図面の()寸法を完全解説!機械製図における参考寸法の定義と使い方

2026.09.13

製造業において、図面は設計と製造をつなぐ重要な情報源です。図面の中で寸法に()が付いた表記はよく使われています。例えば、寸法が50なら(50)という表記です。

本記事では図面の()寸法(参考寸法)について、10年以上の経験を持つ現役の機械設計者がわかりやすく解説します。結論、この寸法は「参考寸法」と呼ばれ、図面を読む人への情報提供が目的の寸法です。公差は適用されず、検査の対象にもしません。

記事ではなぜ参考寸法が必要なのか、参考寸法の具体的な使用例を解説します。図面の読み取りに自信がない方や、製造現場でのミスを減らしたい方必見の内容です。ぜひ、この機会に図面の正しい読み方を学び、図面を扱う業務に活かしてください。

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図面の()寸法の意味は?

図面中の()内の寸法は「参考寸法」と呼ばれ、JISでは以下のように定義されています1

参考寸法は情報提供のためだけにある。この寸法は括弧で囲み、公差を付けない。

設計者の視点から、もう少しかみ砕いて解説します。
参考寸法は、「ものを図面通りに加工・組立したら、その場所が結果的に()内の寸法になる」寸法です。

参考寸法で示された寸法は、狙ってその寸法にするものではなく、他の寸法が決まると従属的に決まる寸法(従属寸法)とも言えます。

参考寸法が必要な理由

参考寸法が必要な理由は、寸法が重複すると普通公差が矛盾(けんか)するからです。

例えば、穴位置に寸法を引くことを考えてみましょう。下図のように、板物に穴の横方向に全て寸法を指定し、参考寸法を使わないとします。板の幅にも寸法を引いているので、穴の横寸法の合計(5+20+20+5=50)と板幅寸法(50)が重複します。

参考寸法を使わずに穴の位置を指定した場合

公差を指定しない場合、JISに基づく普通公差2が適用されます。中級の普通公差の場合、積み上げ公差を計算すると、穴の位置寸法から板幅の寸法公差は次のように±0.6になります。

0.1+0.2+0.2+0.1=0.60.1+0.2+0.2+0.1=0.6

これは、板幅の寸法50の普通公差±0.3と矛盾(けんか)します。

穴間の積み上げ公差±0.6と板幅50±0.3が矛盾(けんか)する

この矛盾を無くすには、穴位置のいずれかの寸法を消しましょう。右端の寸法「5」を消すとします。公差の矛盾は無くなり、図面としては問題ありません。ただ、「右端からの穴寸法はいくらだろう?」と気になる時があるかもしれません。

そんな時は、参考寸法で右端に(5)と記入しましょう。図面を見た人は「穴の加工基準は左からで、穴位置は板に対して左右対称である」と理解できます。加工者としては、加工のイメージがわかりやすくなります。

参考寸法があると、加工者は図面をこう読み取る

参考寸法の具体的な使用例3選

参考寸法が具体的に使われる例を3つ解説します。いずれも設計現場で、よく使われるパターンです。

1. 板に穴の寸法を記入する場合

先ほどと同じ例です。板に穴の寸法を記入する時は、いずれかの寸法を参考寸法にします。

右端の穴の寸法を参考寸法にする例

穴同士の寸法が重要な場合は、板の横幅を参考寸法にするやり方もあります。

板の横幅を参考寸法にする例

2. 長穴の円弧やテーパ寸法

長穴はキー溝や位置決めピン用の穴などで使われる形状で、直線部の幅が重要です。直線部の幅に公差を指定し、円弧部分は参考寸法として(R)と記入します。溝幅から円弧部分の半径はわかるので、数字は省略して(R)と書いて構いません。

長穴の円弧部分の参考寸法

また、テーパでも参考寸法はよく使われます。下図のテーパ形状を例にみると、10.76という寸法は他の寸法から従属的に決まるので、()を付けて参考寸法にします。

テーパの参考寸法の例

3. 別のビューで既に指示済みの寸法

下図では、正面図で記入したブラケット高さ寸法50を側面図で参考寸法として(50)と記入しています。

L字ブラケットの別ビューでブラケット高さを記入する例

この例は比較的シンプルな形状ですので参考寸法は不要かもしれませんが、「あるビューで指示した寸法を他のビューでも参照できるようにしたい」という場合に使えることは知っておきましょう。

まとめ:参考寸法は「守る寸法」ではなく「情報の寸法」

図面の()寸法(参考寸法)は、他の寸法を守って加工すれば結果的にそうなる寸法を、情報として示すものです。本記事の要点を整理します。

・参考寸法には公差がなく、検査・加工の対象にしない(他の寸法から従属的に決まる寸法)
・寸法が重複するときは重要度の低い寸法を参考寸法にする
・加工者にとっては、加工の基準や形状の対称性といった設計意図を読み取る情報になる

参考寸法自体は無くても加工や組立はできますが、図面の情報を補助するためによく使われます。図面を正しく読み書きする基礎として、ぜひ押さえておきましょう。

なお、本記事で引用した参考寸法の定義をはじめ、JISの規格は無料で閲覧できます。閲覧方法は下記で解説しているので、あわせてご覧ください。

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  1. 出典:JIS Z 8317-1「製図-寸法及び公差の記入方法-第1部:一般原則」 ↩︎
  2. 出典:JIS B 0405「普通公差-第1部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差」 ↩︎
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