効率のいい図面の管理方法とは?図面管理の変遷とこれからについて解説

2024.01.29

近年のクラウドシステムに図面管理のメリット・デメリット

機械図面の効率的な管理手法はかなり昔から模索が続いてきました。原始的な紙図面によるファイリングから、近年ではクラウドシステムによる統合管理まで実にバラエティに富んでいます。

ここでは、最初に機械図面の書き方の方式について解説し、紙図面のファイリングによる管理に始まる管理手法の歴史をたどり、近年のクラウドシステムに図面管理のメリット・デメリットについて述べ、最後に中小企業に適したクラウド図面管理システムについて考えたいと思います。

図面管理と機械図面の表現方式

図面管理は、「機械図面の表現方式」と密接なかかわりがあります。ここでは、機械図面の表現方式について簡単に説明したいと思います。

多品一葉方式と一品一葉方式

機械図面の表現様式には「多品一葉方式」と「一品一葉方式」があります。

多品一葉方式は、製品の組み立て図と、部品図とを同じ図面に表す方式です。この方式では、一製品一図面が基本となり、一品一葉方式のように、複数の図面をファイリングする必要が原則としてありません。

しかし、近年製品の構成が複雑化し、それに伴って部品も多様化・複雑化しており、一枚の図面ではプロジェクトに必要な図面を完全に表すことが出来なくなっています。また、部品を外注に出した場合、製品全体の概要も把握されてしまうために、秘密保持の観点からも、現在ではほとんど用いられなくなっています。

これに対して、一品一葉方式では一部品一図面が基本となります。秘密保持の観点で有利なことや、複雑で部品の数の多い製品でも表すことが出来るために、現在はほとんどがこちらの方式で管理されています。

一品一葉方式と図面管理

一方、一品一葉方式ではプロジェクト当たりの図面の枚数が多くなるために、図面管理が煩雑になります。また、図面は増えることはあっても減ることはないと言っていいでしょう。そのため、一品一葉方式での図面管理を効率よく行うことは、大変重要な課題と言えるでしょう。

図面管理とは

図面管理(Drawing Management)とは、図面を効果的に作成、管理、配布、保存することです。つまり、図面を整理して、適切に管理し、資産として有効に使うための仕組みと言っていいでしょう。

図面管理の目的

図面を一元管理することで、チーム全体が最新の情報にアクセスできるようにし、情報の整合性を保ちます。また、 図面の変更があった場合、変更を記録し、変更の管理を行うことで、どの図面が最新であるかを確認できるようにします。これにより、図面の共有をやりやすくして、資産である図面を有効に使うことができます。

また、図面を整理して保管し、スピーディーに検索が可能にしておくことで、リピートオーダーにも迅速に対応することができます。

つまり、図面を資産として有効に使い、その結果、業務の効率を上げることが目的といえるでしょう。

図面管理の要素

それでは、図面管理に必要な図面の要素を抜き出して解説します。

図番

すべての図面には図面番号(図番)が振られます。この図番は通常の文書の文書番号と同様に、図面管理の基本となるもので大変重要なものです。図面を蓄積している図面庫やデータベースにアクセスするときには必ずこの図番によってアクセスが行われます。

図面台帳

新しく図面を起こす場合には図面台帳と呼ばれる帳簿にプロジェクト名と図題を記入して、「図番」を取ります。つまり、図面台帳には創業してからの図面の概要がすべて記録されることになります。これによって、複数の図面に同じ図番が振られることを防止し、図面管理をやりやすくしています。

なお、図面台帳は原則として一つしかなく、また頻繁にアクセスされるので、管理には特に注意が必要です。

部品表

部品表(Bill of Materials, BOM)は、プロジェクトにおいて、製品を構成する各部品や材料のリストを示す表です。内容としては、各部品や材料の識別子、数量、寸法、材質、調達元、製造工程などの詳細な情報が含まれます。この情報の中に、図面は図番の形で表現されています。

プロジェクトファイル

そして、部品表と各図面を一つのファイルにまとめたものを「プロジェクトファイル」といいます。技術者はこのプロジェクトファイルをもとに業務を進めていきますが、紙図面の場合、プロジェクトファイルにファイリングされた図面(コピー)と図面庫に収められた図面(原図)に相違が生じることがしばしばあります。

そのため、図面に加えられた変更を迅速に原図に反映させるためには、CADによる修正と原図データベースへの変更が、CADとデータベースの連携によって即時に行われることが望ましいといえるでしょう。

図面管理の変遷

つぎに図面管理の変遷について簡単に説明していきます。

図面管理以前

大昔の図面は、その多くは、多品一葉方式で書かれていました。また、図面を書かず、「経験と勘」で作っていく場合も多数ありました。そのため、大企業以外では図面管理はあまり問題になりませんでした。のどかな時代です。

紙図面の図面管理

一方、大企業では、一品一葉方式で書かれる場合もあり、増え続ける図面の管理が問題になってきました。そこで、図番や、部品表(当時は「とりまとめ表」とも言いました)、プロジェクトファイルなどの整備により、図面管理のシステムが整えられていきました。

ただ、これらの図面管理システムは、ほとんどが人手によって実現されており、図面管理専門のスタッフを配置する必要がありました。そのため、中小企業ではなかなか実現しませんでした。

CADによる図面作成と図面管理

中小企業でも一品一葉方式が当たり前になり、人手による図面管理のシステムが整えられたころ、CADの導入が始まりました。

CADは図面を簡単に作成することができ、これにより図面の数量が飛躍的に増大しました。ただ、CAD導入当初は紙にプリントアウトしていたので、かえって無駄な作業が増え、全体の効率が低下するという現象が生じました。

一方、図面庫も電子化・デジタル化し、CADと連携させれば、CADによる図面の変更が即座に原図に反映され、煩雑さが少なくなるのではないかという発想も生まれてきました。

図面管理の電子化・クラウドシステム化

現在、PCやネットワークの高性能化が進み、図面作成と図面管理の一体化を実現したシステムが登場しています。これにより、人手による図面管理を自動化し効率をあげることが実現しつつあります。その結果、紙による図面管理はレガシーとしての最小限のものになっていくと考えられます。

また、近年では、セキュリティ性を上げ効率を上げるために、図面管理システムにクラウドシステムを導入するものも登場しています。

クラウドシステムによる図面管理のメリット

それでは、クラウドによる図面管理システムが中小企業にとってどのようなメリットがあるかを考えてみたいと思います。

クラウドシステムは、インターネットを使用しています。これにより様々なメリットがあります。

まず、挙げられるのがコスト効率の高さです。導入や使用に関する費用を低コストに抑えられます。そのため、中小企業には特に向いています。

また、アクセスが容易です。クラウドサービスはインターネットにアクセスできればどこでも使用することが出来ます。さらに、メンテナンスや更新は自動的に行われます。

さらに、データを冗長化し、災害発生時に備えてバックアップを取ることができます。このため、データの損失を最小限に抑えることができます。

一方、セキュリティを懸念する人もいるかもしれません。しかし、ほとんどのクラウドシステムでは、自前でセキュリティシステムを構築するよりも、はるかに高度なセキュリティ対策を実現しています。そのため、多くの場合、自前のPCに図面データを保存しておくよりもセキュリティ性は高いといえるでしょう。

なお、クラウドシステムではインターネット接続が前提となるため、ネットワークの遅延や接続の不安定性が影響を与える可能性があります。このため、ネットワーク環境はしっかりしたものを用意すべきです。

(まとめ)「図面バンク」は中小企業に適したクラウド図面管理システムです

以上、図面管理の変遷について述べました。図面管理は、長年の模索の結果クラウドによる図面管理が最も優れていると考えられますが、現状のシステムは中小企業が導入するにはコストや複雑さの点でややハードルが高いのが現状です。

多くの場合、中小企業は図面の数が大企業に比べて少なく、大規模なシステムは必要ありませんから、本当に必要な機能に絞ったシステムが望まれます。そして、セキュリティや効率の良さを考えるとクラウドによる図面管理システムが理想的と考えられます。

クラウド図面管理システムとして、スピーディーで効率の高い図面管理システムとして「図面バンク」は強くお勧めできるものです。お気軽にご相談ください。

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