ミッドエンドCAD・SolidWorksとそのPDMシステム

2024.04.24

ミッドエンドCADの代表的なものに、「SolidWorks」があります。そして、そのPDMシステムに「SolidWorks PDM」があり、二つのシステムは高度な連携機能を持っています。ここでは、SolidWorksの特徴や、開発の経緯や歴史、PDMシステムと図面管理システムの違いについて解説し、SolidWorks専用のPDMシステムである「SolidWorks PDM」について紹介したいと思います。

SolidWorksとは

SolidWorksは、フランスのダッソーシステムズによって販売されているミッドエンドCADシステムです。使いやすいインターフェースと、3Dモデリング、シミュレーション、製品設計に関する必要にして十分な機能を持っています。SolidWorksは、自動車、航空宇宙、消費財などのさまざまな産業で大変多くの実績を上げています。

なお、ダッソーシステムズはハイエンドCADシステムである「CATIA」の開発・販売でも知られています。

ミッドエンドCADの位置づけ

ミッドエンドCADシステムはCADシステムのカテゴリーの一つで、必要にして十分な機能を持ちながらも、価格が比較的手頃な範囲に位置する製品を指します。ミッドエンドCADシステムは、高価なハイエンドCADシステムと低価格なローエンドCADシステムの中間に位置しています。

ミッドエンドCADシステムは、使いやすさと機能性のバランスが取れています。必要にして十分な機能を持ちながらも、直感的なインターフェースや操作性が備わっています。つまり、コストパフォーマンスが高いといえます。

また、ハイエンドCADシステムと比較して、より手頃な価格で提供されます。そして、一般的な製品設計や機械部品の設計に必要な機能を十分備えています。さらに、さまざまな業界や用途に対応するための柔軟性と拡張性を備えています。プラグインや拡張機能を利用して、特定の業界や特殊な要件に対応することができます。

つまり、ミッドエンドCADシステムは中規模の製造業や設計事務所、個人の設計者など、幅広いユーザーに向いています。現実に最も普及しているCADシステムのカテゴリーと言えるでしょう。

ハイエンドCADの問題点

ミッドエンドCADシステム登場以前は、本格的なCADシステムはハイエンドCADシステムしかありませんでした。ハイエンドCADシステムは高度な機能を備えていましたが、それに応じて高価なライセンス費用がかかりました。また、操作が複雑で、初心者や一般的な製品設計者にとっては、使いこなすのが難しい場合がありました。

また、ハイエンドCADシステムを効果的に実行するには、高性能なコンピュータが必要となり、導入コストが上昇する傾向がありました。また、これらの高度な機能は、すべてのユーザーにとって必要なわけではないため、過剰な機能とこれが操作の複雑さと価格の高騰を招いていました。

さらに、ハイエンドCADシステムを導入する際には、企業の特定の要件やワークフローに合わせてカスタマイズする必要があります。また、適切なトレーニングやサポートが必要となるため、それらのコストもかかっていました。

つまりハイエンドCADシステムは「機能も豊富だが、使いこなすのが大変で、コストも高い」と言えるのです。

一方で、低価格なCADシステムは「お絵描きソフト」的なものしかなく、機能的に十分なものとは言えませんでした。

SolidWorksの特徴

設計効率の向上

SolidWorksはパラメトリック3Dモデリングと呼ばれる3Dモデリング手法を導入した最初のCADシステムの一つです。加えて、設計を一連の特定のフィーチャー(特徴)として定義し、これらのフィーチャーを簡単に変更、編集、削除することができます。これにより、設計変更に容易に対応できるようになり、設計業務の効率が大幅に向上しました。

図面データの統合管理とPDM

また、全体の組み立て図から部品図を起こす機能だけではなく、逆に複数の部品やサブアセンブリを組み合わせて大規模なアセンブリを作成する機能も持っています。加えて専用のPDMである、「SolidWorks PDM」(Product Data Management)を使用することで、設計データの管理と共有を効率化し、チームの生産性を向上させることができます。

CAD/CAM/CAE

さらに、統合されたCAD/CAM/CAE環境の下で設計業務を行うことができます。これにより、設計・製造・解析がシームレスに統合されています。このうちCAE環境には、構造解析や流体解析などのシミュレーション機能が含まれ、これにより、設計の強度や安定性、性能を評価し、改善することができます。

使いやすさと実績

また、直感的で使いやすいユーザーインターフェースを備えています。これにより、従来のハイエンドCADシステムよりも短時間で操作の学習が可能です。そして、世界中で大規模なユーザーコミュニティを形成しています。ユーザー同士で知識を共有し、相互に支援し合うことができます。

SolidWorksの開発の経緯と歴史

 SolidWorksの開発者であるジョン・ハーシュティックは、MIT(マサチューセッツ工科大学)卒で、製造業界をしばらく経験した後、SolidWorks Corporationを共同設立し、新しいCADシステムの開発に着手しました。

その成果は1995年、最初のバージョンのSolidWorksのリリースという形で達成されました。使いやすいインターフェースと柔軟なモデリング機能によって急速に成長し、製造業界、特に中小企業に広く普及しました。

やがて、これに目を付けたダッソーシステムズによって買収され、世界的な規模での成長と発展を遂げました。今日では、製造業界で最も人気のあるCADシステムの1つとして認知されています。

図面管理システムとPDM

相違点

PDM(Product Data Management)と図面管理システムの違いは何でしょうか。

PDMは製品データ全体を管理するための包括的なシステムです。図面、仕様書、製造手順、部品リストなど、製品開発サイクル全体で生成されるすべてのデータが含まれます。

これに対して、図面管理システムは、特に図面や技術文書の管理と共有に特化しています。主に図面のバージョン管理、共有、承認プロセスの管理などの機能を提供します。

また、 PDMは、製品開発に関わるさまざまな部門や利害関係者によって使用されます。設計、製造、品質管理、調達などの部門は、製品の設計データや関連する情報をPDMシステムで共有し、管理することができます。

これに対して、 図面管理システムは、主に設計エンジニアや技術者など、CAD図面を作成および編集するユーザーに焦点を当てています。

使い分け

使い分けとしては、PDMは製品データ全体を管理し、図面管理システムは図面と技術文書の管理だけに焦点を当てています。このため製品データ全体を統合的に管理する必要がある場合はPDMが向き、図面と技術文書のみを管理する必要がある場合は図面管理システムの方が向いています。

なお、一般的に、PDMの方が高機能ですが、動作が重く、操作が複雑です。このため、客先で素早く図面を参照する必要がある場合には、図面管理システムの方が便利なこともあります。

SolidWorks PDMの特徴

SolidWorks PDMは、SolidWorks製品群に含まれる製品データ管理システムです。SolidWorksに特化したPDMで、「SolidWorks CADシステム」との高度な連携機能を持っています。

機能としては、設計データ、図面、モデル、アセンブリ、およびその他の関連ファイルを安全に保存し、管理することで、データの不正アクセスや喪失を防ぎ、データの整合性と信頼性を確保します。

また、変更履歴を追跡し、異なるバージョン間でのデータ比較や復元を可能にします。この機能は、チームが複数のバージョンで同時に作業する場合や、過去の設計状態を確認する場合に役立ちます。

さらに、 データへのアクセスをユーザーごとに制御することで、機密性の高いデータに対するアクセスを制御し、セキュリティを向上させます。

その他、様々な機能を備え、開発業務の効率を向上させることができます。

(まとめ)PDMと図面管理システムをうまく使い分けていきましょう

以上、SolidWorksと、そのPDMシステムについて解説しました。

PDMシステムは製品のすべての情報を統合して管理するシステムで、複雑な操作が要求される場合が多いです。そのため、PDMシステムは図面管理システムより機能が豊富ですが、一般的に動作が重いです。

さらに、電子化された紙図面など、過去に蓄積された二次元の図面データをPDMでまとめようとすると、かえって手間がかかる場合が多いです。

このため、簡単に図面を参照したい場合や、客先で図面を参照する場合には、操作が簡単で動作の軽い、図面管理システムの方がおおむね使いやすいです。

したがって、PDMと図面管理システムのそれぞれの特徴をうまく使って使い分けることが理想的と言えるでしょう。

「図面バンク」は動作が軽く、図面管理機能が充実した図面管理システムです。「SolidWorks PDM」に代表されるPDMと使い分けることで、業務の効率を上げることが可能です。是非ご活用ください。

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