新QC7つ道具とは?実践的な活用法を解説

2024.05.14

品質管理や問題解決の現場で使われるQC7つ道具をご存知でしょうか?QC7つ道具は、品質管理の基本ツールとして広く定着していますが、それを補完するツール群「新QC7つ道具」も広く使われています。

新QC7つ道具は、言語データの分析や抽象度の高い問題の解決に重きを置いており、QC7つ道具では対応が難しかった領域をカバーします。親和図法、連関図法、系統図法など、7つのツールを状況に応じて使い分けることで、問題解決のプロセスをより効果的に進められるのです。

「QC7つ道具と新QC7つ道具は何が違うのか?」
「新QC7つ道具はどんなもので、どのように使えばいいのか?」

このような方のために、本記事では新QC7つ道具の基本的な使い方から、QCストーリーの各ステップでの実践的な活用法まで、図解を交えてわかりやすく解説します。

品質管理の担当者はもちろん、問題解決力の強化を目指すすべての方にとって、新QC7つ道具は大きな武器となるはずです。ぜひ本記事を通じて、新QC7つ道具の理解を深め、業務改善や品質向上、さらにはQCサークル(小集団活動)の活動に役立ててください。

新QC7つ道具とは何か?品質管理に効果的な7つのツールを紹介

新QC7つ道具は、品質管理や問題解決において活用される7種類の手法の総称です。従来のQC7つ道具(パレート図、特性要因図、グラフ、ヒストグラム、散布図、管理図、チェックシート)を補完するために開発されたものです。最初に提案されたのは、QC手法開発部隊が1979年に出版した「全社的品質管理推進のための管理者スタッフの新QC七つ道具」と言われています。

参考文献:日本科学技術連盟、「全社的品質管理推進のための管理者スタッフの新QC七つ道具」、1979年

新QC7つ道具の目的は、以下の2点にあります。

・言語データを体系的に整理・分析するためのツールを提供する
・QC7つ道具では対応しにくい、抽象的な問題の解決を支援する

新QC7つ道具は、主に数値データを扱うQC7つ道具と組み合わせて活用することで、品質管理における問題解決力を大きく高めることができるでしょう。

新QC7つ道具の種類と使い方

新QC7つ道具は、以下の7種類のツールから構成されています。

①親和図法

親和図法
親和図法

親和図法は、アイデアや意見を整理・グループ化するためのツールです。大量のアイデアや意見をカード化し、それらの類似性や親和性に基づいてグループ化していきます。

親和図法は、問題の全体像を明らかにしたり、重要な課題を抽出する際に効果的です。議論の内容や方向性を可視化し、チームでのコミュニケーションを促進する効果もあります。

親和図法の作成手順

1. テーマ(問題)を決める
2. テーマに関連するアイデアや意見をカードに書き出す(1カードに1文)
3. メンバー全員でカード内容の読み合わせをし、書かれている意味を共有する
4. 類似性の高いカードを集め、グループ化する
5. 各グループのカードの言わんとしていることをまとめ、1枚のカード(親和カード)に書く。
6. 親和カード同士の関連性を検討し、図としてまとめる

親和図法は、親和カードの作成がポイントになります。複数の似たようなカードをよく読んでみると、共通する本質的なアイデア・問題が浮かび上がってきます。これを親和カードに書き出し、グループごとにアイデア・問題を整理することが親和図法において重要です。

②連関図法

連関図法
連関図法

連関図法は、問題や課題の因果関係を明確化するためのツールです。因果関係にあるカードを矢印で結び、問題の発生メカニズムを図式化します。

連関図法の主な目的は、問題の主要要因を特定することです。主要要因は問題に強く影響している要因なので、主要要因の対策を立てることで効率的な対策立案ができます。

連関図法の作成手順

1. テーマ(問題)を決める
2. テーマに関連する要因を書き出し、カード化する
3. 要因同士の因果関係を考え、矢印で結ぶ
4. 最終的な結果(問題)に直結している要因を主要要因とする

上図の「なぜ、残業時間が減らないのか?」のテーマにおける連関図法だと、「加工のやり直しが発生する理由がわからないまま加工する」ことと、「必要書類を探すことに時間がかかっている」ことが主要要因になりそうです。

③系統図法

系統図法
系統図法

系統図法は、目的達成のための手段や方策を体系的に整理するためのツールです。目的(ゴール)を頂点に置き、具体的な方策を下位に展開していきます。

系統図法は、目標に向けた具体的なアクションプランを検討する際に有用です。最終ゴールから逆算し、現実的かつ実行可能な方策を見つけ出すことができます。

系統図法の作成手順

1. 基本目的(最終ゴール)を設定する
2. 1次方策(目的達成のための大まかな手段)を検討する
3. 2次~4次方策を順に展開していく

上の系統図法では3次方策まで展開していますが、一般的には、4次方策まで展開すると方策が具体的になると言われています。

④マトリックス図法

マトリックス図法
マトリックス図法

マトリックス図法は、要素同士の関連性を分析するためのツールです。行(縦軸)と列(横軸)からなる表を作成し、各要素の関係性を記号や数値で表現します。

マトリックス図法は、複数の選択肢や評価項目がある場合の意思決定に適しています。評価の軸を明確にすることで、より客観的かつ効率的な判断が可能となります。

マトリックス図法の作成手順

1. 評価したい要素(選択肢)を縦軸に並べる
2. 評価要素を横軸に並べる
3. 各要素の評価項目に対する評価を記号や数値で表す
4. 評価の合計値から、各要素の総合評価を算出する
5. 総合評価で採否を決定する

系統マトリックス図

系統マトリックス図
系統マトリックス図

系統図法で方策を展開した後、各方策を「効果」「実現性」「経済性」などの項目で評価し、採用・不採用を選定することにもマトリックス図法は使われます。上の図のように、系統図とマトリックス図を組み合わせた図は「系統マトリックス図」と呼ばれ、QCストーリーの対策の立案の場面でよく使われています。

⑤アローダイアグラム法

アローダイヤグラム
アローダイヤグラム法

アローダイアグラム法は、プロジェクトのスケジュールを管理するためのツールです。各作業を矢線(アロー)で表現し、作業間の順序関係や必要な日数を明示します。

アローダイアグラム法の主な目的は、プロジェクトの全体像を可視化し、クリティカルパス(最も時間のかかる重要工程)を特定することです。スケジュール管理の精度を高め、納期遅れのリスクを低減することができます。

アローダイアグラム法の作成手順

1. プロジェクトに必要な作業を洗い出す
2. 各作業の所要日数を見積もる
3. 作業の順序関係を考え、結合点と矢印を作成する
(結合点は作業の順番で①②③・・・と数字を振る)
4. 各作業の最早開始日、最遅開始日を計算し、クリティカルパスを特定する
(クリティカルパスを太線で表示する)
5. スケジュールの問題点を分析し、必要な対策を講じる

⑥PDPC法

PDPC法
PDPC法

PDPC法(Process Decision Program Chart)は、目的達成のための実施計画をするためのツールです。理想の結果(ポジティブな状態)に向けたシナリオと、障害(ネガティブな状態)への対処法を事前にマッピングします。

事前に計画したシナリオが上手くいかないことは、何事においても多いものです。PDPC法は、事前に起こりうる問題を予測し、事前に対策を立てておくためのツールとなります。

PDPC法の作成手順

1. ゴール(理想の結果)とスタート(現状)を明確にする
2. スタートからゴールに至る「楽観ルート」を設定する
(楽観ルートは、障害の発生がなく進行するルート)
3. 想定される障害とその対処法を「悲観ルート」として書き出す
4. 悲観ルートを回避し、楽観ルートに戻るための手段を検討する
5. ×印にならないための対策を検討する
(×印のルートになると、目的は達成されない)

⑦マトリックスデータ解析法

マトリックスデータ解析法
マトリックスデータ解析法

マトリックスデータ解析法は、多変量のデータを数理的に分析するための手法です。データをマトリックス(行列)の形で表現し、主成分分析を行うことで、変数間の関係性や特徴を抽出します。

他の新QC7つ道具が主に言語データを扱うのに対し、マトリックスデータ解析法は数値データを扱うのが特徴です。

マトリックスデータ解析法は主成分分析と同じ意味であり、やや専門的な知識を必要とします。この手法はQCサークル活動(小集団活動)ではあまり使われないので、ここでいったん説明を終えることにします。(主成分分析そのものは、複数のデータを分析するために非常に重要なツールではあります。)

QCストーリーにおける新QC7つ道具の活用法

新QC7つ道具は、QCストーリーの各ステップで効果的に活用することができます。QCストーリーとは、問題解決のための標準的なプロセスのことです。問題解決型のQCストーリーは、以下の7つのステップからなります。

1. テーマの選定
2. 現状把握と目標設定
3. 要因の解析
4. 対策の立案と実施
5. 効果の確認
6. 標準化と管理の定義
7. まとめと反省

新QC7つ道具は、特に次のようなステップで活用できます。

・テーマの選定:親和図法を用いて課題を整理し、テーマを絞り込む。
・要因の解析:連関図法や系統図法を用いて問題の主要要因をあぶりだす。
・対策の立案と実施:系統図法やマトリックス図法を用いて具体的な方策を決定する。また、アローダイヤグラム法で対策の実施計画を立案する。さらに、PDPC法で対策実施時に障害となる項目を予想し、事前に対策を立てる。
・標準化と管理の定着:マトリックス図法を用いて標準化項目、管理方法を明確にする。
・まとめと反省:各ステップの成果をマトリックス図法で一覧にまとめる

このように、新QC7つ道具をQCストーリーにうまく組み込むことで、問題解決のプロセスをより着実に進めることができるでしょう。

QC7つ道具やQCサークル活動についての関連記事

QCストーリーをもとに改善活動を行うQCサークル活動に取り組む会社も多いです。こちらの記事では、QCサークル活動を組織に根付かせるためのポイントを解説しています。

また、新QC7つ道具とともに使われることが多いQC7つ道具については、こちらの記事で解説しています。

QCサークル活動(小集団活動)を上手に進めるには、QC7つ道具と新QC7つ道具の活用が欠かせません。品質管理と問題解決の取り組みに、ぜひ参考にしてください。

まとめ:新QC7つ道具を問題解決のツールとして活用しよう

本記事では、品質管理や問題解決に役立つ新QC7つ道具について、その概要や作成手順、QCストーリー上での活用法を解説しました。新QC7つ道具は、QC7つ道具を補完し、言語データの分析や抽象的な問題の解決に特化したツール群と言えます。

新QC7つ道具を効果的に活用するためには、以下のようなポイントを押さえておくことが重要です。

・ツールの特徴と基本的な使用方法を理解する
・QCストーリーの枠組みに沿って、適材適所で用いる
・継続的に利用し、ツールを使うスキルを磨く

新QC7つ道具は、複雑な問題を解決する糸口を見つけるために有効なツール群です。自社の問題解決力強化に向けて、ぜひ積極的に活用してみてください。継続的な改善サイクルを回すことができれば、組織全体の品質管理レベルの向上にもつながるはずです。

本記事が、皆さまの業務に少しでもお役に立てば幸いです。新QC7つ道具を理解し、業務中の問題解決や品質管理の強化に活用していきましょう!

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