クラウド型vsオンプレミス型:あなたの会社に最適な図面管理システムの選び方

2024.08.24

製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せる中、多くの企業が業務効率化と競争力強化を模索しています。その第一歩として注目されているのが、図面管理のデジタル化です。しかし、単に紙の図面を電子化するだけでは不十分。効果的な図面管理システムの導入が、真の業務改革には欠かせません。

では、自社に最適な図面管理システムをどのように選べばよいのでしょうか。図面管理システムには大きく分けてクラウド型とオンプレミス型があります。それぞれに特徴があり、選択に悩む方も多いはずです。

本記事では、クラウド型・オンプレミス型の違いを詳しく解説し、あなたの会社に最適なシステムの選び方をご紹介します。コスト、セキュリティ、運用面など、選定時のポイントも多角的な視点から解説します。

これから図面管理システムの導入を検討している方、現在のシステムに課題を感じている方に、ご参考になれば幸いです。

図面管理システムの基礎知識

図面管理システムとは

図面管理システムは、製造業や建設業などで使用される設計図面やCADデータを効率的に管理するためのデジタルツールです。従来の紙ベースの管理方法とは異なり、電子化された図面を一元管理し、検索、共有、バージョン管理を容易にします。これにより、設計から製造までの一連のプロセスをスムーズに進行させることができます。

導入によるメリット

1. 効率的な検索と共有:必要な図面を瞬時に見つけ出し、関係者間で簡単に共有できます。
2. バージョン管理の向上:図面の改訂履歴を正確に追跡し、最新版の管理が容易になります。
3. セキュリティの強化:アクセス権限の設定により、機密情報の保護が可能になります。
4. スペースの節約:物理的な保管スペースが不要になり、オフィススペースを有効活用できます。
5. 他部門との連携促進:複数の部門や拠点間での図面の共有と協働作業が容易になります。
6. 品質管理の向上:図面の一元管理により、製造ミスや古い図面の使用を防ぐことができます。

クラウド型とオンプレミス型の定義

図面管理システムには主に「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つのタイプがあります。

クラウド型:
インターネットを介してサービスを提供する形態です。図面データはクラウド上のサーバーに保存され、ウェブブラウザを通じてアクセスします。初期投資を抑えられ、柔軟なスケーラビリティが特徴です。

オンプレミス型:
自社内にサーバーやソフトウェアを設置して運用する形態です。図面データは自社のサーバーに保存され、社内ネットワークを通じてアクセスします。データの完全管理と高度なカスタマイズが可能です。

両者にはそれぞれ長所と短所があり、企業の規模や業務内容、セキュリティ要件などに応じて最適なタイプを選択することが重要です。次章では、自社の現状分析を通じて、どちらのタイプが適しているかを見極めるポイントをご紹介します。

自社の現状を知る

図面管理システムを導入する前に、まず自社の現状を正確に把握することが重要です。これにより、本当に必要な機能や適切な製品を見極めることができます。

現在の図面管理方法の課題洗い出し

現在の図面管理方法にどのような問題があるか、以下のポイントを参考に洗い出してみましょう。

✅図面の検索に時間がかかる
✅最新版の図面が分からず、古い図面を使ってしまうことがある
✅図面の共有がスムーズでない(毎回メールの添付ファイルで共有している)
✅図面の紛失や破損のリスクがある
✅複数の拠点や部門間での情報共有が難しい
✅ファイルサーバーに図面を置いており、セキュリティ面で不安がある

これらの課題について、社内で議論し、優先度をつけることで、新しいシステムに求める要件が明確になります。

必要機能のリストアップ

洗い出した課題を解決するために、どのような機能が必要か具体的にリストアップしましょう。必要な機能を明確にすることで、システム選定時の判断基準になります。
たとえば、次のような機能が考えられます。

✅高速検索機能(キーワード、図面番号、日付など)
✅バージョン管理機能
✅アクセス権限設定
✅大容量ファイルの共有機能
✅モバイルデバイスからのアクセス
✅CADソフトとの連携
✅ワークフロー管理(承認プロセスなど)
✅バックアップ機能
✅図面データの暗号化機能

予算と人的リソースの確認

図面管理システムの導入には、適切な予算と人的リソースの確保が不可欠です。

予算の検討ポイント:
・初期導入コスト(ソフトウェア、ハードウェア、導入支援など)
・ランニングコスト(ライセンス料、年間保守費用など)
・トレーニング費用
・将来的なアップグレードや拡張のための予備費

人的リソースの確認ポイント:
・システム管理者の確保(専任か兼任か)
・ユーザートレーニングの実施体制
・導入/推進プロジェクトチームの編成

これらの現状分析を通じて、自社に最適な図面管理システムの要件が明確になってきます。予算と人的リソースを事前に検討することで、持続可能な形でシステムを導入・運用できるプランを立てることができます。

次章では、クラウド型システムとオンプレミス型システムの特徴を詳しく比較し、どちらが自社に適しているかを判断するための情報をお伝えします。

クラウド型システムの特徴

クラウド型の図面管理システムは、近年急速に普及しています。その特徴と、どのような企業に適しているかを詳しく見ていきましょう。

クラウド型システムのメリット

1. 低初期コスト:クラウド型システムは、高価なサーバー機器やソフトウェアライセンスの購入が不要です。例えば、オンプレミス型で数百万円かかる初期投資が、クラウド型では月額数万円程度から始められることも可能です。

2. 迅速な導入:サーバーの構築やソフトウェアのインストールが不要なため、導入までの時間が大幅に短縮されます。

3. 柔軟な拡張性:ユーザー数や保存容量の増減が簡単にできます。例えば、プロジェクトの規模に応じて、月単位でライセンス数を調整することが可能です。

4. 場所を選ばないアクセス:インターネット環境があれば、オフィス外からでも図面にアクセスできます。在宅勤務やモバイルワークの増加に対応しやすい点も魅力です。

5. 自動アップデート: システムのアップデートが自動的に行われるため、常に最新の機能やセキュリティ対策を利用できます。

クラウド型システムのデメリット

1. 継続的な利用料:月額や年額の利用料が発生し続けます。料金形態にもよりますが、長期的に見ると、オンプレミス型よりもコストが高くなる可能性があります。

2. カスタマイズの制限:自社の独自のニーズに合わせた大幅なカスタマイズが難しい場合があります。提供される機能の範囲内での利用が基本となります。

3. インターネット依存:インターネット接続が不安定な環境では、システムの利用に支障が出る可能性があります。

4. データの管理場所:データがクラウド上に保存されるため、自社でのデータの物理的な管理ができません。企業のセキュリティポリシーによっては導入が難しい場合もあるでしょう。

こんな企業にはクラウド型システムがおすすめ

1.中小企業や新興企業:初期投資を抑えたい、IT専門スタッフが少ない企業に最適です。

2.多拠点展開している企業:複数の拠点や海外支社との情報共有が容易になります。

3. プロジェクトベースの業務が多い企業:プロジェクトの規模に応じて、柔軟にライセンス数を調整できます。

4. モバイルワークを推進している企業:社外からのアクセスが容易なため、テレワークやフィールドワークとの相性が良いです。

5. 迅速な導入を求める企業:新規プロジェクトの立ち上げなど、短期間でのシステム導入が必要な場合に適しています。

6. IT管理の負担を軽減したい企業:システムの保守やアップデートを提供元に任せられるため、自社のIT管理負担が軽減されます。

次の記事では、クラウド型の図面管理システムのメリットとおすすめ5選を紹介しています。クラウド型図面管理システムを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

クラウド型システムは、特に中小企業や成長段階の企業にとって魅力的な選択肢となります。しかし、データの機密性が極めて高い場合や、大規模なカスタマイズが必要な場合は、オンプレミス型の方が適している可能性があります。
次章では、オンプレミス型システムの特徴について詳しく見ていきましょう。

オンプレミス型システムの特徴

オンプレミス型の図面管理システムは、自社のサーバーにシステムを導入して運用する形態です。

オンプレミス型システムのメリット

1. 高いカスタマイズ性:自社の業務プロセスや既存システムに合わせて、細かなカスタマイズが可能です。例えば、図番の採番や廃図などのフローや、他の基幹システムとの緊密な連携などが考えられます。

2. データの完全管理:全てのデータを自社内で管理できるため、セキュリティポリシーの厳しい企業や、機密性の高い図面を扱う企業に適しています。

3. 安定したパフォーマンス:オンプレミス型は自社にネットワーク機器を設置するため、インターネットの通信環境に関係なく、安定したパフォーマンスを維持できます。大容量のCADデータを扱う際に特に有利です。

4. 長期的なコスト削減の可能性:初期投資は高くても、長期的に使用することで総コストが抑えられる可能性があります。

5. 他システムとの連携:オンプレミス型には既存の社内システム(CAD、BOMなど)との緊密な連携が可能な製品が多いです。これにより、データの一元管理やワークフローの最適化が実現できます。

オンプレミス型システムのデメリット

1. 高い初期投資:サーバー機器の購入、ソフトウェアライセンスの取得、システム構築など、初期費用が高額になります。中規模企業で数百万円から数千万円程度の投資が必要になることも珍しくありません。

2. 保守の負担:システムの保守、アップデート、セキュリティ対策などを自社で行う必要があります。専門知識を持つIT人材の確保や、定期的なメンテナンスコストが発生します。

3. 拡張性の制限:急激なユーザー数の増加や、データ量の増大に対して、柔軟に対応することが難しい場合があります。新たなハードウェアの追加や、システムの再構築が必要になることもあります。

4. 導入に時間がかかる:システムの設計、構築、テストなどに時間を要し、導入までに数ヶ月から半年以上かかることもあります。

5. リモートアクセスの複雑さ:社外からのアクセスを可能にするためには、VPNなどの追加的なセキュリティ対策が必要になります。

こんな企業にはオンプレミス型システムがおすすめ

1. 大企業や自社でIT部門を持つ中堅企業:初期投資や運用コストを負担できる財務基盤がある企業に適しています。

2. セキュリティ要件が厳しい企業:防衛産業や重要インフラ関連企業など、データの管理を自社内で完結させる必要がある場合に適しています。

3. 大容量のCADデータを扱う企業:自社内の高速なネットワーク環境で大容量データをスムーズに扱いたい製造業などに向いています。

4. 既存システムとの緊密な連携が必要な企業:他の基幹システムとのリアルタイムな連携が必要な場合に適しています。

5. 長期的な使用を前提としている企業:5年、10年という長期スパンでの使用を想定している場合、総コストの面でメリットが出る可能性があります。

オンプレミス型システムは、高度なカスタマイズ性とデータの完全管理を求める企業にとって魅力的な選択肢です。初期投資や運用負担を考慮すると、どちらかというと中堅~大企業向けのシステムと言えるでしょう。

次章では、クラウド型とオンプレミス型の選定時に考慮すべき重要なポイントについて、より詳しく見ていきましょう。これらの情報を総合的に判断することで、自社に最適な図面管理システムを選択することができます。

選定時の重要な検討ポイント

図面管理システムを選定する際には、単に機能や価格だけでなく、以下の重要なポイントを慎重に検討する必要があります。これらのポイントを十分に吟味することで、長期的に見て最適なシステムを選択することができます。

セキュリティ要件

セキュリティは図面管理システム選定時の最重要項目の一つです。下記にセキュリティ要件の一例を示します。

クラウド型の場合
・データ暗号化:図面データを安全に守るための仕組みが備わっているか確認しましょう。データをインターネットで送受信する時や、クラウド上に保存する時に、データを特殊な方法で暗号化(読めない形に変換)する機能はクラウドサービスでは欠かせません。
・アクセス制御:多要素認証、IP制限、詳細な権限設定などが可能か確認します。
・コンプライアンス:ISO 27001やSOC 2などの国際的なセキュリティ基準に準拠しているか確認します。
・データセンターの場所:データが保存される国や地域を確認します。

オンプレミス型の場合
・物理的セキュリティ:サーバールームのアクセス制御、監視カメラの設置など、物理的なセキュリティ対策を検討します。
・ネットワークセキュリティ:ファイアウォール、IPS/IDSの導入、VPNの設定など、ネットワークレベルのセキュリティ対策を計画します。
・データバックアップ:定期的なバックアップと、災害時のリカバリ計画を立てます。

スケーラビリティ

業務拡大や組織変更に伴うシステムの拡張性を考慮することが重要です。

クラウド型の場合
・ユーザー数の柔軟な増減:必要に応じて、即座にユーザーライセンスを追加・削減できるか確認します。
・ストレージ容量の拡張:データ量の増加に応じて、簡単にストレージ容量を増やせるか確認します。
・パフォーマンスの維持:ユーザー数やデータ量が増えても、レスポンス時間が維持されるか確認します。

オンプレミス型の場合
・ハードウェアのアップグレード:将来的なサーバーやストレージの増設が容易か検討します。
・ライセンス体系:ユーザー数の増加に対して、どのようなライセンス購入が必要になるか確認します。
・システムの再構築:大幅な拡張時に、システム全体の再構築が必要になるかどうか検討します。

社内固有のスケール事情を確認し、それに対応できる図面管理システムを選定します。例えば、3年後に現在の2倍のユーザー数とデータ量になった場合に対応できるか、というような視点を持って検討しましょう。

既存システムとの連携

図面管理システムは、他のシステムと連携する機能を持つものもあります。たとえば、CADシステムから直接図面をアップロードできる、アップロードした図面データからBOMを生成するなどの連携機能が考えられます。

クラウド型の場合
・API連携:他のクラウドサービスやオンプレミスシステムとAPIで連携できるか確認します。
・シングルサインオン(SSO):既存の認証システムと統合できるか確認します。

オンプレミス型の場合
・カスタム連携:社内の基幹システムとの緊密な連携が可能か確認します。
・データベース統合:既存のデータベースと直接統合できるか検討します。
・レガシーシステム対応:古い社内システムとも問題なく連携できるか確認します。

導入・運用サポート

クラウド型、オンプレミス型に関わらず、ベンダーからの適切なサポートは重要です。サポート内容として、次のようなものが挙げられます。

・導入支援:初期設定から導入、データ移行などのシステムを導入するためのサポート。
・トレーニング:管理者向けおよびエンドユーザー向けのトレーニングや教材。
・カスタマーサポート:システム利用時に不明点が出た時のサポート体制や、サポート形態(サポートサイトや電話での対応)。
・保守契約:年間保守契約の内容。
・アップデート:バージョンアップ時に必要な対応や、定期的な機能アップデートの頻度と内容について。

例えば、導入後3ヶ月間は週1回の定例ミーティングを設けて進捗確認や問題解決を行う、といったきめ細かいサポート体制があるかどうかを確認します。

これらのポイントを総合的に評価し、自社の現状と将来の展望に照らし合わせて検討することで、最適な図面管理システムを選択することができます。

次の記事では、図面管理システムの具体的な導入ステップについて解説しています。基本的には自社で主体的に導入しながらも、システムの不明な点はベンダーからのサポートを活用しましょう。

(まとめ)あなたの会社に最適な図面管理システムを選ぶために

製造業のDX化が進む中、図面管理システムの選択は企業の競争力を左右する重要な決定です。クラウド型とオンプレミス型、それぞれに特徴があり、自社の状況に応じて適切に選択することが成功の鍵となります。

1. 自社の現状分析が出発点
 ・現在の図面管理方法の課題を明確にする
 ・必要な機能をリストアップする
 ・予算と人的リソースを確認する

2. クラウド型システムの特徴
 ・メリット:低初期コスト、迅速な導入、柔軟な拡張性
 ・デメリット:継続的な利用料、カスタマイズの制限
 ・適している企業:中小企業、多拠点展開企業、モバイルワーク推進企業

3. オンプレミス型システムの特徴
 ・メリット:高いカスタマイズ性、データの完全管理、既存システムとの連携
 ・デメリット:高い初期投資、保守の負担、拡張性の制限
 ・適している企業:中堅~大企業、セキュリティ要件の厳しい企業、特殊な業務プロセスを持つ企業

4. 選定時の重要ポイント
 ・セキュリティ要件の確認
 ・スケーラビリティの考慮
 ・既存システムとの連携可能性
 ・導入・運用サポートの内容

図面管理システムの導入は、製造業のデジタル化における重要なステップです。本記事を参考に、クラウド型とオンプレミス型のそれぞれの特徴を理解した上で、自社にとって最適な図面管理システムを選択してください。

図面管理システムを効果的に活用することで、業務効率の向上、品質管理・競争力の強化につながります。自社の未来を見据えて最適なシステムを選び、デジタル時代の製造業で成功を収めましょう。

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