図面を電子ファイル化して管理するメリット

2024.03.17

皆さんは図面をどのような方法で管理していますか?

プロジェクトごとにファイリングする方法や、図面単位でファイリングする方法など様々な方法があると思います。ここでは、図面の管理手法について簡単に説明し、それぞれのメリット・デメリットを述べた後、近年主流となっている電子化ファイルによる図面管理のメリットについて考察します。

図面の管理手法

図面の管理には大きく分けて以下の二種類があります。

プロジェクトファイルによる方法

特に装置などでは、受注ごとにファイルを作成し、このファイルに図面を保管しておくという「プロジェクトファイル」による保管が行われます。この保管方法は図面が紙図面の時代から行われてきた方法で、最も一般的な方法です。

手法としては、受注があった場合にファイルを作成し、そのファイルに作成した図面などの書類を整理して保管していきます。そして、修正や変更があった場合には赤書きで修正を加えていきます。

その後プロジェクトが終了した場合、赤書きの修正を原図に反映させ、ファイル内の図面や書類を実際の現物に反映させます。反映が終了すると、プロジェクトファイルは一定の期間あるいは永久的に保管されます。

紙図面でこの方法を取る場合、図面の修正が多いと大変煩雑で、手間がかかります。しかし、現在では、これらの作業は電子化・自動化されており、図面の修正だけで変更がすべての書類に反映されるようなシステムが開発されています。

図面単位での管理

製造する製品が装置ではなく、部品の場合に多く用いられる管理手法です。また、装置の場合であっても、それぞれの装置でよく使う部品を共通化し、標準部品として管理する場合にも用いられます。

この場合、主な検索キーは「種類」「図番」「時期」「顧客名」などです。部品メーカでは顧客ごとにファイリングされていることが多いです。つまり、図面一枚に書かれた情報からアクセスされます。

なお、中小の部品メーカが部品を受注する場合「紙図面一枚で発注」されることも多く、紙図面でのファイリングに頼っている場合もあります。このような場合、例えば紙図面からCADを使って金型設計を行う必要があり、効率が悪いです。そのため客先から製品図面の電子データを貰うなど、対応が必要と考えられます。

プロジェクトファイルによる管理のメリットとデメリット

メリット

プロジェクトファイルによる図面管理のメリットは「プロジェクト全体が俯瞰的に管理できる」ことです。特にリピートオーダーが入った場合には、最も近い過去のプロジェクトを容易に検索できることです。

設計者、特に設計の責任者は過去の経験を俯瞰的に蓄積しています。ただ、細かい図面単位での記憶はあいまいなことが多いです。このため、「時期」と「顧客仕様」を検索キーとして、必要な図面全体がアクセスできるようにしておくと、大変便利です。

図面をプロジェクトファイル単位で管理しておくことで、「顧客仕様」が分かれば、その仕様に最も近いプロジェクトファイルを容易に検索でき、このファイルにまとめられた図面を基にして、最小限の新規図面作成で新しい設計を行うことができます。

デメリット

プロジェクトファイルでの図面管理のデメリットは「管理が煩雑になりやすい」ということです。

すでに述べたように、プロジェクトファイルでの管理では図面が原図とコピーの二重化が行われます。そして逐次発生する図面の修正は主にコピーに対して行われます。したがって、特に紙図面の管理では、修正したコピーから原図への転記は、人手によって行われますから、誤記や転記もれの可能性が生じます。

このため、「プロジェクトファイルでは修正されているが、原図では修正されていない」という状態が起こる可能性が高くなります。このような場合、設計を追跡して検証する場合に煩雑な作業になり、効率の低下を招きます。

一方、近年の電子化された図面管理システムでは、二重化は行われません。修正や変更は図面データベースに蓄積された原図に直接行われます。このため、誤記や転記もれの発生する可能性は低くなります。

したがって、プロジェクトファイルでの図面管理をより効率的に行うには、プロジェクトファイルの「電子化」がどうしても必要になるのです。

図面単位での管理のメリットとデメリット

メリット

図面単位での管理のメリットは「大規模で複雑なシステムが不要」ということです。特に製品が「部品」メインの中小企業では、システムの導入や運用にコストがかからないことは大きなメリットです。

また、設計を行う際でも、新たな図面を起こす前に似たような図面を検索しておくことで、その図面をベースにして図面作成を行うことができ、設計効率を上げることができます。

なお、このような図面単位での管理を行う場合でも、設計効率向上の効果を上げるためには、図面の電子化が必須です。

デメリット

小さな製造業では図面を紙でファイリングしていることも多くあります。このような場合、図面を電子化する必要があります。

また、図面単位の管理であっても、取り扱う図面の枚数が多くなると、何らかの「図面管理システム」を導入した方が効率的になります。ただし、企業の規模に見合った「図面管理システム」、特に中小企業向けのシステムは自社の状況にマッチしたものがなかなかないという状態で、なかなか選定が難しい状況にあります。

いずれにしても、図面ファイルの電子化は近年のトレンドです。今まで図面を紙ファイルで管理していた企業もそろそろ「電子化図面ファイル」の導入を考える時期にきています。

電子化した図面管理システムのメカニズム

図面データベースと紐づけの仕組み

電子化された図面管理システムでの、図面を二重化せずに管理する仕組みはどのように実現されているのでしょうか。簡単に説明します。

図面が作成されると必ず「図題」「図番」「作成日」などが記録されます。そしてこれらの要素が「紐」となります。そして、関連する複数の図面間でこの紐のやり取りが行われます。この紐のやり取り、つまり図面間の関連を結びつける作業を「紐づけ」と言います。そして、この紐づけされた図面を追いかけることで、図面のまとまりを把握することが出来ます。

電子化された図面管理システムではこの紐づけの作業を内部で自動的に行います。そして、表示される部品表に紐づけの追跡の結果を表示するのです。

例えばこの状態である図面に変更があると、関連する図面にも変更が生じますから、その関連する図面の「図番」を表示することができ、設計者は、その図番の図面をチェック・修正することができます。

つまり、部品表に表示される図面は実際に二重化されているわけではなく、修正はあくまで図面データベースに蓄積された「原図」に直接行われます。システムはその経歴を自動的に記録し表示しているということになります。それを実現しているの、はこのような「紐づけ」という仕組みです。

なお、部品単位での管理の場合でも、「顧客名」や「図番」、「作成日」などの「紐」を管理することでこれらの機能を実現するができます。また、近年ではこれらの紐に加えて、画像そのものをAIで検索する機能を備えたものも登場しています。

このように、図面を電子化ファイルで管理するメリットはたくさんあり、紙図面によるファイリングよりもより効率的な管理が可能です。図面管理に対する人間側の考え方を変える必要がありますが、検討の余地があるのではないでしょうか。

(まとめ)図面管理の電子化はこれからの主流です

以上、図面管理の電子化と、電子化図面ファイルのメリットを見てきました。

図面の管理は従来大変煩雑で、手間のかかるものでした。また、CADを単なる「お絵描きソフト」として使っていると、図面の作成だけが効率よくできるのが災いして、図面の枚数が不必要に増え、図面管理がさらに難しくなります。

そこで、図面管理ソフトとCADを連携させ、既存の図面をできるだけ有効利用することで図面の枚数をできるだけ増やさずに設計を行うことが出来ます。そのためには、図面を電子化し、CADで作成したデータをそのまま図面データベースに蓄積する必要があります。

また、図面管理システムは、図面検索をスムーズに行う機能が充実していると、図面データベースに蓄積された図面を有効利用しやすくなります。

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