図面AI-OCRは無料でどこまでできる?CopilotとGoogleドライブで検証してみた
2026.10.26

「図面をデータ化して検索できるようにしたい。まずは無料のAI-OCRで試せないか」——そう考える方は多いのではないでしょうか。
この記事では、現役機械設計者の筆者が、CopilotとGoogleドライブを使って、スキャンした図面PDFの無料AI-OCRがどこまでできるかを実際に検証しました。図番や材質は読み取れるのか、検索はできるのか——結果を実物のスクリーンショット付きで紹介します。無料ツールの実力と限界、そして実務で使うためのおすすめの方法まで解説しますので、ぜひ参考にしてください。
私たちは図面を資産になる形で管理できるツール「図面バンク」を手掛けています。図面バンクは格納した図面に自動でAI-OCRをかけて図面情報を読み取り、テキストを付与します。「図面にOCRをかけたい」という方はぜひご検討ください。
図面OCRとは?普通のOCRと何が違うのか
OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)とは、画像の中に写っている文字を読み取り、検索やコピーができるテキストデータに変換する技術です。
紙の図面をスキャンしたPDFは、人の目には文字が読めても、コンピュータにとってはただの画像です。そのままでは図番で検索することも、名称をコピーすることもできません。OCRで文字を認識してデータを付与することで、はじめて「検索できる図面」になります。
ただし、図面は一般的な文書と比べて、OCRにとって不利な条件がそろっています。
・文字が図形や線の中に混ざっている
・寸法値の向きが横向き・縦向きが混在している
・φ(ファイ)や公差記号など、図面特有の記号・表記がある
・古い図面はスキャン時のかすれ・にじみがある
従来のOCRは、横書きの文書や帳票を前提に設計されています。例えば請求書や契約書は高精度で読み取れても、同じエンジンで図面を読むと、どこが図番でどこが寸法か判別できず、精度が落ちるのが普通でした。
近年は、AIが読み取る「AI-OCR」が発展しており、AI-OCRの製品もすでに登場しています。Copilotのような生成AIが図面を読めるのも、この流れの延長にあります。
では、無料で使えるツールだと、図面のOCRはどこまでできるのでしょうか。ここからは実際に検証していきます。
検証で用いた図面
今回、OCR検証で用いた図面は以下の3つです。



いずれも、元データを紙で印刷し、その紙図面をスキャンしてPDFにしました。そのため、図面のPDF内に文字情報は埋め込まれていません。
古い図面は紙が原本で、スキャンしてPDFにして残している場合が多いので、同じような状況を再現しました。

生成AI「Copilot」で図面を読み取ってみた
まずは、生成AIのCopilotで図面をチャットに添付し、PDFの文字認識を試してみます。
検証に用いたCopilotはWeb版の無料プランで、検証した時期は2026年8月です。
Copilotに以下のプロンプトを入力します。
図面のPDFファイルを読み取って、文字や材料表などの情報をエクセルでアウトプットしてください。

スピンドルユニット組を添付したところ、以下のように図面の文字を読み取って抽出してくれました。

A、B、Cは図枠の区域のようです。ここの文字は本来は抽出不要ですが、特に読み取る必要がない旨も伝えていないので、機械的に読み取られているようです。

ベアリングの型式は図面通りなら「6〇〇〇」(〇は丸記号)ですが、本来型式は英数字です。Copilotが読み取った「6000」の誤認識は許容範囲かなと思います。

それぞれのOCR結果は、CSV形式でダウンロードできました。

フランジA、センサーブラケット図面のOCR化
他の図面でも試しましたが、CopilotのOCRの読み取り精度はかなり正確で、誤認識は少なかったです。ここでは、Copilotが正しく読み取れなかった所を紹介します。
フランジAの厚みの値が正しく記載されませんでしたが、それ以外の寸法は読み取れていました。

センサーブラケットも厚みの値が誤っていました。ただ、材質はSPCC(t1.6)と表題欄の通りだったので、t1.6自体は認識できています。

無料版Copilotでは、エクセル形式で出力できなかった
OCRの結果をエクセルファイルにまとめて出力してほしいと要望したものの、うまく出力はできませんでした。エクセルに出力するためのPythonプログラムを作って(Copilotが)頑張っていましたが、何度か試しても失敗しました。
今回検証したのは無料版なので、有料版を使うと結果は変わるかもしれません。
Googleドライブで図面を読み取ってみた

次に、GoogleドライブのOCR機能を検証しました。GoogleドライブはAIを活用することで、PDF内の画像情報を自動的に文字として認識します。
検証条件としてはマイドライブに「図面OCRテスト」のフォルダを作り、検証用の3つの図面を格納しました。Googleドライブは検索機能が強力です。下図のように検索ボックスで図番を入力すると、文字情報が埋め込まれてないPDF図面でも検索結果に出てきました。

今回はGoogleドライブのOCR機能を検証するため、検証用図面の
・図番
・名称
・材質(部品図のみ)
・アセンブリの部品名(組図のみ)
で検索できるかどうかを試しました。
検証結果は以下です。
| 検索するテキスト | 結果 |
| 図番 | 3図面とも全て検索できた |
| 名称 | フランジAのみ検索に出てこなかった |
| 材質 (フランジA、センサーブラケット) | 2つとも材質名で検索できた |
| アセンブリの部品名 (スピンドルユニット組) | 「6〇〇〇」以外は検索できた ※「6000」と認識されている |
名称は図面を検索するキーワードとして有効ですが、フランジAはOCRで検出されなかったようで、検索に出てきませんでした。なぜフランジAだけ検索できなかったのかはよくわかりません。

スピンドルユニット組の部品名「6〇〇〇」は「6000」と認識されているようです。この認識結果はCopilotと同じく、通常型式は英数字で表されるので許容範囲でしょう。
無料の図面OCRの実力と限界
CopilotもGoogleドライブも、OCRとしての文字認識精度はかなり高いことがわかりました。一方で、実際使ってみることで分かった両ツールの限界も感じました。
Copilotの限界:PDFに文字情報を付与できない
Copilotに「アウトプットした文字情報をPDFに埋め込んでください」と指示したところ、直接PDFに埋め込むのはできないと言われました。
PDF化した図面は文字などで検索できるようにしたいので、図面に文字情報を付与しなければ図面OCRとしての役割はあまり果たせないと筆者は考えています。
とはいえ、Copilotはチャット型のAIです。チャット型はテキストのやり取りは得意なものの、ファイルを直接編集・加工する作業はあまり得意ではありません。無料のAIにここまでの機能を求めるのはやや酷かもしれません。
Googleドライブの限界:「材料」「名称」などの絞り込み検索には対応できない

Googleドライブはファイルに「説明」を追加することでテキスト情報を付与できます(上図)。先ほどの検証で「フランジA」の名称で検索ができませんでしたが、ここに「フランジA」と入力すると検索できるようになりました。
とはいえ、GoogleドライブでPDFファイルにユーザーがテキスト情報を付与できるのはこの説明欄のみです。入力できる文字数は25,000文字と十分なものの、「材料の種類や名称に絞り込んで検索したい」というニーズには対応できません。
実務で使うなら:図面OCRは「読み取り」だけでなく「図面管理」とセットがおすすめ

そもそも、多くのユーザーが図面をOCRにかけたい本当の目的は、図番や名称などで過去の図面を探し出し、流用設計や見積もりに活用するためだと思います。そのためには、読み取った文字が図面と一緒に保管され、いつでも検索できる状態になっている必要があります。
今回の検証では、無料ツールは読み取り精度こそ高いものの、読み取った後の活用が限られることがわかりました。
CopilotはOCR結果をPDFに埋め込めないため、検索できる図面として残せません。Googleドライブは検索まではできますが、材質や名称での絞り込みには対応できません。
また、たとえ図面にOCRをかけて文字情報を完璧に付与できたとしても、「図面をOCRにかけてから保管する」という工程が1枚ごとに増えます。過去の図面が数百枚〜数千枚あると、この一工程が積み重なって地味に大きな手間になります。
そこでおすすめなのが、図面管理とOCRが一体になったツールを使うことです。
私たちが手がけるクラウド図面管理システム「図面バンク」は、図面を登録するだけで、全面OCRと製造業特化のAI解析が自動でかかります。1枚ずつOCRを操作する手間はありません。
登録した図面は、
・自動的にAI-OCRがかけられ、図番や名称の文字検索がすぐにできる
・図番・材質・取引先などでの絞り込み
・かたちから探すAI類似形状検索
ができ、スキャンしただけの古い図面も「探せる資産」に変わります。
料金は月額48,000円(税別)で、図面の容量・拠点数は無制限、初月は無料でお試しできます。図面の検索や管理にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
今回は、CopilotとGoogleドライブの無料のAI-OCRを使って、図面の文字読み取りがどこまでできるかを検証しました。どちらも文字の認識精度はかなり高く、図番や材質の読み取りは十分実用レベルでした。一方で、認識は100%ではなく、寸法の読み間違いや検索できなかった文字もありました。
そして無料ツールの本当の限界は、精度よりも「読み取った後」にあります。読み取った文字をPDFに埋め込めない、絞り込み検索ができないなど、図面を探せる形で管理するには改善の余地があります。
デジタル化した図面を本気で資産にするなら、OCRと図面管理はセットで行いましょう。無料のAI-OCRに限界を感じたら、図面バンクのような図面管理システムの導入を検討してみてください。
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