電子化された図面をキーワード検索や分類別検索で、迅速に必要な図面を見つけることができます。
3. 図面棚のスペースを削減できる
電子化により、物理的な図面棚が不要になります。従来の大きな図面棚が占めていたスペースを、打ち合わせテーブルなど他の用途に活用することができます。
4. 取引先との図面の共有が楽になる
今は多くの企業がIT化を進めており、電子メールやファイル共有サービスでデータをやりとりする場合が多くなっています。
図面を電子化すれば、電子メール経由での共有が簡単になり、取引先とのコミュニケーションがスピーディになります。
5. 複数人で同時に閲覧できる
紙の図面を図面棚に保存している場合、欲しい図面を誰かが持ち出していたら見ることができません。原図を参照するのも、原図の図面棚には鍵がかかっていたり、遠い場所にあったりして地味に面倒です。
図面を電子化すると、図面管理システム上の図面を複数の人が同時に閲覧することができます。
たとえば、「営業のメンバーが、見積もりのために図面を参照する」「設計のメンバーが、新規案件の設計の参考のために図面を参照する」という作業を同時に行うことができます。
図面電子化のデメリット
図面電子化のデメリットは次の通りです。
1. 図面管理システムが高価
図面管理システムは、高額な初期投資が必要なことが多いです。中には数百~数千万円といった、中小企業が導入するには金額的に難しいケースもあります。
また、図面管理システムは維持費用・サポート費用が必要です。この費用はざっくり初期費用の10%~20%程度で考えておけばいいでしょう。維持費用も含めた長期的な運用コストが発生することを理解する必要があります。
2. スキャンサービスにコストがかかる
既存の紙の図面を電子化する場合は、スキャン作業が必要です。
自社でスキャンをする場合は、相応の時間とコストがかかります。専門のスキャンサービスを利用すれば社員の作業時間は無くなりますが、費用は無視できないものになります。
3. 紙の図面を使いたいときに印刷する手間が発生する
紙の図面が優れている場合もあります。たとえば、「検図で寸法漏れや設計意図を確認する」「現場の立ち合いで、現物と一緒に図面を確認する」などの状況では紙図面のほうが使い勝手が良いです。
図面を電子化した場合、紙の図面が必要になったときに印刷する手間が発生します。特にA1サイズなど大判図面を頻繁に印刷する場合は、印刷コストも無視できなくなるでしょう。
4. データの管理の仕方を考える必要がある
図面管理システムに入れる図面を、どうやって管理するかを考える必要があります。たとえば、次のような項目を考えておく必要があります。
電子化された図面ファイルの命名規則
図面管理システムのフォルダ構成
従業員ごとのアクセス権限の付与
これらを考えておかないと、図面管理システムに無秩序に図面が入れられることになり、欲しい図面を探しにくくなってしまいます。
クラウド図面管理システムの「図面バンク」
図面管理システムの一例に「図面バンク」があります。
図面バンクは、5~40名の工場や製作所向けのクラウド図面管理システムです。ブラウザからログインし、図面データをアップロードし、案件ごとに図面や見積書などのデータをまとめられるようになっています。
データは官公庁も利用している日本国内のデータセンターに保存され、データ紛失のリスクも最小限に抑えられています。
図面バンクは、図面保管数が無制限です。そのため、過去のデータをまとめて電子化して保存してもディスクの容量を圧迫する、という心配はありません。また、利用料金は月額26,000円で、中小企業の予算内でも届く範囲の料金設定となっています。
「図面管理システムはどこを使っていいのかわからない」という方は、ぜひ検討してみてください。
初月は無料ですので、まず登録・お試ししてみて、実際に図面管理システムを体験されてから採用を考えてみてはいかがでしょうか。
図面バンクの資料請求・お問い合わせはこちら
まとめ
この記事では、図面電子化のメリット・デメリットについて解説しました。
図面電子化のメリット
1. 図面をファイルする手間が省ける
2. 棚まで探しに行く手間が省ける
3. 図面棚のスペースを削減できる
4. 取引先との図面の共有が楽になる
5. 複数人で同時に閲覧できる
図面電子化のデメリット
1. 図面管理システムが高価
2. スキャンサービスにコストがかかる
3. 紙の図面を使いたいときに印刷する手間が発生する
4. データの管理の仕方を考える必要がある
今は、どこの会社も図面はCADで製図しています。そう考えれば、CADで作った図面データを電子データで管理する、というのは実は理にかなっています。
とはいえ、デメリットで見たように図面の電子化においてはコストが大きな課題です。その点において、図面バンクは月額26,000円と比較的導入しやすい価格です。
図面バンクは登録後1か月は無料で利用できます。少しでも興味のある方はこちらから、お試しで使用してみてはいかがでしょうか。